シネマ雑報

2005/03/01(火)12:44

穴                   総評26点

 随分と長い間お待たせをしてしまいましたが、久しぶりの更新となります。  実はパソコンのウイルス騒ぎがやっと収まったと思いましたら、今度はどこかから風邪のウイルスを貰ってきてしまい、不覚にもダウンしていました。  まあお医者さんの所へは行かなかったので詳しいことは分かりませんが、どうやら症状の重さからいっても、インフルエンザだったようです。  もちろん寝込んでいる間に、せっかく長い時間家に居るのだから更新しようかとも思ったのですが、実際にはパソコンどころか自分さえも立ち上がるのが精一杯の状況でしたので、無理せず断念することにしました。  と言う訳で長いことこのシネマ雑報をほったらかしにしていましたが、風邪の症状もだいぶ治まってきましたので、また今日から映画批評を再開したいと思います。  本日の映画は「穴」です。  まずはストーリーです。  イギリスでも指折りの名門であるパブリック・スクールで、4人の男女生徒が行方不明になりました。そして失踪から18日後、その4人の生徒のうちの一人であるリズ(ソーラ・バーチ)だけが、なぜか薄汚れて憔悴しきった姿で発見されたのです。事の真相解明とリズの精神的ダメージを癒すために、犯罪精神科の女医フィリッパ(エンベス・デイヴィッツ)がカウンセリングをすることになります。ところがショックが大き過ぎたせいか肝心のリズの記憶は曖昧で、あまり信憑性(しんぴょうせい)がありません。ただ一つだけ分かっているのは、4人が第二次世界大戦時の防空壕の穴に入ったと言う事実だけで、そこで何が起きたのかは結局リズにしか分からず………、と言った感じです。  この映画は「アメリカン・ビューティー」や「ゴーストワールド」などで話題を呼んだソーラ・バーチ主演の映画で、原作はガイ・バートがオックスフォード大学在籍中のわずか18歳の時に書き上げた、ミステリー小説がもとになっているそうです。  まあ普通にゆけば、映画の原作がミステリー小説だった場合、意外性のあるストーリーや緻密なプロットによる見事な複線等々ストーリー面で楽しませてくれる作品が多いのですが、この映画に関してはどうやらそれは当てはまらないようです。  防空壕の存在やそこへ行くための動機、そして仲間たちの死因など、凡てのものや設定が不自然で説得力に欠けています。もちろんそう言った面が弱くても、他の良い面でカバーできれば何の問題も無いのですが、この映画には「売り」となるものが何も無いのです。  主人公のキャラクターもいまいち統一性が無く、制作者側の都合に合わせてその性格をころころと変えてしまっているのです。ですからラストシーンを見ても矛盾を感じるだけで、虚(むな)しさしか残りません。  そもそもこの主人公は、年頃の微妙な演技を得意とするソーラ・バーチのイメージにはまったく合わず、キャスティングからして間違っていたと言えるでしょう。もちろんソーラ・バーチにしてみれば、色々な役を演じるのはそれだけ役者としての経験値が上がると言うことですから、この映画は良い踏み台になったとも言えるでしょうけどね。 監督   ニック・ハム 制作年  2001年 制作国  イギリス 上映時間 102分 ジャンル ミステリー/サスペンス/ホラー 出演   ソーラ・バーチ/デズモンド・ハリントン/ダニエル・ブロックルバンク/ローレンス・フォックス/キーラ・ナイトレイ/エンベス・デイヴィッツ/スティーヴン・ウォディントン/エマ・グリフィス・マリン/ジェマ・クレイヴン

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