カテゴリ:シェフの雑記帳
鹿の肉、普通は余りなじみは無いのでは?千葉では南房総で少ないながら鹿のハンティングが行われていて、そのあたりの旅館などで鹿刺や鍋物などで食べる事もできる。北海道では、有名なエゾ鹿が結構たくさん取れるのでお土産の缶詰にもなっていたりするのだが、こういう和風な料理で鹿を食べて美味しかったという話はあまり聞かない。鹿の肉は鍋物などにして火を通しすぎてしまうと硬くなってしまうし、嫌な風味まで出てくるから、臭くて硬い肉が評判が良くないのは当然だ。(これはジビエ系全般に言えることだが、、、)大体鍋物と言うのは本来家庭料理であり、いくら材料を高級な物にしたところで次元の高い料理とは言いがたい。(仲居さんなり板さんなりが付きっ切りで火を通してサービスしてくれるなら話は別だが、、)ジビエ類は適切で完璧な火の通し加減と言うのがおいしく食べるための大前提!その動物の種類や鮮度や部位別によって微妙に火の通し加減が異なってくるから技術と経験が必要になってくる。やはりこの手の料理はジビエ料理の伝統が長いフランス料理の技術が一つ抜きん出ているものがあるのだ。
まずは鹿の背肉(牛で言うとサーロインの芯の部分)の写真。 白っぽく見えるのは脂ではなく筋、この筋はとても固いのできれいに取り外して、、 このように掃除してあげるときれいな赤身だけが残る。柔らかさときめの細かさは牛ヒレ肉以上といえるだろう。この部位は鮮度がよければ刺身、カルパッチョにもなるし焼くのならステーキソテーローストに最適だ。火の通し加減はやや浅めのミディアムレア程度が美味しい。産地はいろいろあり、日本では北海道のエゾ鹿、他にカナダ産、オーストラリア産(これは飼育物の赤鹿で野生種より品質が安定している)などがある。どの産地も皆それぞれに美味しく魅力的な素材だ。私の店では、毎年必ずシーズンになると食べにきてくれるお客様が多い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 11, 2005 09:18:35 AM
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