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幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

Mar 30, 2009
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カテゴリ:シェフの雑記帳

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 うちの店の常連さんであり、私がリスペクトするこーひー屋さん“さかもとこーひー”のさかもとさんが最近始めた「さかもとこーひーの四季を味わう会」。先週の土曜日が、第二回目でした。さかもとさんには、いつもおいしいこーひーをいただいているので、何かお返しを、、、と考えていたので、、、さかもとこーひーに合わせて、フランボワーズとドライクランベリー風味のパウンドケーキを作って送り、召し上がっていただきました。詳しくは、さかもとさんのブログをご覧ください。

 私のイメージ通りうまくさかもとこーひーに合ってくれたようで、良かったです。私にとってはさかもとさんのこーひーは、ワインと同じ感覚なんですね。普通のコーヒーなら、あまり深くは考えないんですが、上品なブルゴーニュワインを思わせるようなさかもとこーひーの独特なトーンに合わせるには、ある程度の酸味や果実系それも赤いフルーツ系のフレーバーをリッチにバターをきかせたパウンド生地と合わせれば、、、と思い作ったものです。

 桜も咲いて、就職や入学進学の季節ですね。いろいろな道に進む方がいるんでしょうが、、、料理人の私、友人の音楽家クリヤマコト、それからさかもとこーひーのさかもとさん、共通点は独学でした。まあ、それぞれかなり特殊な職業と言えるのかもしれませんね。

 私はよくお客さんにフランスのどこで修業したのか?とか師匠は誰ですか?などと訊かれることがありますが、、、「いやぁ、私は独学でフランスに食べに行ったことはありますが、フランス料理屋で修業したことはありません。」と答えると怪訝な顔をされることがあります。

 私たちのような職人仕事は、仕事に対する誠意とある程度の自己分析能力があれば、一人でもやっていけると思っています。最も形になるにはなかなか時間がかかりますけどね、、、。

 私が一番力を入れて取り組んでいるのが、素材への火の通し加減。つまり肉や魚の焼き加減ですね。さかもとさんはコーヒーの焙煎家ですから、豆の焼き加減が命。さかもとさんと話をするといつも“火の使い方”の話になります。お互い相手にする物が違うとはいえ、熱をコントロールして思い通りに仕事を進めるという点では共通することが多く、いつも普通の人にはわからないような専門的な話になってしまいます。

 だから、ジャンルは違うといってもさかもとさんがあのようなこーひーを作るためにどれだけ神経を使っているかが私にはよくわかるし、さかもとさんも私の料理をかなり深く味わってくれると思っています。

 クリヤマコトは、ピアニストとしてすごい技術を持っていますが、それは長年の練習に支えられていることは言うまでもありません。彼はたまに「どうやって練習したらクリヤさんみたいにうまく弾けるようになるんですか?」なんて訊かれることがあるようですが、そんな方法があったらおれが知りたいよと笑うそうですが、、、職人仕事とはそういったもので、やっていることは実にシンプルなんです。ピアノは上手に弾けばよいのだし、コーヒー豆は上手に焼けばよいのだし、肉も上手に焼くだけのことです。言葉にすれば本当にそれだけのことですよ。

 どうすればそれらが上手にできるか?努力しかないわけです。ただ、無駄な努力はできればしたくないので、色々な知識が必要になりますね。音楽なら音楽理論がありますし、料理なら偉大な先人たちが残した、レシピや料理研究の本があり、私はよく知りませんがコーヒーの焙煎にもきっと専門書が色々あると思います。それと、自分のことも含めて冷静に観察して判断する能力も必要ですね。ミュージシャンなんかよくありがちですが、自分が気持よくなるためだけに音楽をやっている輩がいます。それではプロにはなれません。独りよがりの仕事では、職人とはいえないと思います。趣味としか呼べませんね。作って売れて何ぼの職人ですからね、、。

 これは、独学だろうが誰かに付いて学ぼうが同じことです。自身が努力しなければ誰かが一人前にしてくれるなんてことはあり得ません。私は結構教え魔で、同業者にも包み隠さず何でも教えてしまうのですが、その裏にはレシピだけで料理は作れるものではないということがあるんです。たとえば、音楽の楽譜。楽器が弾ける人に楽譜を渡せば、何らかの演奏ができるでしょう。でも、それで人を感動させるような演奏ができる人はなかなかいないでしょう?

 家庭料理のレシピなど、大匙小匙で何杯などというのをその通りに作ったところで、まず美味しい料理にはならないですね。下手をすると食べられないことすらあると思う。料理というのは、調味料を混ぜ合わせることではなく、味見をして感じて、足りない味を補うというのが味付けなんですね。そういった作業を真剣に日々繰り返していくと、だんだん熟練してあまり頻繁に味見をしなくても味が決められるようになるわけです。日々修業ですね。

 それから大切なのが、イメージですね。たとえばきれいな風景や面白い映画、素敵な音楽などを体験してそういうイメージを自分が作る料理なり音楽なりコーヒー豆のブレンドなりにいかすんですね。たとえば雨上がりに東京湾から富士山が見えた時にその清々しさを音楽や料理やコーヒーで表現することは可能だと思うんです。またそういったイメージを具現化する能力がプロとして必要だと思います。それから科学的な知識も必要ですね。料理なら、肉のたんぱく質の凝固する温度とか、バターの融点とか、チョコレートの分子構造を安定させるための温度操作などですね。

 文学的な部分と科学的な部分。両方のバランスが大切ですね。

 

 

 

 







Last updated  Mar 30, 2009 12:21:02 PM

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 madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
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