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幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

Oct 1, 2015
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カテゴリ:シェフの雑記帳

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 このところ異常に評判が良いトマトのポタージュ。これは実はすごく古い料理で、もはやすたれて誰もやらないといったほうが良いかもしれません。

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 秋鮭のポワレ、きのこのクリームソース。これもね、今時クリームソースなんてヘルシーじゃないし、はっきり言って時流ではないです。

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 サンク・オ・ピエ秋のコースのテリーヌ、これもまずテリーヌという料理自体がもはやすたれていて時代遅れなうえにあえてとても濃い生クリームやクリームソースまで使っていて、これも時流じゃないですね。

 飲食業に携わって30年あまりになりますが、フランス料理に関してはより軽くヘルシー志向を極める方向が特に高級店では多いようです。今は閉店したスペインのエルブジのように皿数が多く15皿とか30皿のコースでもはや味見程度の量で、一見して何を食べているのかよく分からないような料理がいまだに流行っています。一方でパリあたりで人気のネオビストロ(お値段も雰囲気も気楽だが、高級食材を使って内容の高い料理を提供するスタイル)などでは、アラカルト主体で どっしりとした量も味付けも伝統的なスタイルを保ちながら、センスと工夫で古さを感じさせない美味しさを表現しているお店がはやっているようです。

 サンク・オ・ピエは、まあネオビストロのスタイルですね。私の場合、まずは食べておいしいというのが最大の課題であり、料理のスタイルの新旧などはあまり眼中にありません。ヘルシー志向なども、サンク・オ・ピエで毎日3食召し上がるということはあり得ませんし、どんな常連様でもせいぜい月に1~2回のご来店ですから、たまには高カロリーでもいいと思っています。もちろん、高カロリーな料理ばかりじゃありませんけどね、、、。

 日本人の基本である和食は確かに低カロリーでヘルシーなのは認めますが、一般的に日本人は霜降り肉や豚骨ラーメンや大トロのマグロやてんぷら蕎麦など脂っこいものも大好きです。サンク・オ・ピエでもフォアグラマッドネスというフォアグラのフルコースで一人当たりフォアグラを400g余りを召し上がる方が結構いらっしゃる。

 ご馳走というものには、ある程度非日常性が必要なんです。普段は口にしない味付けや調理法ですね。それが、非日常性のみを追求するとエルブジみたいなスタイルになっていくのでしょうが、あれは私にとってみるとやりすぎだし遊びすぎです。つまるところエルブジのシェフ フェラン・アドリアはおそらくアイデアの枯渇で閉店に追い込まれたというところではないでしょうか?本当の事情は知りませんが、、、。

 クラシックなフランス料理は、メインの食材とソースと付け合わせという3要素で出来ています。例えばヒレステーキにマデラソースにジャガイモのドフィノワーズとか、秋鮭のポワレにキノコのクリームソースに伏見唐辛子とか、、エスコフィエ時代のクラシックなら、料理名に対しての調理法とソースと付け合わせはかなり厳密に決まっていました。今は、例えば゛国産交雑牛のタリアータ仕立て、バルサミコソース、自家菜園の温野菜添え”などのように主材料、調理法、ソース、付け合わせと具体的に書くことも多いですね。まあ、今はエスコフィエの時代ではないので~~の○○風みたいなメニューの書き方は流行らない気がしますが、、、私はやはり、メインの食材、ソースと付け合わせという3要素が正常な料理と思ってます。

 なぜかというと、フランス料理はワインとともにありますから、ワインとの相性を構築する上でその3要素はとても重要だからです。それに料理にはある程度の量が必要だと思います。しっかりした量を味わってこそ美味しさが伝わるのではないでしょうか?20皿も30皿も味見みたいな食べ方をして、ちゃんとわかるんでしょうか?それに、ワインはどうするんでしょう?まあ、あれだけ話題になり三ツ星も取り流行った店ですからあういうやり方を支持する方も多いのでしょう。人それぞれですから、否定はしませんが、私はあういう方向には行きません。 

 で、最近またクラシックな料理を見直しているんですが、特にソースですね。ベースとなる出汁の取り方やワインやヴィネガーの使い方、濃度の問題、バターや生クリームの量などまだまだ研究の余地はあるなぁ!と思ってます。

 パッと見、もう凄い!格好いい!という料理だけど一口しかなくて、食べてみてもなんだかよくわからないけどまあ美味しいのかなぁ?みたいな料理と パッと見普通で、量もたっぷりあって食べてみるとびっくりするほど美味しいし、今日はこれを食べたという実感が持てる料理 。どちらがいいですか?私は後者を支持しますし、目指しています。

 料理は火と塩で決まるということで、この25年くらいは肉や魚を上手に焼き上げることを主眼にやってきましたが、焼きはだいぶできてきたのでこのところ少しソースの研究に心を向けています。ほんの少しのことなんですが、そのほんの少しの積み重ねが職人仕事なんです。

 最近、さかもとこーひーが深煎りコスタリカで見せた深煎りこーひーの新境地を味わうとさかもとさんも職人としての進化をまだまだ続けているのが伝わってきます。よくある焦げすぎの脂光りしたフレンチローストやイタリアンローストの焦げ焦げ苦苦の汚い味の深煎りではなく、しっかり焼きこんであるのに焦げてはいないという、まさに崖っぷちの際のところを狙った仕事を余裕でやり遂げる技術の正確さにはしびれますね!さかもとこーひーの常連さんでうちのお客様でもあるアマチュアコーヒー研究家のMさんが、「深煎りコスタリカの焼きは、サンク・オ・ピエの中村シェフの肉の焼きに通じるものがある。」とツイートしてましたが、Mさんうまいこと言うなぁと思いました。深煎りこーひーというジャンルもある意味クラシック帰り的な感じがします。もちろん、ただ昔に帰るのではなく、温故知新ということですね。さかもとさんも私もごく普通のことを誰にもまねができないレベルでさらっとやるという点で共通してると思います。 

 







Last updated  Oct 1, 2015 01:09:40 PM

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 akiko@ おめでとう! お誕生日おめでとうございます。 私も一…
 せいがん1443@ 美味しそう 思わず、読み込んでしまいました。 美味…
 madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
 ゆり777@ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
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