幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

2018/03/11(日)14:21

嬉しい感想

 先日ご来店のお客様から、メールをいただきました。ご本人の許可を得て一部引用させていただきます。  本日も大満足のランチを有難うございました。 メカジキのスモークに目から鱗。 オリーブオイルもそれ自体がソースで お塩の絶妙な加減が引き立て合って至福の前菜でした。大根のポタージュも以前 ブログにて読ませていただいた事があり、 お味を想像していたのですが、想像以上にまろやかで驚きました??鴨肉のさくらんぼソースも素材のマリアージュに感激。 ボリューミーなのにサッパリともたれない素材の良さと 絶妙な火加減。ふくよかな酸味と甘みの素晴らしいバランス。最後にいつものハチミツアイスとチーズケーキ。 こちらも さかもとコーヒーさんと相性抜群で 相変わらず、全部が全部 美味しかったと幸せいっぱいに なりました。同伴の女性も手間暇かけて食育で子育てを終えた人。 こんなに愛情を感じる料理を食べたのは初めてだと感動し、 美味しくて過ぎて 申し訳ない…と、意味がよくわからないけれど とにかくしばらく分の幸せを充電出来たと帰りの車で話していました。  以上引用。  女性のお客様なんですが、いつもさかもとこーひーの坂本さんとも話すのですが、、女性の感性の鋭さというか、この分析能力はすごいと思います。メカジキにオリーヴオイルとゲランドの塩とか、鴨の火の通しとソースの味のバランスとか、私が自分でもポイントと感じているところをズバリ言い当てていらしゃる。  私の返信です。  ありがとうございます。 喜んでいただけて幸いです。 自分としては、普通にやっているだけなんです。 ただいつも、もう少し良くなりたいとか、もう少し美味しく作りたいとか、考えてやっています。 あと2年で還暦ですが、まあ、、少しはまだ進歩しているような気もします。 とくに今日の鴨は久しぶりに使えた食材なのと、最近今までよりもっと良い焼き方を発見したので、以前よりだいぶ上手にできたと思います。 フランス人の伝説的食通のブリヤ・サヴァランが、「人を食事に招くということは、その人の幸福を引き受けることだ。」と、書いてましたがプロの料理人の基本姿勢であると思います。 きちんと美味しいものを召し上がっていただき、喜んでいただくというのが、自分の仕事だと思っています。 またお待ちしております。  以上返信。  料理に愛情とよくプロでも言う人がいますが、私としては゛食材に対するリスペクト”だと思っています。例えば、3キロクラスの大きな平目が届いたとします。魚は何十万か何百万か知りませんが、生まれたもののほとんどは稚魚のうちに食われてしまうんだと思います。そんな中で何年も生き延びて大きな平目に育ったということがもう奇跡的な存在だと思います。そういうものをおろそかに調理などしたら、失礼ですよね。美味しく調理して成仏させてやりたいと思います。うちの畑の野菜にしても、うちのマダムとその母が一所懸命世話をして作ってくれているので、大事に思います。(もちろん買った野菜でも同じですが、、)若いころ、初めてブレス産の鶏やシャラン産の鴨などを焼いたときには見事に失敗!自分の技術ではまだどうにもならないと思ったこともあります。そういう時は。食材に負かされたと思いました。自分の技術は食材に育てられたと思っているくらいです。  28歳でシェフになり今年で30年、さすがに近頃はだいぶ上手にできるようになった気がしますが、まだまだ進歩したいという気持ちもあります。せがれが本格的に弟子入りして、最近はだいぶ助かっています。定番デザートの仕込みはほとんど任せられるようになりましたし、少し補助をすればメインの料理もだいぶできるようになってきています。まあ、まだ彼に任せて休みを取るわけにはいきませんが、、。よく厳しく指導しているのでは?と言われますが、全然そんなことはありません。穏やかにやってます。きちんと良い仕事を見せていれば、弟子は自然に育ちます。何しろ小さなころからずーっと私の料理を食べてきてますからね!味は教えなくもわかっていますから、、。親子ならではのメリットですね。  

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る