テーマ:猫のいる生活(135997)
カテゴリ:★ちょっとした読み物
# 077
【 前回のおはなし 】 3匹の中で一番 警戒心の強いくつした。ごはんも食べずに遊んでばかりでしたが、 ふと それは母猫のそばで安心して遊ぶ子猫の姿なのだと気付きました。 子猫たちにエサをやるようになって数日、少し困ったことになりました。 どうやっても子猫たちがアパートまで付いてくるようになったのです。 子猫たちがごはんを食べ終え 遊び始めるのを見届けると、隙を見て走って帰るのですが、私たちがいなくなったことに気付くとあわてて追いかけてくるのです。 私たちの姿が見えなくなった後でも、既に私たちが公園の道を挟んだ向かい側へ帰ることを覚えてしまった子猫たちは、細い道を渡り 狭い通路を通ってアパートの敷地内へ入り込み、私たちが上った階段の下までやって来るとそこからどこへ行ったものかとその場をうろうろとしていました。 階段を上ることを覚え 2階までやって来られると厄介なので、私たちは3匹に気付かれないようそっと部屋の中へ入るのですが、そうするとドアの外、階下から子猫たちの鳴き声が聞こえてくるのです。それは普段の「にゃ~にゃ~」という可愛いものではなく、「ニャーオニャーオ」という母猫を呼ぶようなとても大きな声です。 私たちを探し 呼んでいることは明らかでしたが、今出て行ったところで結局は私たちがここに居ることを分からせてしまうだけなので、私とまるはその声が聞こえなくなるまでいたたまれない気持ちでドアの前にいるだけでした。 そんなことが数回続くと、やはりアパートの住人の中にも子猫たちの存在に気付く人が出てきました。 特に1階の人などは窓のすぐ外で鳴かれる訳ですから、否が応でもその声を耳にしてしまいます。窓を開けて見るとそこに小さな子猫たちがうろうろしている。少しでも猫が好きな人なら、やはり構いたくなるのが当然なのでしょう。 狭いベランダに入り込み、窓枠に前足を掛けて背伸びし、部屋の中から何か食べ物をもらっている風なクロちゃんの姿を時々見かけるようになりました。 別の部屋の玄関ドアが少し開き、そこから中に招き入れられるしっぽの様子を目にすることもありました。 そして階段の下あたりに、残飯か何か食べ物が入った小さな器が置かれるようになりました。 私は少し困惑しました。 みんなが子猫たちを可愛がり 世話をするのは子猫たちにとってありがたいことかもしれませんが、ペット禁止のアパートで堂々と猫を飼うような真似をするのは何かと問題になるのではないかという不安があったのです。中には猫や動物が嫌いな人もいるかも知れません。アパートの清掃に来る人が小皿を見つけて管理会社に連絡するかも知れません。 いや、それ以前に私は 『私たちだけの子猫』 でなくなってしまうことに複雑な思いを抱いていたのです。 夜、私やまるが帰ったときに アパートの脇で子猫の声を耳にし、いつものようにチッチッチッチッ…と舌を鳴らして呼んでも、既に別の人に食べ物をもらおうとしているクロちゃんなどは寄って来ないこともありました。 また3匹そろっているときでも、いつも食べ物をもらう部屋の窓が開くとクロちゃんとしっぽはそちらへ走って行ってしまうこともありました。 くつしただけはそういう姿を目にすることはなく、相変わらず警戒心は強い様子でした。私たちには随分と馴れて、しゃがむとそばまで寄って来て足元でごはんを食べるようになりました。食べている間、そーっと指で背中をなでると 食べるのに夢中なのかしばらくはそのままなのですが、ふいになでられていることに気付きビクッとして飛びのきます。しかしまたすぐに戻ってきて、今度は耳を背中の方へ向けながら続きを食べるのでした。 公園に置くキャットフードも減るのが遅くなりました。 夜中にカーテンを開けて見ると、別の大きな猫がそれを食べていたりしました。 朝、木に登ったり草の間を飛び跳ねたり いつものように元気に公園を走り回る3匹を見ると安心しましたが、それでも子猫たちの生活の場が公園からアパートへ移りつつあるのではないかと 少し不安に思っていました。 そして、さらに困ったことが起きました。 ある朝、急いで仕事へ向かおうと自転車を出していたとき、何かすごい異臭が鼻を突きました。 なんだろうと臭いをたどると、自転車置き場のすぐ横に1箇所だけコンクリートで舗装されていない場所があり、そこに小さな糞らしきものが落ちているのです。子猫たちのいずれかのものに間違いないと思いました。 当たり前のことですが、ごはんを食べれば排泄をするのです。今までは全ての生活の基盤が公園だったため 用を足すのも公園の中だったのでしょうが、この数日アパートの敷地内で食事をすることが多くなり その近くにトイレとなる場所があれば、そこで用を足すのは自然なことでしょう。 これは予想できたことでしたが、実際にそれを目にするまでは 正に臭いものに蓋をするが如く気にしないようにしてきたことでした。あらためて、私たちの行動による影響を考えさせられ、そしてこれからどうして行くべきなのか考えなくてはならなくなりました。 HOME はじめましての方 くつした 我が家の箱入娘 * この話の登場人物 * ネコチビーズ 子猫たち グレーの尾長「しっぽ」 真っ黒「クロちゃん」 足先だけ白「くつした」 大人その1 人間のオス ○○さん 仮に「まる」とする 大人その2 人間のメス 私(me) 仮に「みー」とする 野良猫・捨て猫の今 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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う~ん、分かる~。
複雑な思いですね。猫ちゃん達には無事に育って欲しいけど、状況は必ず変化してしまう、様々な心配が尽きないですねー。 そして、台風?どうなっちゃうの~? (2006年12月09日 17時20分50秒)
子猫に対する善意の気持ちがハンパなものである以上は、それは善意ではなくむしろ無責任であることをより強く感じました。ことに相手がおなかを空かせている子猫の場合、正しく接することがとても難しいですよね・助けてあげたい気持ちはあっても
きちんと責任が取れる行動を起こすまでには至らないと、かえって悪い結果をもたらすことになるかもしれないことが判っていても、弱い心が歯止めをかけてくれないジレンマに私も悩むことがあります。 どうか、クロちゃん、しっぽちゃん、くつしたちゃんが幸せになれますよう・・ (2006年12月09日 17時54分41秒)
だめです。
毎回心をわしづかみにされてしまいます。 こねこは可愛い。 ねこの成長につれ、可愛く思わないヒトも居そうで・・・。 過去のことなのに、心配で不安でたまりません。。 (2006年12月09日 20時01分19秒)
。。。o(゜^ ゜)ウーン難しいテーマですねっ・・・ついつい初めから読み綴ってしまいました。。。
うーりんもこんな状況なら、きっと同じ事をし、同じ思いをした事だと思います。。。 (2006年12月09日 21時53分59秒)
葛藤があったんだね。一匹ならともかく・・3匹ともなると。育ち盛りの仔猫たちは生きていくのに必死だし・・アパートの猫好きサン達も、可愛いけれど飼えない状況。すご~く分かるよ~!!
いまのくつしたちゃんを知ってるから、ワクワクして読めるけど、リアルタイムの出来事だったら・・ きゃあ~どうしたらいいのお~?って思うな~ 次は・・台風~! 次待ってます~(*^_^*) (2006年12月10日 11時08分43秒)
>複雑な思いですね。猫ちゃん達には無事に育って欲しいけど、状況は必ず変化してしまう、様々な心配が尽きないですねー。
■そう、いつまでもいい状況が続けばいいですが、 そんなことはありえないんですよね・・・。 その状況に甘えているときほど、変化が辛いものです。 (2006年12月11日 10時15分45秒)
>子猫に対する善意の気持ちがハンパなものである以上は、それは善意ではなくむしろ無責任であることをより強く感じました。
■浅い考えで行動を起こすと、その後どうやって 責任を取ればいいのかが分かりにくくなってしまいます。 考えて行動したつもりでも、自分に知識がないと 結果として無責任ということになってしまいます。 そうなって初めて、自分の未熟さを思い知ります。 (2006年12月11日 10時18分39秒)
>ねこの成長につれ、可愛く思わないヒトも居そうで・・・。
■ネコを含め 動物が苦手、という人は結構いるものです。 そういう人たちに、いかに迷惑を掛けないか いかに理解してもらうか、というのは難しいことです・・・。 (2006年12月11日 10時20分57秒)
>うーりんもこんな状況なら、きっと同じ事をし、同じ思いをした事だと思います。。。
■私も自分で思い返しても、やっぱり同じ事になったかも・・・ と思ってしまいます。 今なら色々と違う結果になったかもしれませんが、 当時は状況的にも言い訳することが多くて・・・。 (2006年12月11日 10時22分42秒)
>葛藤があったんだね。一匹ならともかく・・3匹ともなると。育ち盛りの仔猫たちは生きていくのに必死だし・・
■世の中の野良猫たちを全部救えるわけじゃないから キリがないことなんだけど、でもやっぱり目の前の 子猫を見ると・・・。もし成猫だったらどうなんだろう? 結局は自分のエゴでやってるだけなんですけどね。 (2006年12月11日 10時24分45秒) |
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