カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、浦賀和宏さんの「八木剛士史上最大の事件
」です。 ●あらすじ いつものようにいじめられ、いつものように純菜を想う日常が続いていた。純菜との距離は徐々に縮まっていっていたが、彼女への愛情でさえ、いじめられたことへの憎しみには敵わなかった。気がつけば人を呪っている剛士は、復讐することだけを目標に生きていた。 ●簡単な感想 このシリーズはミステリーではないような気もするのですが、とりあえずミステリーで。 主人公が同じようなことを繰り返し繰り返し悩むので、ミステリーを読みたい方にはあまり合わないかもしれません。 あまり主人公が後ろ向きではなく、いじめも陰湿さはそれほどないので、不快にはあまり思わないですが、同じところをぐるぐる回るのはそろそろ終わってほしいです。後半、成長したようなところもあるので、それに期待したいところですが。 事件らしい事件が起こらないのも、多少退屈に思います。今回は特にタイトルがタイトルだったので、何が起こるのかと思ったのですが。 今回は純菜がかわいかったです。 主人公側の日常と、そうでない側の非日常の隔たりが大きすぎて、どうなるのかの想像がつきません。でも、あまり好む方に向かわなさそうなことはわかります。今月に続編の「さよなら純菜、そして不死の怪物」が出ました。タイトルからして最終巻でしょうか。できれば、ノンシリーズものもまた読みたいです。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 史上最大の事件はどちらかというと純菜に誘われたことの方な気もしないでもないです。剛士自身も、そのこと自体は特に気にしてないので、あれが「史上最大の」と言われてもぴんと来ないです。後半で成長したと思ったのが、この事件でまた元に戻ったのは残念でした。自分の悪いところもきちんとわかっているのはいいですが、結局なんの努力もしないのはいただけません。せめて純菜を追いかけるくらいはしても良かったのではないかと思います。あれだけ好きだ好きだ言っておいて、純菜を化け物だと思ったり、そういうものかもしれませんが、主人公への信頼がなくなりそうです。できれば次で完結してもらいたいです。 剛士の周りがあまりにも剛士を悪者にするので、剛士の夢の世界なのではないかとさえ思います。いじめられてるとわかっているのに、何かあっても理由も聞かずにただ叱るだけの伯母や、普段のいじめには目もくれないのに、剛士が加害者になったときだけ正義を振りかざす優等生など、そこまで変な人ばかりで構成されているのは正常ではないように思いますので。ひたすら剛士の味方になってくれるような都合のいいキャラは必要ないですが(純菜もいるので)、もうちょっとまともな人が登場してもいいような気がします。これも偽王だからなのでしょうか。偽王というのも良くわかりませんが。 そういえば、純菜の腕は義手になっていたのでしたっけ。触っただけでわかるほど傷だらけなのでしたっけ。シリーズものでも重要なところはその巻に書いてもらいたいです。なぜ化け物と言われるのかよくわからなかったです。 以上です。
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