クラシカル・・・

2005/04/13(水)02:53

桂 吉弥 さんの落語会

映画・演劇(27)

今日は、早く帰れたので、 なかなか行けなかった落語会に行けた。 桂吉弥さん。吉朝師匠のお弟子さんだが、もう今や安定感も勢いも兼ね備えたベテランだ。 かなり以前、梅田の大融寺で、「吉朝学習塾」という一門の勉強会で、 デビューされたのを見たのが、 この吉弥さんだったのか、あさ吉さんだったのか、 失礼ながら、はっきりしないのだが、 もう当然ながら、その頃の「芸」など、全くの別人である。  (デビューでは、「東の旅」を、リズムに乗せて一気呵成に、間違わずにやる、    というのが、ものすごいイニシエーションのようだ。   その折も、明らかに「娑婆の友達」がたくさん座敷に集まって、   はやしたてていた(…あさ吉さんだったかもしれず、ご両人に失礼ご容赦…)) 今、療養中の、大師匠、吉朝師匠も、以前から、劇団リリパットアーミーの「団員(?)」として、怪しげな(?失礼?)役どころの演技などを披露されていたが、 この吉弥さんも、このところ、わかぎえふさんのお芝居に出られてるとのこと。 三谷幸喜氏の「おいしい生活」でも触れられていたように、その出演の折に、見出されて、「新選組!」の山崎丞の役に抜擢されたとのこと。 TVで突然、吉弥さんを見たときは(しかもありきたりのナニワのお笑い役でなく、むしろ凄みのある役)本当にびっくり&感心したものだ。 とはいえ、やはり、吉弥さんの本業の落語は、充実の極みであった。 (「たち切れ線香」「花筏」) ナマで聴く(見る)のはかなり久々で、 とくにホール以外では、もしかしたら、「吉朝学習塾」以来(その記憶のやや不確かなデビュー以後も、ずっと「学習塾」は続けておられたので、その折)かもしれない。 演じ分けの明確さ、口跡の鮮やかさは、言うまでも無く、目・顔・身体から発する「演技」は、本当に安心して、見られるし、心を許して笑わせてもらえる。 また、緊張感・静かさの場面での、客席全体が息を呑む空気 もまた、ナマの落語ならでは。 落語は、ホールでのものも良いが、 やはり、座敷や比較的小さな部屋(今日は、ワッハ上方レッスンルーム)での、 顔の表情や、視線がはっきり判り、マイクを使わない場所でのものは、 他に比べようもないほどの体験だと思う。 これは、ホールでの体験とはかなり違うし、 当然、イラク戦争やダースベイダーやブッシュが次々映るTV画面での視聴とは、 全く異なる。「見える」という意味なら、TVは充分に「見える」のだが…。 不思議なものである。 残念ながら、今日は、雨ということもあってか、 入りは6分くらいか? 50人くらい居たかな? もともと、小さなスタジオのような部屋だから、 日や天気によったら、すぐ、一杯になっておられるのだろうが、 惜しいことではある。(まあそのおかげで、良い席で、拝見は出来たのであるが) 一緒に演じられた、笑福亭銀瓶さんの「牛ほめ」も、独特のクセのある枕から一転、 澱みもケレンも無い鮮やかなもの。 こちらも、演じ方に甘えは無いが、と同時に、勢いとエネルギーを放出し続ける、若さを良い意味で出しておられた。 また、開口一番の、桂佐ん吉さんの「商売根問」の一節も、 若手ながら、きっちりと演じて、笑わせてもらえるところでは、しっかり笑わせてもらえた。こちらも「甘え」の無い修行の成果からか、ちゃんと「客」として、噺を聴かせて貰えた。 掛け値なしに最高レベルの落語、現代最高のパフォーマンスの機会の1つ、と言って差し支えないと思うのだが、 しかも「大河俳優」の会!! なのに、お客の入りが、ブレイクしないのが、 「上方文化」「大阪文化」 と 「大阪人」 の距離というか、 「知られていない」「体験したことがない」ことの証左とは言える。 全くもったいないことではある。 映画より安いのだが・・・。 一日の終わりに、プロの中のプロの方たちと、面と向かって、心の底から笑わせてもらい、また、しんみりさせてもらい・・・、ありがたいことである。

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