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un monde  写真と詩の世界

un monde 写真と詩の世界

アート写真の撮り方

<アート写真の撮り方>

アート写真を撮る上で、最も大切となるのは「コンセプト」である。
自分は何が撮りたいのか、どのように表現したいのかといった
事柄を決める必要がある。
それは撮る前に決めてもいいし、撮りながら決めても構わない。
最初は人の真似だっていい。
ただ、確固たる自身の「コンセプト」なくして、
写真でアートを描く事はできない。

しかし、いきなり「コンセプト」と言われても検討などつかないだろう。
だがそれは難しく考えないでもらいたい。
最初に、今の自分は何の写真が好きで、何を撮る時が楽しいのか、
といった事をもう一度頭に思い浮かべる。
そしてそれを基に撮る対象や撮る方法を試行錯誤、軌道修正を繰り返し、
突き詰めていくうちに自らの「コンセプト」が拓けてくるのだと
私は信じている。

そう言われても、まだ釈然としない人も少なくないと思う。
少し具体的に話してみたい。

例えば、あなたが「花」、もしくは「花の写真」が好きで、
自分で撮ってみたいと思ったと仮定する。
その際、あなたには、以下の3点について考えてもらいたい。

1、何の(どんな)花が好きのなのか
2、どのような写り方が好きなのか(花畑・一輪の花・つぼみの花等)
3、その花の写真で何を表現したいのか(楽しさ・哀愁・回顧等)

3は少し難しい。だが、これは「後付の発想」で徐々に慣れてくる。
「後付の発想」とは、分かりやすく言えば、
自分の撮った写真を撮り終えた後で見て、何を想い、
何を感じるかを自分なりに解釈してみる事だ。
それが例えこじつけであっても問題はない。
誰にも理解されなくても構わない。
とにかくその写真のどこのどういった部分が、何を表したかったもの
なのかを、強引にでも汲み取ってみる事が大切なのだ。

私の場合、最初に自分で決めたコンセプトは「街の表情」だった。
なぜこのようなものをモチーフにしたかと言えば、単に
ありふれた身近な題材で、洒落た写真が撮れそうだと思ったからだ。

そのテーマを決めてからは最寄駅やマンション、電柱や道路や野良猫など、
視界に入るものをそのまま撮り続けた。
そしてフィルム2本分をあっという間に撮り終え、その晩、現像したものを
見た時、(ほとんどが何の意味も持たない写真であったが)
唯一、目を惹く写真があった。
それが現在の私のコンセプトとも呼べる「イメージの世界」に
繋がる一枚だった。

それは幾つかの水銀灯を写した、ピンボケ写真だった。
単なる失敗写真にしか見えないものだったが、
何となくオレンジ色に光るその雰囲気に魅かれるものがあった。
それから、少しのタイムラグを経て、
私は本格的にピンボケ写真を撮り始めた。

ぼかした写真だったらいくらでも撮る写真家はいる。
そこに少しでも独自性(時間の流れを感じさせるぼかし方)を
持たせる工夫をし、今では少しだけ自分のスタイルを
見出せたような気がしている。

少し大袈裟に書き方をしたが、実は「コンセプト」を見つけるのは
難しい事ではないと私は思う。
写真が好きでよく撮る人は、意識をするのかしないのかの差で、
「コンセプト」を見つけられるかどうかが決まってくる。
写真を撮る事が好きで、少しでもアートの世界に足を踏み込んでみたいと
思う人は、是非とも自身の写真の好きなところ(好みや特徴)を
見出して欲しい。
そしてそれを念頭に、次の機会での撮り方を工夫して欲しい。
それがアート写真の始めの一歩であると私は確信する。


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