読んだ本。『グリフィスの傷』
『グリフィスの傷』 千早茜さん グリフィスの傷 [ 千早 茜 ]内容紹介(「BOOK」データベースより)「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまいー「竜舌蘭」。「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由はー「グリフィスの傷」。「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜けるー「まぶたの光」。…ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。様々な傷痕と、それを持つ人たちの物語。希望を持たせて終わった話も、後味が悪い話もあったけれど、どれも面白かったです。表題の「グリフィスの傷」。この言葉の意味を知った時、「もしその傷を可視化できたら、人は他人に対してもっと優しくなれるのかなぁ」と考えたけれど、多分そうしたらそうしたで、新たな悪意や偽善に晒されることになるんでしょうね。あと、自分の耐久値みたいなものを知ってしまったら余計に辛いかもしれない。そう考えると、見えない傷は見えないままの方がいい。それで救われている部分もあるのかもしれない、と思いました。