言語学を超えて(ソシュール記号学の新解釈)

2016/07/06(水)21:30

脳科学者Antonio Damasio氏の講演:私が意識を理解したい理由。。。

意識(19)

TED Talks というのをご存知だろうか。(詳しいことは、ウィキのTED参照) 最近、よく「language」や「consciousness」というキーワードを使ってユーチューブで面白そうな動画を探すのだが、非常に面白い動画(英語)に辿り着いた。Antonio Damasio : Le désir de comprendre la conscience である。講演の元題は多分「Desire to understand concsicousness」だろう。 Damasio 氏はポルトガル出身の脳科学者で、私がまだフランスで言語学部に在籍していた時、担当教官から何度か研究を紹介されたことがあった。 私は脳科学は、確かに「意識」を理解するための助けにはなるが、決定的な発見のできる学問ではないと考えているが、この講演を見ていて、自分が主張していることを証明してくれたようで嬉しくなった。 それは、知覚と記憶(過去の経験を換気して知覚)は、脳の全く同じ部分を使っているということだ。これは、脳を細かいモジュールに区分して行う脳科学の成果である。私は、知覚と記憶が全く同じものであることを発見することで、それ以降の研究にはずみがついた。記憶科学の誕生には不可欠な発見だった。 もうひとつ、面白かったのは「self」をどうやって作るかと言うことで、動物と人間との共通点と相違点を十分に認識していることだ。意識を理解するのに、知覚のマッピングを基本にしているが、一つ一つ、脳の部分をしらみ潰しに調べて行くことで、少しずつ脳と意識の関係に近づきつつあるようだ。ただ、その背景には彼自身の研究者としての洞察力があるのではないかと思う。 最後に「autobiographical memory」の話が出た。「過去のことを踏まえて未来を投影するという姿勢」ということだが、これは人間だけでなく高等生物も持っていると言っていた。ただし、何故人間だけが、創造性とか言語の域まで達するのかに関しては全く触れずに終わってしまったのが少し不満だ。

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