言語学を超えて(ソシュール記号学の新解釈)

2024/04/29(月)00:28

宇宙の目的。。。

記憶科学(226)

私が言語学、より正確に言うとソシュールの記号学の研究を始めたのは、「ソシュールの一般言語学講義」にある命題「言語には差異しか無い」を証明する為で、始めに注目したのは、記号のシニフィアンの側面、つまり言語の形だったが、勿論、シニフィエの側面、つまり概念や意味も視野に入っていた。 昨日、Philip Goff 氏の「Why? The Purpose of the Univers」を読んでいて疑問に思ったのは、彼が「Purpose(目的)」という概念が自体がある事を前提にして議論をしている点だった。 私は、言語の意味というのは、宇宙における意識の自己同一性の三段階の進化によって生まれたと考えている。 ここで、一つ断っておくが、この「宇宙に於ける意識」というのは我々の通常の知覚では検知できない為、観察ができない。 我々に観察できるのは、意識の自己同一性の進化の軌跡を記録する媒体である記憶であり、これが我々が存在と呼んでいるものであり、記憶を通して意識の進化を科学する事になる。 我々が持っている「存在」という概念は、人間の視点から見て定義できるものではなく、宇宙の誕生をさせた「自分を知りたいという意識」の発動によって、自己同一性の進化が始まった所に遡らなくてはならない。 自己同一性の進化は、物理化学、生物認知、言語意味的な時空間という三層を成して進む。 自己同一性に進化は、 物理>化学    生物>認知       言語>と続いて 初めて「意味」が確立されるのである。 物理化学的な時空間で「自己存在」が確立され、次に生物認知的な時空間で「自己意志」が生まれ、言語意味的な時空間で意味を知る人間の「自己意識」が確立される。 意識が「自分を知りたい」と望んで発動した自己同一性の進化は、三段階の「混沌からの離散化」という過程を経て進行するが、最初に、自分と他者の境界線を確立する「自己存在」、次に、自ら行動する事を可能にする「自己意志」、そして最後に、言語を通して意味を理解する「自己意識」が確立される。 Philip Goff 氏の「宇宙に目的はあるのか?」という問いに対する私の答え。 始めから特定な目的がある訳ではなく、三段階の自己同一性の進化を経て「目的」という概念を持つ事のできる人間を誕生させたが、それが最終目的ではない。 我々個々人が、其々の自己同一性を高める事が目的だと言える。 ここで言う「混沌からの離散化」であるが、量子力学でいう所の波動が粒子になる過程でもあり、同時に離散的な存在である化学物質が更なる進化を続ける物理化学的な時空間が確立される。 第二段階の「混沌からの離散化」によって、認知主体である生命が進化を続ける生物認知的な時空間が確立される。 第三段階の「混沌からの離散化」によって、自己意識を持つ人間が自らの自己同一性を進化させる言語意味的な時空間が確立される。 ここで我々が、確かな記憶という形で観察できるのは、知覚通して確立される言語の形であるが、聴覚に特化して誕生した音声言語の音韻体系が恰好の研究対象である。 先ずは、何が混沌を創るかであるかだが、それは空気の物理的な振動を知覚で捉える際に、それが必ず連続的に進行する性質が基にある。 認知的な対象として認識する場合、連続的な聴覚のシーケンスを区切って認知的な単位とするが、その中身は、常に波上に連続的に展開している。 この連続的な聴覚の認知単位は記憶であるが、過去の記憶から現在の記憶が喚起される際、現在の記憶が過去の記憶を喚起するのと逆方向に展開する事によって、そこに螺旋的な運動が生まれ、そこに物理的な時間軸に平行して展開する二極性が生まれる事で、子音と母音に離散する音節が誕生する。

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