叫ぶ。






               叫びたい。

               叫びたい。

               如何して全てあたしの前から消えてしまふの。



               稚拙な考えだって嘲われたって構わなかった。

               くだらないって吐き捨てられても我慢出来た。

               虐げられても泣かなかった。



               


               全てあたしの大切なモノを護ろうとした故の行為であったのに。

               あっさりと其れは踏み砕かれて消えてしまった。

               其れは硝子の破片よりも綺麗で

               其れは純白の羽毛よりも優しくて

               其れは深海の水流よりも穏やかで

               其れは朝露を輝かせた光よりも美しくて

               其れはあたしにとって世界の全てだった。





               今、踏み砕いた貴方は何を考えて居るんだろぅ。

               今、あたしを堕とした貴方は何を視て居るんだろぅ。

               



               嗚呼 如何しやぅもない。

               あたしは今貴方が憎くて堪らない。

               返して。返して。返してよ。





               自我の枷を噛み千切り

               血塗れの両手両足で地面に聳え立った。

               限り無く溢れる涙を心の奥に押し殺し

               喉から血が噴出すのも構わずに吼えた。



               世界中が慟哭に呑まれるコトを 
                   
                          あたしは確かに願って居た




                     


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