クロてんマジック

2008/11/09(日)22:51

橋本紡 「九つの、物語」 読み終わりました

本の話(237)

九つの、物語  橋本紡 橋本さんの本は「彩乃ちゃんのお告げ」に続いて2冊目です 彩乃ちゃんのお告げ の感想は ココ これも不思議な世界というか・・・ 静かに物語が進むけど、SF的なところがある小説です 9つの古典的な小説の題名とその内容に沿ってお話も進みます 古典的な小説は例えば 泉鏡花の「縷紅新草(るこうしんそう)」だったり 太宰治の「待つ」だったり 田山花袋の「蒲団」だったり・・・ 古典の内容と小説がちょっとずつリンクしているので 古典を読んでいたらもっと楽しめるのかもしれません 始めは淡々とした兄妹の話だな~なんて思っていたのですが そのお兄ちゃん 実は幽霊なのです 2年前に豪雨で川の増水に流されて事故で亡くなったお兄ちゃん でも普通の人間のように触れるししゃべれるし 存在感がリアルなんですね だから主人公の妹 ゆきな は自分が狂ったのか?って思っちゃうくらい まあ、普通でないことですよね でもゆきなの彼氏君や友人にも会ったり話したりしているので 自分が狂ったんじゃなくて、本当にお兄ちゃんは存在するんだな こういう生活もいいかな・・・・なんて思い始めちゃうんですね あまりにも自然にゆきなの兄として存在するので 彼氏や友人もまったく疑わないし お兄ちゃんの新しい彼女は公園から出られない幽霊で その彼女にもゆきなは逢えるんですね 彼女は自分の意思で姿を見せられる人を選べるようで 幽霊の仕組み?みたいなことをゆきなに教えてくれる キーパーソンでもあります なんだか現実に幽霊っているのかもしれないなぁ・・・ こういう仕組みだったら・・・・ ってつい思っちゃうくらい 自然に幽霊は存在している  みたいです でも幽霊がこの世に存在するっていうのは その亡くなった人の思いが強くて成仏できないからなので お兄ちゃんの強い思いがこの世に残って ゆきなの前に現れたってことなんですね お兄ちゃんの強い思い・・・それが何なのか ゆきなが記憶から消し去っていた過去にありました お兄ちゃんの思いが判ってそれが解消されたら お兄ちゃんの存在はいなくなってしまいます おにいちゃんとゆきなの再びの別れは 切なくて苦しくて涙がドッと出てきました 静かで重いとても心に沁みる小説でした Designed By チワワン子

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