2007/05/20(日)11:20
おっぱいとの別れまでの道のり
そうして紹介状を持ち、私は総合病院の乳腺外来へ行った。
7月の頭だった。
先生は、全国の乳がん学会のトップに君臨するような先生だった。
しかし、本当に、見事なまでに無愛想。
(がん患者を怒鳴るような人だった。・・・医者の仕事が多忙を極めるのは重々承知している。でも、脳転移した患者さんにも平気で怒鳴っていた。怒鳴られた患者さんは、泣いていた。いくら腕が良くてもこれでは、人間としてどうなのだろうか?)
診察室に入るなり、
「上、脱いで」無愛想極まりない。
脱いで、一目見ただけで、納得したような表情。
触診(触って)して、「間違いないな」とつぶやく。
その一言だけで、診察は終了。私の顔も、ろくに見てくれなかった。それ以外は、カルテを書いているばかりの先生だった。
私の告知は、こんな形であっさりと終わったのだった。
この日、「あなたは乳がんです」とは一言も言われなかった。
でも、彼の対応と行動で、全く知識のない私でも、もう十分に理解できたのだ。
診察室を出てから、看護士さんが「先生は、無愛想だけれど腕はいいから安心して」とフォローしてくれたが、若い私には、何の慰めにもならなかった。
普通は、その日に行ってすぐに受けられることのないマンモグラフィー検査もエコー検査も、この直後に「緊急の患者」として、無理矢理ねじ込んでもらって終了。
*マンモグラフィー検査乳房のエックス線検査のこと。視・触診で診断できない小さなしこりや、微細な腫瘍を発見するのに役立つ。
これまでに受けてきたたくさんの検査の中で、「痛みトップ3」に入るくらい、痛かった検査と記憶している。わかりやすく例えると、おっぱいを分厚いプラスチックのまな板で両側からと上下から、ムキムキのキン肉マンから、むぎゅううううううっと押さえつけられる(潰される)感じ。おっぱいが、ゲゲゲの鬼太郎に出てくる、一反木綿みたいにうす~くペラペラになるまで潰されるので、その痛みと言ったら半端じゃなかった。しかも、検査技師は、男性ばかり。その日会ったばかりの30代半ばくらいの男の人に、はだけた胸をまじまじと見られ、触られ、潰されるのだ。かなりみじめだった。現在は女性技師も出てきているようだけれど、それでもまだまだ男性技師の方が多いんじゃないかな。こういう所で、日本の医学のメンタルケアの遅れを感じたりしたものだ。
*エコー検査(超音波検査)超音波を臓器に当てて画像にし、病巣を診断する。これは、痛みは全くない。ジェル状の物を機械の先端につけてお腹に当て、隣にあるモニターで技師と一緒に画像を見る。まな板のコイ状態で済む検査。
二つの検査が終わると、再び診察室へ戻った。
「明後日、来られるよね?」
有無を言わさず、細胞診の日程も決まっていた。
*穿刺(せんし)吸引細胞診おっぱいのしこりにちょっと太めの注射針を刺し、しこりの中の細胞を取る。その抜き取った細胞を調べ診断する。注射の針をしこりの部分に刺され、「カチン!」とホッチキスを打つような音がすると終了。この、「カチン!」の音の際に、細胞を抜き取っている模様。太めの針を刺すので、やはり、痛い。良性か悪性かは、この検査結果でほぼ確定できる。現在は、これ以外にも痛みの少ない検査が出てきている模様。6年前は、これが普通だった。
普通なら、大きな総合病院だと、検査の予約を入れるだけでも一週間後とか二週間後とか、もっと時間がかかるものだ。
短期間のスピード検査・診断・入院・手術だった理由は定かではないけれど、紹介状の力が発揮されたかもしれないのと、しこりの大きさと年齢を見ての判断だったと思う。
「自分ががんかもしれない・・・」という思いは、ここでほぼ確信に変わっていた。
そうして、それから1週間後に、両親と彼を連れて正式な告知を受けることになるのだ。
続く。
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