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早寝早起き玄米生活 ~がんとムスメと、時々、旦那~

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2013.09.02
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カテゴリ:がん・病気
レントゲンの画像に目を凝らした。
一瞬、息が止まった。


左肺に小さな影がくっきりと映し出されていた。


パソコン画面を見つめ続ける医師の深刻な表情。
ぼくの顔を見ないまま、医師はこう続けた。

「念のため、呼吸器内科の外来で専門医に診てもらった後、
CTをとりますか」



「腫瘍ですか」

「分かりません。
ただ、その可能性は、ないとは言えません」


看護師がすぐに呼吸器内科に連絡をとってくれた。


「正午に内科の外来に行ってください。
予約が取れました」


考える間もなく、
ぼくは、人間ドック専用フロアの6階から、
呼吸器内科がある1階に向かった。


頭の中が真っ白だった。
窓から見える空も曇っていた。


呼吸器内科の医師はレントゲン画像を見ながら、
「うーん、はっきりと影が写っていますね。現状では何とも言えません。
CT検査の準備をしましょう」


ぼくは「心配ないですよ」という言葉を期待していた。
だが、医師は言ってくれない。



あのときも、そうだった。
ぼくは、千恵が、乳がんの告知をされた13年前の7月を思い出した。
患者が安心するようなことを、
乳腺外科の医師はなかなか言ってくれなかった。



CTの撮影が終わった。
看護師が、ぼくにカルテを手渡し、ニコッと微笑んだ。


「5階のレストランで食事を済ませてきてください。
ゆっくりいいですよ。
食後に結果をお知らせしますね」

看護師の優しさが、一層不安を煽った。


千恵の告知のときは、結果を聞くまで、
ぼくは食事が喉を通らなかった。

今回、自分の場合は食べることができた。

千恵が再発を繰り返し、
その都度、家族で困難を乗り越えてきた経験があるからだろうか。

不安がないと言えばウソになるが、
思った以上に、ぼくは冷静だった。


でも、食事をしながら、いろんなことを考えた。


そういえば、半年ほど前から咳き込むことが多くなったなあ。
もし、がんだったら、はなにはどのように説明しようか。
家に帰っても、普通に接しよう。
入院したら、ばあちゃんに来てもらうか。
じいじの食事が心配だなあ。
ローンはどうしようか。
通帳は整理しておかなきゃ。
生命保険の受取人は娘でいいよな。
こんなときのために、遺書って書いておいたほうがいいんだな。
仕事はなんとかなるやろ。
とりあえず、今夜ははなと一緒にうまいもん食おう。


そして、最後に思った。


千恵ちゃん、助けてよ。
まだ、はなを置いて、死ねるわけないやろ。


強気と弱気が行ったり来たり。
やっぱり、ぼくは何にも成長していなかった。



食事を終えたところで、
始業式から帰宅したはなからの携帯電話が鳴った。


「パパ〜。きょうは遅くなると〜?」

「きょうは人間ドックやけん、今、病院におるったい。
夕方までには、終わるよ」


「やった〜! パパ、今夜は何が食べたい?
ごはん、一緒につくろうね」


「おー、そうやね」

そう言って、ぼくは携帯を切った。

娘の声を聞いた途端、涙があふれ出てしまった。




「ヤスタケさーん。診察室へどうぞ」

ぼくは、ドキドキしながら画像をのぞきこんだ。


画像をスクロールしながら、医師は言った。






「なーんも、ありまっせんね」


「えーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


「まったくないっ!」


「いったい、なんやったんですか! あの影は?」


「うーん、なんやろね。乳首かな?」


「チクビーーーーーーー?????」


「いやあ、滅多にないんですが、写ることがあるんですよ。
ヤスタケさんの場合、画像で確認できた影は、
左側だけだったから『まさか』と思ったんだけど。
まあ、よかったですね。ご安心ください」



自宅に戻って、はなに一部始終を話した。

はなは、「はあ〜?チクビ?」と首を傾げ、
直後に「パパ、めっちゃウケる〜」と腹を抱えて大笑いした。

つられて、ぼくも一緒にゲラゲラ笑った。


ふたりで笑ったら、腹が減った。


ここ最近の暮らしを振り返ってみた。
生活が、やや乱れていたような気がした。
お酒を飲む機会も増えている。
仕事も講演も遊びも、ちょっと、詰め込みすぎだ。

千恵の警告に違いない。

「油断したらいかんけんね〜。
はなちゃんがおるっちゃけんね。
あんたが頼りやけんね〜。分かっとるやろうね〜」

そう言っているに違いない。
身が引き締まった。
深く反省。


しかし、だ。


なぜ、
乳首は左右にあるのに、
左の乳首だけがレントゲンに写っていたのか?
それは、謎のままだ。

左右の乳首の大きさが微妙に違うのが原因だろうか。
位置に関係があるのか。
色の濃さだろうか。
それは、だれにも分からない。


考え始めると、ますます腹が減ってきた。


昨日の夜、はなと一緒に見に行った映画を思い出した。


「謎解きはディナーのあとで」



めし食ってから、謎を考えればいい。
そのうち、きっと忘れるだろう。

よっしゃ、
今夜は、カツ丼だ。

カツ丼食ったら、下剤飲んで、
あすは第2ラウンドの大腸内視鏡検査だ〜。

こわいなあ〜(泣)。









Last updated  2013.09.05 19:10:38
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