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カテゴリ:演劇、観劇
2004年秋に初めてフィリピンと日本の演劇人とのコラボレーションで上演されたのだと言います。今回はシリーズ第2弾。
3本の作品がオムニバスで上演されることは知っていたのですが、面白いことに最初の2作品は、主にフィリピンの俳優陣によるフィリピンバージョンと同様にジャパニーズバージョンとして同じ作品を交互に上演する「競演」の形式となっています。 上演作品は、 1.「アスワン ~フィリピン吸血鬼の誕生~」作・ロディ・ヴェラ 2.「それで裸になったつもり?」作・リザ・マグトト 3.「フィリピンパブで幸せを」作・内田春菊 事前に作品概要の書かれた資料を入手していたので、それを読んで行きました。作品によってはそれで正解。特にフィリピンバージョンの最初の作品は、粗筋を知って想像力を働かせて観ると理解が深まるので紹介します。 1.「アスワン ~フィリピン吸血鬼の誕生~」 ”フィリピンの吸血鬼(ASWANG=アスワン)の伝説を戯曲化。(略) 物語は山で殺されたある妊婦の胎児が、母親の体を食べ物とし、猪に育てられ成長することから始まります。成長したアスワンはやがて若い男と出会い、恋に落ち、子供を身ごもりましたが、幸せな日々もつかの間、男には家族があることを知ります。アスワンは失意のあまり・・・”燐光群【作品・作者について】より 生まれ出でたアスワン役アンジェリ・バヤニの大きな瞳が、作品の中心に存在しているようでした。静かな芝居が物語の持つ神秘性を高めています。 2.「それで裸になったつもり?」は、日本チームが先に上演するので、そのやり取りを楽しんでください。中高年の男女の、不条理的なところが魅力の作品です。木下祐子の表情が豊かで微笑ましい。そして翻弄されるのはたいてい男の方。鴨川てんしのひょうひょうとした芝居との絡み合いが絶妙です。 それぞれの持ち味を出し切ったところで、3.「フィリピンパブで幸せを」。 この作品だけ、今まで登場した俳優が集結して、混合しての上演です。 日本人の男性とフィリピン人の女性(?)のベッドの上での絡み合いから始まりますが、これはもう、競技後のエキシビションのように、両者の俳優が楽しみながら演じているのが客席まで伝わって、楽しい芝居です。 さて、字幕を表示するディスプレイが舞台向かって右側に配置されているので、中段から後方の、左側のエリアで観るのが見やすいでしょう。全席自由席となっています。 最後になりましたが、演出は2002年度文化庁研修派遣制度によりフィリピンに研修に出た吉田智久。彼が前作に引き続き演出を担当しました。 全てが舞台上に置かれたベッドの上での出来事です。タイトルからすると生々しい印象がありますが、伝説的な作品あり、ブラックユーモアありで、休憩なしの連続計5本のオムニバス作品の上演。場面転換もメリハリがあって、飽きさせることがありません。 2時間10分、別世界を旅した爽快感がありました。 公演期間が短いので、お早めに! (笹塚ファクトリーにて)
最終更新日
2006.03.25 23:56:35
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