2008/02/04(月)12:57
音楽劇『帰り花』(1/25-2/3)
幕末に若くしてその生涯を終えた吉田松陰とその門下生の物語。
吉田松陰に扮するのは、大浦みずき。
松陰は、その名を寅次郎と言いました。
彼の心が真っすぐに日本の将来を見つめています。
折しも黒船が来航し、日本はどの国にどんな対応をすべきか、態度を保留するばかり。
日本の外交を憂えた彼は、周囲の人々に今何をすべきなのか問いかけます。
世界を知るために企てた密航のために寅次郎は幽閉され、その志が挫かれたように見えましたが、投獄された牢獄で世の中に不満を持つ人々に、こんな世にどうしてなったのか、どうしたら変えられるのか、その仕組みを説き、ついには獄中に塾を開き、人々を開眼させていきます。
その後自宅で開いた塾には、高杉晋作や伊藤利助(後の伊藤博文)らも入塾し、彼らと志を同じくして日本の将来を模索するのですが・・・。
身分や職業に関係なく人として学ぶ権利があることを、真っすぐな心で実践して説いていく青年、吉田寅次郎を、大浦みずきが好演しました。
彼女の役への挑戦とも言うべきその姿は、それは宝塚の男役のものではなく、志を持ってただ純粋に生きる青年の姿を追求したものでした。
ここで潔く尊く描かれている人物像に、人々が追従するのも納得がいきます。
各方面から名のある若手俳優が脇を固めていますが、その一丸となって作品を作り上げる姿がとても新鮮に感じられました。
青年座劇場という小さな空間で、生バンドを配し、舞台装置を置かないその舞台は、作り手の挑戦でもあったのかもしれません。
歌も踊りもミュージカルのそれとは大きく異なりますが、作り手の自己満足に終わらない、探求心の溢れる作品に感じられました。
作・霜康司、演出・宮田慶子、装置・阿部一郎、音楽・立花泰彦、照明・中川隆一、衣裳・半田悦子
※2/3に公演は終わりましたが、公演詳細は、青年座のサイトで。
(青年座劇場にて)