2008/03/30(日)21:49
祝祭音楽劇『トゥーランドット』(3/27-4/27)
赤坂サカスに新しく建てられた赤坂ACTシアターは、とにかく舞台の天井がとても高いのに驚きました。
そして2階のA席という後方の席から舞台を観る角度は、歌舞伎座の3階席のようでした。と、言うことは、前の席のお客さんが前傾姿勢をとったら見えにくくなってしまいます。
しかし舞台の天井が高いということは、上の方から観ても舞台が何かに遮られることなく見渡せるという素晴らしいメリットがありました。
そんな舞台の造りに、演出家はよく応えてくれました。
演出は宮本亜門。
そして脚本は、鈴木勝秀。
個人的には、鈴木勝秀は演出よりも脚本の構成の方が好みです。
原作の主題にロマンの要素が織り込まれているように思います。
そして、作曲は久石譲。
トゥーランドットとカラフの毅然とした心情を、心に残るメロディで届けてくれました。
さて、オペラでよく上演される「トゥーランドット」は、プッチーニの壮大な音楽による女帝トゥーランドットの威厳が印象的な作品です。
一国を治める独裁的な権力を持つのですから、当然です。
三つの問いに正解できなければ命を絶たれるというのに、美しい彼女の前には求婚者が次々に現われます。
そのトゥーランドットには、華麗な台湾の歌姫、アーメイが扮します。
東方の島国からきたカラフ(岸谷五郎)という青年が、その問いに挑みます。
三つの問いに答えたものの、ワン将軍(中村獅童)が異国の者を受け入れるはずもなく、処刑を言い渡されてしまいます。
果たしてカラフは、このままその運命を受け入れるのでしょうか・・・?
民の頂点に立つトゥーランドットを、20段以上もある階段の上に据え、人々が見上げ、そして挑むカラフが駆け上がる構図は、それだけでこの作品を物語る巧みなものでした。
そして短時間に物語を完結させるのに配された役者陣が、的確にその務めを果たしているのを感じました。
繰り返し効果的に使われる旋律が、トゥーランドットと、彼女を理解し大きく包み込むカラフの心情を印象づけます。
アーメイと岸谷五郎が、互いの心をよく歌い上げていました。
余分なものを省き、そして彼らの衣裳が舞台装置以上の効果を舞台の上であげています。
スタッフの想像力を集結したような見事な舞台です。
大変豪華なプログラム(2,500円)を手に取ってみると、舞台衣装のハギレがついています。一冊ごとに異なるもののようです。
舞台と登場人物を身近に感じさせる演出が、ここにもありました。
演出・振付・宮本亜門、音楽・久石譲、衣裳・ワダエミ、脚本・鈴木勝秀、作詞・森雪之丞、美術・松井るみ、照明・中川隆一
※公演詳細は公式サイトで。
(赤坂ACTシアターにて)
写真は、桜満開の赤坂サカスにある初日のACTシアター。