真実一路

2024/02/22(木)19:04

「祟り」はあるのか? ~映画『八つ墓村』から

宗教・神秘(23)

女優の山本陽子さんが亡くなった(2月20日、81歳)。和服がよく似合う日本美人の雛形のような綺麗な人で、また潤いのある声も魅力だった。映画、テレビドラマ、舞台と活躍されたが、私が印象に残っているのは映画『八つ墓村』(1977、野村芳太郎監督)での多治見春代役かな。山本さんらしい品のいい役柄だった。天国で安らかに 🕯 ​ あの頃映画 松竹DVDコレクション 八つ墓村 [ 萩原健一 ]​ 『八つ墓村』のおもしろさ、出来栄えの良さなどはもう定評となっているので改めて書くこともないだろう。ただ、この映画のテーマとされている「祟り」とか「怨念」「因縁」といったオカルトチックなものについて少し書いておきたい。都会ではこうしたものは「ばかばかしい」と一笑に付されることが多いかもしれない。しかし、地方部では今も高齢者たちのなかに、これらを軽視できない重い事柄として恐れる人がけっこういると思う。 私の両親は東北地方の寒村の出だが、母の出身の村でこの多治見家と同じような恐ろしい因縁めいた家があったと聞いたことがある。その村には非健常者の出生が何代にも渡って続いた家があって、なんでもその原因が昔あった家どうしの泥沼化した諍いにあるというものだった。詳細は忘れたが、その村のA家とB家の間になにか争いごとがあって、その結果一方の家が没落するに至ったらしい。その没落した家の当主が今際の際に「○○代まで(あの家を)祟ってやる」と言い残した。そしてその後、存続し続けた家の子孫には非健常者の出生が続いたというのである。母が若い頃に聞いた話だというから、両家の争いがあったのは近世後半か近代に入った頃だろう。 もちろん今なら、これは遺伝学による説明によって済む話かもしれない。しかし、単に偶然の出来事とは思えない、あるいは合理的な説明のできない不可思議な事象は世にたくさんある。キリスト教では、神の前に「すべての人は罪人である」という前提がある。人間なら誰でも罪を犯してしまうということだ。学校なら「イジメ」、実社会なら「パワハラ」と、その当人が法の裁きを受けない悪事はつねにある。実害の発生はなくても、相手の気持ちを考えずに悪態をつく、陰で悪口を言う、悪意の謀をするといった人が必ずいるのだ。また、心ならずも相手に悪いことをしてしまった-ということは誰にでもあるはずだし、過去のそうした言動を忘れてしまっている人もいることだろう。 これまでの経験則で、「因縁」「因果応報」といったものは実際“ある”と私は信じている。それが神、仏と呼ぶ存在によるものかわからないが、重力や磁力のような目には見えない不思議な力が確かにある。

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