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2009年07月30日
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
昔、昔…。春のある午後、少年は森の中で、
日にさらされて色褪せた雑誌が落ちているのを見つけた。
何げなくページを開いた瞬間、若い女性の全裸写真が視界に飛び込んで来て、
思わず息を飲んだ。少年はまだ7歳か8歳だったけれど、
そんな少年でさえ、それが普通のものではないことくらい理解できた。
幼い少年にとって、それは目が眩むほどの衝撃だった。そして思った。
いつか僕もこんなふうに女の人を、と―。


角川ホラー文庫ということで期待しましたが、
まあ結論としてはハズレかなー…最初から最後まで面白くはありませんでした。
猟奇寄りのポルノとして紹介されていたらまだ納得だったかもしれません。

重要なのは内容情報の、幼い彼が見つけた「雑誌」というのが、
普通のエロ本類やちょいSMの類ではなかったということ。
1冊通して、やせ細って野良犬のようなガリガリの全裸女性達が、
皆一様に首輪と鎖をつけられ男性に跪くという「飼育」ネタという…。
森に本を隠しては毎日毎日ワクワクドキドキ眺める日々って、そりゃあ…歪みそうですね。

特定の蝶に固執しひたすらコレクション増やし続けたり、
喜怒哀楽は薄いのに以上にみなぎる性欲を持て余したり、
肉欲のためだけに結婚して子供が出来て、離婚して、
ともかく成長した彼は夢を実行すべく地下室を作ります。
閉ざされた6個の部屋(風呂・冷蔵庫など最低限の設備付)には、
それぞれ一人ずつ彼の「コレクション」となった女性が捕らえられ、
日々彼の喜びと肉欲のためだけに生かされ続ける…。ああ気持ちが悪い。

逃げ出そうとしたり反抗した場合は「しつけ」が行われるのですが、
あくまで鞭で打ったこともある、等簡潔に書かれているのがまだ幸いでした。
このへんまでねちっこく丁寧に書かれていたらたまらない…。。
しかし、痛めつけることに喜びを感じるわけでもなく、
ただただ罰を与えるという意識で焼印まで行う彼には、全身さぶいぼでした。

そして、青年が女性達をあくまで「コレクション」として、
気味が悪いほどある種冷めた目で見てしかいないというのに、
2匹の犬には「家族」としてそれなりの関係を与えているのがさらに怖い。
話し相手やぬくもりや情、そういったものは全て犬で間に合っていて、
つまり本当に女性達には「コレクション」としての枠しか求めていない。。

最後の最後で女性が頑張って逃げ出し、自由を手にしようとするのですが、
結果的に青年すら想定していなかった事態により、彼女の脱出は阻まれてしまいます。
後味悪いったらありゃしない。

  この2冊の方が私は好みでした。
・特に「死人」は、死体の女性しか愛せない主人公が死体を飾り立て欲望をかなえ、
さらにそのうち望みの死体を自力で調達するに至ってしまう話なのですが、
まだ、まだ、まだ主人公の女性への恋心があるし、情が有る。
恋人にした死体には優しくあくまで愛情を持って接するし、彼なりに大切にする。
・「水底」はもっと単純に、深く愛した男性との仲を引き裂かれ殺された女性が、
自分を殺し、それを忘れてぬくぬくと幸せに生活する女たちを次々殺す話。
ちなみに彼と彼女の関係に限っては、死後も生前も純愛傾向なのです。

       






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最終更新日  2009年07月30日 12時38分38秒
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