2019ゲーム年度 私的ボードゲーム十選
前年のシュピール直後から今年のシュピール直前までの「ゲーム年度」で印象に残ったゲームから10タイトルを選んだ。今年度私が初めてプレイしたゲームから選んでいるので新作とは限らないし、プレイした順に挙げているだけで順位付けなどはしていない。 過去の十選はこちら。2012ゲーム年度 私的ボードゲームベスト10 その1 その22013ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2014ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2015ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2016ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2017ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2018ゲーム年度 私的ボードゲーム十選●裏切り者レガシー(Betrayal Legacy) 去年の予言通り、今年の1つ目はこれで決まり。これを選ばずに何を選ぶというのか。最高のゲームであることが確定している「丘の上の裏切り者の館」×最高のゲームシステムの一つであるレガシー=超最高。パブリッシャーの方針とかで日本語版は絶望的らしいから、みんな諦めて英語版買ってプレイするように。元ゲーやったことない場合は合わないかもしれないから、一度はそっちをやってからの方がいい(残念ながらこのゲームにチュートリアルモードはない)。プレイも翻訳も止まっちゃって久しいけど、絶対完走して翻訳するから信じてついてこい!●ガンジスの藩王 あんまり大騒ぎされなかったが、これもよかった。所持金と名声を交差させるという終了条件。全体ボード上でのワープレと船ボーナスでインタラクション確保して、手元で箱庭作らせる。こんだけ愉快な要素てんこ盛りにして、それらが邪魔することなく互いの味を引き立ててたらそりゃおもしろいわな。舞台がインドではなくヨーロッパだったら、そして和訳付き輸入版ではなく日本語版だったらもう少し日の目を見られたかもしれない。惜しい。●リフトオフ 一方こっちは、多少の早取り要素はあるものの、どちらかというといかにうまく各要素をマネジメントするかに焦点を当てた多人数ソロプレイ気味ゲーの傑作。まず最初に強力なシステムであるカードドラフトを入れてるところが強い。もうこれだけでソロプレイ感はぐっと薄くなるし、おもしろさの半分は保証されちゃうしなw いつもの1周遅れで日本語版が出るみたいだからみんなプレイするといいよ。●クランズ・オブ・カレドニア テストプレイは一昨年やった気もするけど、純粋に娯楽のためにプレイしたのは去年初めてなので採用。私が今さらどうこうつけ足す必要もない傑作。自ら「テラミスティカ」フォロワーを謳っているが、充分に違うゲームなので好きなら両方持ってプレイしていいよ。元パブリッシャーのKarma Gamesも、デザイナーのJuma Al-JouJouもこれを出した2017年以降動きがないのが残念なところ。じっくり時間をかけて重ゲーを作ってくれてるならいいんだが。英語発音ベースでカタカナ邦題つけるなら「クランズ」ではなく「クランス」とすべきだったなーとずっと思ってたけど、今調べたらクランズでいいっぽいな……じゃあいいかw●スペースコープ(SpaceCorp) 戦争テーマのゲーム(そして当然大半がウォーゲーム)を得意とするGMTがたまに気が向いたときに出すそれ以外のゲーム。当たり率は半々くらいか。「アーバン・スプロール」の悲劇は今なお記憶に新しいところだw これは幸いにも当たりの方。第3時代が最高におもしろいのだが、それを充分に味わうには第1、第2時代も欠かすことはできず、しかしそうするとプレイ時間が長すぎるというのが難点だ。第1、第2時代を(まったくなくすのではなく)かなり短時間化することができれば傑作の仲間入りもできるのだが。来年には各プレイヤーに大きな固有能力を持たせたりする拡張「SpaceCorp: Ventures」の発売も予定されてるので、次はこれも加えてプレイしてみたいね。●パンデミック:ローマの落日 正直言って、これまでの「パンデミック」派生ゲーはどれも大なり小なり好みではなく(「パンデミック」の名前だけ借りた別ゲー系統はまた違ってくるけど)、これもそのうちの一つかなーと思ってたが、意外によくて予想を覆された。こちら側の移動力のなさと敵の移動力低下がかみ合った感じかな。もう「“パンデミック”とは……?」ってのは言いっこなしでw●エスノス 上記の「パンデミック:ローマの落日」と同じデザイナー、Paolo Moriの傑作陣取り。この人のゲームはBGGランキングで一つも100位以内に入ってないが、ここ10年で出した重ゲーがほぼ全部1000位以内に入っているという、まさに中堅デザイナーだ。このゲームはテキストのあるカードしか使わないので能力バチバチゲーかと思いきや、重ねてプレイしたときには一番上の能力しか発動しないとか、何よりプレイ後に余った手札は全部捨て札になるとかいったルールがぴりっと効いてて硬派な陣取りになってる。「アメリトラッシュはおなかいっぱいだけど、あんまり地味でプレイ中にみんな黙り込んじゃうようなのもちょっと……」という贅沢な層に強くおすすめだ。●ザ・ボス これをやれただけで温泉合宿に行ってよかった。ブラフと推理のマリアージュ。いやほんと、プレイヤーが選択しようがランダムに抽出しようが結果が変わらないなんちゃってブラフゲーとか、「シンプルなのに奥が深い(笑)」ゲーはこれを100回プレイしてから世に出してほしい。正解の1つがここにあるよ。私が自分では絶対見つけられないような傑作がまだまだごろごろしてるのかと思うと、ボドゲはやめられないねw●アンタークティカ これも見過ごしてた良作。ルールまで訳したのになw まあとにかく「ぶっちぎりトップになるより競り合ってトップになる方が点が高い」ってルールが最高にいやらしい。他の要素は全部地味なのにこれだけで全部ひっくり返してる。元パブリッシャーがもうお亡くなりになってるっぽいので、ペガサスは「ハンザ・テウトニカ」だけじゃなくてこれもリメイクしてくれないかな。●イマジナリウム 奇矯な見た目とは裏腹に、いたって普通のおもしろいゲーム。つーかそこらの普通におもしろそうな見た目のゲームよりずっとおもしろいw 夢テーマって私的には地雷なんだけど(夢の話されるのが苦手だから。どんな話されても「へーそうなんだ」以外言うことないしw)、このゲームには実際には夢要素(夢だから何でもありってやつ)はまったくないので無問題。スチームパンクテーマとかの方がずっとよかったのになー。あと歯がきもい。そこだけ我慢すれば定番になり得る拡大再生産ゲーだよ。 そしてもちろん、今年も例年通りいかんともしがたいのもあった。以下はそんなボードゲームゴールデンラズベリー賞。もっとがんばりましょう。ビンゴリノディスカバー:未知なる大地へBook of Dragons3×8ラマ 今年も大勢の方に遊んでもらいました。相変わらず定例会に参加してくれているメンバーに感謝を。来年もいくつかレガシーゲーや1回性の高いシナリオ/謎解き系ゲーをやることになると思うけど、現状の参加率だとプレイ方法を考えないとねー。みんながそこそこ納得できるやり方で何とか完走しましょう。 高価なゲーム、珍しいゲーム、言語依存性が極めて高いゲーム、私が見つけられないであろう良ゲームを遊ばせてくれた旅団長さん、一味さん、いたるさん、ヒガさんに感謝を。「ボドゲはやらなきゃ分からない」が信条ですので、今後もやばそうな奴をいろいろ遊ばせてください。でもリスクとシエラマドレは勘弁な。 全員のお名前を挙げることはできませんが、オンにオフにとボドゲ関係でお相手していただいたすべての皆さんに感謝を。 拙い和訳を多数採用していただいたホビージャパン様とテンデイズゲームズ様に感謝を。 今年は新たにEngames様に「グレンモアⅡ」で和訳を採用していただきました。ありがとうございます。まだお話しできる段階にありませんが、こちらのEngames様からも、以前「アンダーウォーターシティーズ」で採用していただいた数寄ゲームズ様からも別のゲームで和訳を担当させていただくことになっており、ありがたい限りです。 新しいご依頼はいつでもウェルカムなのでお気軽にご連絡ください。 昨年にも増して多くのご依頼をいただいた上、レガシー/シナリオ系ゲームが増えて1本当たりにかかる時間が増え、今年は趣味では「裏切り者レガシー」くらいしか紹介できませんでした。この傾向は来年も続きそうです。何とか「裏切り者レガシー」だけは完走して最後まで翻訳・公開したいところですが、いつまでかかるか分かりませんので気長にお待ちください。艦これ? 艦これは余暇にやるものではなく生活の一部なのでもうこれ以上減らせません。エンゲル係数と一緒ですね。 レガシー性はないものの、シナリオを組み込んだゲームが今後は増えてきそうです。翻訳は大変ですが、担当した場合にはプレイした人が楽しめるよう最善を尽くしたいところです。 もう一つの波はマーダー(または非マーダー)ミステリーでしょうが、これは私にとってはTRPGやリアル脱出ゲームと同じ枠の「ファン層はある程度かぶってるけど異なる娯楽」なので、このブログで取り上げることはないと思います。個人で購入できるものが減っていくようなので、ますますプレイ機会もないでしょうし。 紙とペン(そしてサイコロ)系ゲームもまだまだ出てきそうです。相変わらず興味の範疇外なので詳しくないですが、そろそろ紙ペンであることに大きな意味があるものが出てきましたかね? 出てたら教えてください。 来年もまた面白いボードゲームをたくさんプレイできますように。