2024ゲーム年度 私的ボードゲーム十選
前年のシュピール直後から今年のシュピール直前までの「ゲーム年度」で印象に残ったゲームから10タイトルを選んだ。今年度私が初めてプレイしたゲームから選んでいるので新作とは限らないし、プレイした順に挙げているだけで順位付けなどはしていない。 過去の記事はこちら。2012ゲーム年度 私的ボードゲームベスト10 その1 その22013ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2014ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2015ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2016ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2017ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2018ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2019ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2020-2021ゲーム年度 私的ボードゲーム七選2022ゲーム年度 私的ボードゲーム十選2023ゲーム年度 私的ボードゲーム十選●チャレンジャーズ! 対象年齢低めの軽いパーティーゲーなので私の好みからは大きく外れるはずだが、これはよかったね。アイディアの勝利。何人集まろうが2対2でリーグ戦して決勝戦するというのは、勝敗だけ勘定すると終盤の試合に意味がなくなりがちだが(決勝に出られないプレイヤーは戦うモチベを保てない)、このゲームでは終盤ほど高得点になるという、現実世界ではとうてい認められないがボドゲではすんなり受け入れられるシステムで逆転性を担保している(それでもダメなときはダメだがw)。そして本質的には坊主めくりだが、ただの坊主めくりでさえ山を自分で構築すれば面白いということに気づかせてくれたのも素晴らしい。まだまだボドゲには可能性が残ってるな!●ワイマール:民主主義の戦い 日本語版が出たのが未だに信じられない枠。4人専用、戦間期のドイツがテーマ、ばかでかい箱……なんでこれを出そうと思ったのかw 4つの政党が異なる勝利条件を目指して独自のカードを使ってデッキを構築していき、ドイツ全域での影響力、議席、議題の3つの分野でしのぎを削るというのはポリティカルゲームとして間違いなく面白かった。しかし……全然知らない分野についてヒイヒイいいながら訳したので、本職の歴史学者さんたちがプレイしてると聞いたときには冷や汗が出たw●チケット・トゥ・ライド・レガシー:西部開拓記 メジャータイトルをロブ・ダヴィオーがレガシー化したら面白くないわけがない。しかもマット・リーコックまで関わってる。はいはい傑作傑作w とはいえ、パンレガ1や裏切り者レガシーと同じく、チケライ初のレガシーということでシステムに問題がまったくないとは言えない。線路を引きたくなくなるような追加要素は入れないで欲しかったし、葉書が偏らないようにするルールも欲しかったな。このあたりのフィードバックは当然パブリッシャーにも行っているはずなので、ヨーロッパ版チケライレガシー2では改善して欲しいね! いや全然情報ないですけど! さすがに出さない理由がないでしょw●The Golden Ticket Game 箱が地味すぎるしアートワークもちょっと古い感じだったからレトロゲーだと思ってたけど、出たのは2021年だった。割と人気のある「イスタンブール」の原型みたいなものかと思ってたけどこっちの方が新しかったw ランダムに配置されたタイル上を移動して効果を適用していく。そこに射幸性が追加されてるんだから、もう面白くないわけがない。「イスタンブール」好きな人にもそうでもない人にもお勧め。すべての特殊効果がアッパー調整されてて、割とあっという間に終わるのもいい。版権ものだけど、オリジナルテーマに変えて日本語版出ないかなー。●イーオンズ・エンド:新たな時代 間違いなく面白い「イーオンズ・エンド」の、4シナリオのミニキャンペーンゲー。シールを貼るのでレガシーと言ってもいいだろう。面白い元ゲー+キャンペーン(レガシー)システム。はいはい面白い面白いw 終わったあとは基本ゲームの拡張として使えて無駄がない(多少の調整は必要だが)。 やっぱ「イーオンズ・エンド」はいいねー。拡張もいっぱい出てるしねーきっとこれから完全日本語版でもばんばん拡張が出るんだろうなーw●ニュークレウム ここに来てようやく本格的な重ゲーからの選出。重ゲー好きなのに相変わらずレガシー・キャンペーンゲーやニッチゲーばかりやってるからなw これも時間がなくてほんのさわりしかプレイしてないんだけど、それでも充分な面白さの片鱗を感じることができた。アクションタイルの使い方の二択に、電力供給できるようになるまでの長い道のり。辛いところしかない! だがそれがいいw 拡張もばんばん出てることだし、何とかしてプレイ機会を作って今度こそ完走したいところだ。●Slay the Spire: The Board Game 「ドミニオン」が生んだデック構築ゲーの世界に新たな転機を(デジタルゲーで)もたらしたゲーム。そのボドゲ版。そりゃ面白いんだろうなーと思ってたけど、ちょっとなめてたね。めちゃクソ面白いw デック構築の元となるカードプールが完全に個別。しかも手に入るカードがランダム(だいたい3択)。確かに“デック構築”と言うより、もう“スレスパ”だわw TCGだっていくらパック剥いても欲しいカードが手に入るとは限らないのに面白いんだから、そりゃ思い通りに組めないデック構築だって面白いわな。でも今まで誰も気づかなかったんだよなー。目の付けどころがシャープすぎる。 とはいえ、現状ではそれでもカードプールが少なめで、序盤こそ巡りが悪いと瀕死になることもあるが、レベル1をクリアできたころには(特に4人プレイだと)かなり盤石になってしまうので、できれば追加カードが欲しいかな。もちろん、スレスパ2ボードゲームにも期待したい。絶対出るだろw●環状鉄道都市の宝(アイゼンバーンシリーズ) これまでも小さめの国産持ち帰り謎はいくつかやらせてもらってたが、本格的なのはこれが初めてだったように思う。そして「謎解きは『アンロック!』シリーズが至高」と信じて疑わなかった私の蒙を啓いてくれた素晴らしいゲームだ(もちろん、コンポーネントがおおむねカードのみ、解答の大半が数字にならなければならないという制限下で「アンロック!」シリーズが非常に優れていることに間違いはないが)。 段階的に難しくなって行く謎。コンポーネントのいたるところにちりばめられているヒント。ストーリーと謎の融合性。どれを取っても素晴らしかった。ヒントを見るのに会員登録しなきゃならない(しかもその手順がめんどくさい)ことだけが玉に瑕だが、今作をきっかけに国産持ち帰り謎を自分でも買うようになったくらいによくできてた。続編も積んでるのでストーリーを忘れないうちに(なんと物語が続いているのだ)最後までプレイしたい。●レジサイド トランプのジャック、クイーン、キングを敵に見立てて、全プレイヤーが手札を使って攻撃して勝利を目指す協力ゲーム。トランプを使ってプレイできる新たなゲームのコンテストがあって、そこで入賞して商品化されたゲームらしい。なのでルールを知っててトランプを持っていればプレイできてしまうわけだが、このアイディアには専用カードに金を払う価値がある。ただのトランプだとテーマに乗り切れなくて味気ないし、日本語版専用のハートのエース(芝犬)も可愛いしなw このゲームを元にした「レジサイド・レガシー」のクラファンに出資するかどうかを判断するためにプレイしたが、レガシー要素抜きでも十二分に面白かったので即バックした。そっちが届くのも楽しみだ。●Clank! Legacy: Acquisitions Incorporated 最後はまたもレガシー。大本のルールを覚えてしまえばあとはちょっとずつ増えてくだけだから、実はレガシーゲーはおじいちゃんに優しいんだよね(ストーリーは忘れる)。何度でも繰り返すが、優れた元ゲー+レガシーシステム=最高。レガシー神のロブ・ダヴィオーが噛んでなくてもいいものは作れる。「チャーターストーン」くんはちゃんと反省しろよw シナリオ部分も全部自分で訳したので、他の4人にプレイさせて私はドラゴン袋から駒を引く役だけやってたが、見てるだけでも充分に楽しかった。特にこのゲームは、YouTubeで配信されてるコミカルな展開が売りの「D&D」リプレイの世界設定が元になってるので、対戦型レガシーゲーにしては殺伐とした雰囲気になりづらいのもいい。 来年には続編の「Clank! Legacy 2: Acquisitions Incorporated - Darkest Magic」も届くので、また翻訳して遊んでもらおう。番外●マドリカ不動産2 電源ゲームだけど謎解きゲーマー、ボードゲーマーとの親和性がかなり高いと思うので挙げておく。パズルを解いて不動産に巣くうオバケを撃退する。基本的には1人ゲーだが、モニターを囲んで複数でわいわいプレイした方が面白いだろう。私は1の方は未プレイだが、中身はほぼ同じなので、やるならそっちからの方がいいかも。ただし1の方はオバケがちょっとグロくて不評だったらしく、2では改善されてかわいらしくなってるので、私みたいに耐性が限りなく低い人は確認してからの方がいいかもねw さすがに近年は何をやっても大なり小なり面白く、どうしようもないものは商業レベルではずいぶん減ったように感じた。そんな中でも、同人を含めて本当にどうしようもないものもわずかにあった。以下はそんなボードゲームゴールデンラズベリー賞。もっとがんばりましょう。東大紛争オルトレーパストニヒト 今年も相変わらず定例会に参加してくれているメンバーに感謝を。来年は「クランクレガシー」の最終回をプレイして……どうしますかね? まあ依然として積みゲーを崩していくか、翻訳が終わったら「マッシブ・ダークネス2」でもやりましょう。 国産謎解きゲーの良さに気づかせてくれたり、守備範囲外のクラファンゲーなどを遊ばせてくれたりしたいたるさん、旅団長さん、一味さんに感謝を。「ボドゲはやらなきゃ分からない」ので、今後もいろいろ遊ばせてください。でもシエラマドレは勘弁な。「アイゼンバーンシリーズ」も積んでるし、日本未流通の「アンロック!」シリーズも買ったし、タカラッシュの超長時間謎解きもやりたいところですな。 遠いところから来て貴重な時間を割いてお誘いいただいたKanaさんと、段取りをつけてくれたしいたけさんに感謝を。いい歳して人見知りな上に人付き合いがへたくそなので印象悪かったと思いますが、また機会があったらお声かけください。醤油おいしかったですw 和訳を多数採用していただいたホビージャパン様、テンデイズゲームズ様、Engames様、数寄ゲームズ様、ケンビル様に感謝を。新たなご依頼はいつでもウェルカムなのでお気軽にご連絡ください。よほど締め切りまで間がないか、他の案件で手一杯のときを除いて、仕事であればくにちあだろうがシエラマドレだろうがどんなご依頼でもだいたい承ります。そろそろインボイス廃止は諦めて発行事業者にならないとないとだめですかね……。 「艦これ」引退後、なんだかんだで「シレン6」もやってないので暇なはずですが、空いた時間で漫画や小説を読んだりしてて、趣味の翻訳は思ったほど進みませんでした。1年以上積んでるゲームくらいは何とか終わらせたいと思います。 今年のトレンドは環境テーマですかね。植民地テーマとかがほぼ絶滅して擬人化動物になった上、やたらとエコを前面に押し出したゲームが多かった気がします。いやテーマはそれでもいいんですけど、シュリンクをシールにしたのは本当にいただけない。ヨーロッパの連中はずいぶん昔に木材を使いすぎるのは環境によくないとか言って日本の割り箸産業を根絶やしにした前科があるので、今回もそんな感じだと思っています。海を渡るゲームくらいちゃんと保護して欲しいところです。 なんかもう1ドル150円以上が当たり前になってますが、これじゃもうほんとに輸入してられないので、来年こそは円がもうちょっと高くなってくれますように。そしてまた10作選べるくらい無事に過ごせて、面白いボードゲームをたくさんプレイできますように。