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先日の日記に書いた、「マレ・ノストルム」の拡張セット。基本的なルールはそのままに、いくつかの要素が追加されている。
まずは拡張マップと、それを使用した6人プレイルール。6人目は神話上の島国、アトランティスを担当することになる(↑左端)。マップの端に位置し、レアな産物である奴隷と陶器(この拡張で追加された新たな産物)を確保できるので拡大しやすいが、2大軍事国家であるローマとカルタゴが直近の相手なので、いったん国境が接したあとは苦戦しそうだ。逆にこの2国家の圧力が相対的に低くなるので、他の3国は少し楽になるだろう。エジプトに楽させたら駄目だと思うけどw
新たな一般英雄カードが21枚も追加され、その幅広い能力によってさまざまな戦略が可能になった。強力な“コンボ”もあり、誰がどのカードを取ったかを把握する必要がより増した。また、これら強力な新カードに合わせて、基本セットの英雄カードも一部能力を強化され、バランスが取られている。
交易フェイズと建設フェイズのあいだに“神々への供物”フェイズが追加され、それに伴って新たな役割である“高司祭”(このフェイズ中の手番順を決定する)と、供物(カードのセット)をささげることによって得られる神カードが用意された。神カードの効果は英雄/七不思議カードに輪をかけて強力だが、ターン中に1回しか使用できない上、次ターンの神々への供物フェイズまでしか使えない。つまり使い捨てだ。建設に必要なカードセットを揃えるだけでも苦労するのに、強力とはいえ使い捨ての神カードにカードセットを払えるかどうか。コストパフォーマンスを見極める力が要求されそうだ。
新たなユニットとして“神話の怪物”が追加された。これは強力な陸上軍事ユニットで、言ってみれば“移動する要塞”だ。軍団駒同様に地域から地域へと移動することができ、要塞駒と同じく、戦闘時には自動的に6の目を出したと見なされる。そのうえ、神話の怪物は文明ごとに固有で、それぞれ特殊能力を持っているから手に負えない。ダイスを振る前に敵の軍団駒を除去してしまうギリシャのケンタウロス、隣接するエリアのユニット(ガレー船さえ!)を一方的に攻撃できるローマのタイタン、海中に“潜り”、任意の海域に“浮上”してガレー船を攻撃できるアトランティスのクラーケン……どいつもこいつも超強いw 建設コストがカード6枚と高価で、最大3個しか持つことができないのがネックだが、中盤以降に他プレイヤーの領地を攻めに行くなら1個は持っていたいところだろう。
最後に、基本セットでは強弱がありすぎた各国家間のパワーバランスが改善されている。ローマの英雄「カエサル」は要塞駒を安く建設できなくなり、カルタゴの「ハンニバル」は軍団駒、ギリシャの「ペリクレス」はガレー船駒を最初に1個だけ首都に置けるようになった。また、通常ルールだと海戦は任意で、同じ海域にある他国のガレー船を攻撃するかどうかを決めるのは手番プレイヤーだけだが、ギリシャは自分の領土が侵略されそうなときに限り、手番プレイヤーの陸上ユニットを輸送するガレー船を割り込みで攻撃できるようになった。特に後者のルール追加により、基本ゲームではまず勝ち目のないギリシャも地中海の島に拡大することで勝機が得られるようになったように思える。
「マレ・ノストルム」が面白いゲームなのは確かだし、この拡張も是非試してみたいが、実際プレイするには障害が多いだろう。実質5人専用だったのが実質6人専用になり、プレイヤーの確保がますます困難にw また、おおもとのフランス語ルールからして表記が曖昧な上、その英語訳ルールの精度が近年のゲームに比べて段違いに低いため、プレイに差し支えそう。英雄が21人追加されたと書いたが、そのすべての解説が短すぎ、それを読んだだけでゲーム中に揉めそうな状況がいくつも思いついてしまうレベル。BGGを見てみると、案の定すべての英雄について質問スレッドが立っていたw そして何より、2005年発売(基本セットは2003年)とさほど古くもないのに、どうやらすでに絶版のようなので、入手が困難。やりたくても手に入れるところから苦労するだろう。
それでも、何とか現物とプレイヤーを用意し、曖昧なところをつぶしてプレイするところまでこぎつければ、苦労に見合った時間を過ごせるだろう。これだけの多人数でやる文明発展系のゲームを、比較的短時間でここまで楽しめるゲームは珍しい。「シビライゼーション」なら4人で9時間、「スルー・ジ・エイジス」なら3人でも5時間(いずれも私が初見でやったときの数字)かかるところを、これなら3時間で終わるしねw 間違いなく、いくつもの障害を乗り越えてプレイする価値のあるゲームだ。
BGGの和訳ページ:
「マレ・ノストルム」
「マレ・ノストルム:神話拡張」