ボックスアート
ゲームボード
デザイナーはRudiger Dorn。「ドーン歩き」という独特の駒の移動ルールが知られているが、どちらかと言うとこのルールを採用しているゲームの方が少ない。キッズゲーム、アクションゲーム、ストラテジーゲームと幅広くデザインしており、BGGランキングでも30位に「Goa」を、その他5作をアベレージ7点以上、400位以内に送り込んでいる実力派だ。パブリッシャーは老舗のKosmos(創立は1822年だそうだ。びっくりした)。この「ワカワカ」は2004年に発売された「ジャンボ」と同じ世界観のゲーム……ということになってるが、システムはずいぶん違う。それじゃ共通するのは舞台がアフリカってとこだけじゃねーかw そんなゲームいっぱいあるわw なお「WAKA WAKA」とはスワヒリ語で、英語にすると「Do it!」となるらしいが、日本語でそのまま「それをしろ!」とか「やろう!」とかいう意味なのかどうかは分からない。
プレイヤーはアフリカの商人となって、川の上流から小舟で運ばれてくる商品を買い付け、村に売り払って利益を得る。しかし勝利条件はがっぽり儲けることではなく、村で最も高い地位に就くことだ。そのためにはシャーマンが提示している商品を村に寄付しなければならない。寄付だから当然タダだw 誰かが村の権力ピラミッドの頂点に上り詰めたら、そのラウンドを最後までやってゲーム終了。一番地位が高いプレイヤー(複数いるなら所持金の多い方、これも同額ならあとから地位を上げた方)が勝ち。
対象年齢10才以上となってる割には、ルールは非常にシンプルだ。手番プレイヤーは手札を0~3枚プレイし、その効果を適用し、カードとお金を補充する。基本的にはこれだけ。
カードは66枚あるが、そのうち約1/3の20枚は「交易」カードなので、主にこれを使ってゲームを進めることになる。「交易」カードには「商品の購入」「商品の売却」「地位の向上」の3アクションが割り当てられており、プレイヤーはこのうち1つを選んで実行する。
「商品の購入」を実行すると、ボード上にある4隻のボートから1隻を選び、その上にある商品タイルをすべて購入できる。何故か下流にあるボートほどたくさん商品を積んでるが、その分高い。また、各ボート上にあるタイルのうち2枚は伏せて置かれているので、自分が欲しいタイルが積まれているかどうかは買ってみないと分からない。買い付けた商品タイルは1人6枚までしか保持できないので、できれば倉庫がいっぱいになる前に適宜売却や寄付を実行しておきたいところだ。
「商品の売却」を実行すると、手持ちの商品タイルを村に売却して10金を得ることができる。このとき何でも売れるわけではなく、「同種の商品タイル2枚」でなければならない。
「地位レベルの向上」では、シャーマンが求めている商品タイルを村に寄付して、自分の地位を1つ向上させる。必要な商品はボード左下に示されており、一番下っ端になるには「任意の同種の商品タイル2枚」でいいのだが、ボスになるには「革2枚と織物2枚」が必要になる。売れば20金になるところを寄付しなきゃいけないのだから大変だw
地位を上げなきゃ勝てないので、「交易」カードは非常に重要だ。だから数が多いわけだが、それでも手札に来ないときもあるだろう。そんなときは任意のカード3枚を裏向きで出せば「交易」カード1枚として使うことができる。当然あまり頻繁にやるべきではないだろうが、ここぞというときがあるかもしれない。そんなときには躊躇しないことw
その他、特殊カードが9種4枚ずつある。どれも強力なので使えるだけ使いたいところだが、1手番に使えるカードは3枚まで。そしてここがこのゲームの肝だが、「カードをたくさん使ったプレイヤーは、その分補充が少なくなる」のだ。カードを1枚も使わなければ(つまり手番をパスすれば)補充点を3点もらえるが、3枚使ってしまうと1点ももらえない(つまりまったく補充できない)。1点ごとにカードを山札から1枚引くか、銀行から1金をもらえる。カードを2枚使ってしまえば、もう補充点は1点になってしまうので、カードを最大1枚しか引けない。減る一方w しゃがんで補充に重点を置く手番と、一気にアクションする手番の見極めが重要になるだろう。
また、カードにはお金マークのついているものがある。手番プレイヤーがこのマークつきカードを使った場合、他プレイヤーもその効果を使うことができるのだが、手番プレイヤーに1金を支払わなければならない。この相乗りルールが、このゲームにおける一番のインタラクションとなっている。
大まかに説明するとこんなところだ。他プレイヤーとの絡みは、前述のアクション相乗りを除くと「相手が欲しそうな商品タイルを先に買ってしまう」くらいか。これも裏向きの商品タイルがあるので、完全にブロックすることはできないだろう。「交易」以外のアクションカードを使えば、相手プレイヤーの手札の効果を使ったりもできるが、ほとんどはボード上の商品タイルをいじったりする能力で、他プレイヤーとは関わらない。シンプルで絡みが薄いとなると、ちょっと淡々と進みそうな気がするが、果たしてどうなのか。最初デザイナーを持ち上げるようなことを書いたものの、個人的には2008年の「ダイヤモンドクラブ」を最後に糞ゲーしか作っていないという印象なので、かなり心配だw KOSMOS扱いということで、国内流通は間違いないだろうから、これが杞憂に終わることを期待したい。
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