2004年に初版、2010年に2版が発売された「Betrayal at House on the Hill(丘の上の裏切り者の館)」。なんかすげーゲームだというのはときどき聞いていたが、テーマがオカルトということで敬遠していた。しかし2017年、「D&D」のバルダーズゲートを舞台にしてファンタジーにリテーマした「Betrayal at Baldur's Gate(バルダーズゲートの裏切り者)」が発売。オカルトゾンビはノーサンキューだが、ファンタジーゾンビなら話は別だ。そしてプレイさせてもらったところ、これがもうめっちゃくちゃ面白い! 勝敗ではなくプレイ中の体験を楽しむことに特化させることで、一対多ゲーが抱える根本的な問題(バランス調整が至難)を完全にクリアしてる。何せ大してバランス調整する必要がないからな! こんなイケてるゲームをテーマで敬遠してたとか、もうほんと愚かとしか言いようがないw
そして今年、2018年。そんな「丘の上の裏切り者の館」にレガシーシステムを搭載した「Betrayal Legacy(裏切り者レガシー)」が発売された。デザイナーの1人がレガシーの祖と言うべきRob Daviauだから、まあ必然の流れだ。問題はアホみたいに高い言語のハードルだが、幸い私にはそれを苦にしない(苦にしないとは言ってない)メンバーがいる。なので即行で買ってプレイした。いたるさん、旅団長さん、一味さん、私の4人。
●裏切り者レガシー Today's MASTERPIECE!!
元ゲーである「丘の上の裏切り者の館」についての詳細はこちら↓
ある元心理カウンセラーのボードゲーム日記:ボードゲーム 丘の上の裏切りの館(Betrayal at House on the Hill) リプレイ!
「バルダーズゲートの裏切り者」のプレイ記録はこちら。
全員に事前にルールを読んでもらってたので、ルールブックの冒頭にある元ゲーとの違いだけを軽くおさらいしてすぐにプレイ開始した。ボドゲやるならこのスタイルに限るな! インスト1時間越えとか、それで喉が枯れちゃうとかもうやってられんw
レガシーシステムによるキャンペーンモードがあるとか、カードや能力値関係のちょっとした追加用語があるといった細かいところを除けば、大きな違いはアイテム/イベントカードも部屋タイルと同様に特定の領域に属しているというところくらいだ。このため、各アイテム/イベントカードは対応する領域でしか引けない。これがゲームにどれほど影響を与えるかは未知数だが、まあ屋外(今回は屋外領域がある)に本だの銃だのが野ざらしにされてる可能性がなくなるので、フレーバー的には意味があるだろう。
また、「バルダーズゲートの裏切り者」では各部屋タイルが1領域にのみ属しており、複数のタイルの山を作る方式だったが、「裏切り者レガシー」では一部の部屋タイルが複数の領域に属するスタイルに戻った。私は前者の方が面倒がなくて好きだが、特に「裏切り者レガシー」では序盤のゲームで使うタイルの枚数が極端に少ないので、館の構造が硬直化するのを避けるためには仕方のないことだろう。
ゲーム開始時に必ず置かれる初期タイル4枚。最初のゲームではこれ以外にあと数枚しか部屋タイルがない。狭いなw
システム的な面白さはもう保証されてるので、あとはシナリオの出来不出来ということになるのだが……お分かりの通り、ここを詳しくは書けない。書けないが、これだけは言ってもいいだろう。
超面白い。
レガシーゲーで大事なことの1つに「第1話が強い誘因力を持ってる」というのがある。何せたいていは10回以上そのゲームをプレイすることになるんだから、そうしたいと思わせるだけの強いインパクトが必要だ。1作目の「リスク・レガシー」こそ手探りでそこが弱かったものの、「パンデミック・レガシー」でも「シーフォール」でもこの点はきちんと意識して作られてる。この「裏切り者レガシー」も例外ではなく、ゲーム終了時にはあっと驚かされることになった。もうこの序章だけでもプレイしていただきたいくらいだw
この日は序章、第1章、第2章とプレイし、順に英雄勝利(私は生存)、裏切り者勝利(私は死亡)、英雄勝利(私は死亡)となった。分かっちゃいたがよく死ぬゲームだなw さすがに序章ほどのインパクトはなかったが(毎回あっても慣れちゃうしな)第1章、第2章のクオリティも充分に高かった。そしてこの時点でも、またプレイヤーを飽きさせない工夫がされている。それがどんなものかはさすがに言えないので、プレイしてのお楽しみだ。
序章+13章という長さ。アホみたいな言語依存性。裏切り者は怪異の書を1人で読まなきゃいけないので、なおハードルは高い。オカルト・ホラーというテーマも(私と同様に)駄目な人もいるだろう。だがそのすべてを乗り越える価値が確かにある。完走するぞ!