2013.10.06

【ゲーム紹介】ブリュッセル1893(Bruxelles 1893)

カテゴリ:ボードゲーム

ボックスアート
ブリュッセル1893ボックスアート.jpg

プレイエリア
ブリュッセル1893プレイエリア.jpg
 デザイナーはEtienne Espremanで、これがデビュー作。パブリッシャーはベルギーのPearl Games。Xavier Georgesをメインデザイナーとして、「トロワ」「トゥルネー」「銀杏都市」とBGGレーティング7以上の作品を次々と発表してきたPearl Gamesが、初めて他のデザイナーを起用した。

 タイトル通り、時代は19世紀末以降、場所はベルギーの首都であるブリュッセルがテーマ。プレイヤーはアール・ヌーヴォー様式の建築家となって、装飾用の美術品を作成・売却したり、コネを作って有名人の力を借りたり、資源を得たりして建物を建設する。

 ゲームは5ラウンドに渡ってプレイされ、1ラウンドは4フェイズに分かれている。まずは株式市場フェイズ。ここではそのラウンド中に利用できるアール・ヌーヴォーボード上のエリアを決める。アール・ヌーヴォーボードはプレイエリア(上図参照)の右側にあり、5×5のアクションスペースがある。このボードは縦1×横5のアクションスペースを持つ横長のボードを5枚ランダムに組み合わせて作るので、ゲームごとにスペースの配置が異なる。
 ラウンドごとに株式市場カードを1枚公開し、そこに書かれている数字のペア(プレイ人数ごとに2組ある)から1組をスタートプレイヤーが選ぶ。その数字が示す位置に腕木タイルを置いて、その内角側(一番広いエリア)がそのラウンド中に利用可能なエリアとなる。

ブリュッセル1893株式市場フェイズ.jpg
 株式市場カードに書かれている「1-1」という数字のペアを選んだ場合、こんな感じで腕木タイルが置かれ、暗くなってるアクションスペースは使えなくなる。常に一番広いエリアが利用可能となるので、最低でも3×3のアクションスペースが使える。逆に全アクションスペースが使えることはない。

 使えるアクションスペースが決まったらアクションフェイズ。手番ごとに助手駒を1個使い、アール・ヌーヴォーボードのアクションスペースに置くか、ブリュッセルボード(プレイエリア左側)のアクションスペースに置いて、即座に対応するアクションを実行する形式のワーカープレイスメント。アール・ヌーヴォーボードの各アクションスペースには駒を1個しか置けないが、同時に1金以上のお金を置かないといけない。このお金があとでボーナスカードの競りに使われる。逆にブリュッセルボード上のアクションスペース(ボード上側の4スペース)には無料で置けるが、最初の1人は駒1個、2人目は駒2個、3人目は3個……というように置く駒を増やさなきゃならない。「キーフラワー」で村タイルを使うときに使われてたシステムと同じだね。

 アール・ヌーヴォーボードでのアクションは5種類。「作業場」では任意の色の美術品を作る(タイルを取る)。「資材」アクションでは任意の資材駒(木、石、鉄)を2個取る。まあごく普通だ。

 「売却」アクションでは、ブリュッセルボード上の商店に美術品タイルを売ってお金と勝利点を得る。このとき、売却前に持ってる美術品タイルの枚数に等しいスペースだけ、各美術品の価値を決める作業場カーソルというものを移動させることができる。そのあと、売却した美術品タイルの色をカーソル上で参照して、その位置に応じた勝利点とお金を得る。

ブリュッセル1893作業場カーソル.jpg
 この3×3マスのタイルが作業場カーソル。移動させたあとで青の美術品タイルを売ると、4金(左側の縦軸で参照)と4勝利点(上段の横軸で参照)が得られる。ある色の美術品の価値を変更すると、連動して他の色の価値も変動する仕組みだ。

 「王立劇場」アクションでは、ブリュッセルボード上に並んでる著名人カードを取り、その効果を適用する。列の右に行くほど雇用コストがかかるという、いろんなゲームで使われてるシステムを採用してる。効果適用後、取ったカードはすぐ捨て札にしてもいいが、手元に置いてもいい。この場合、他のアクションによってラウンドごとに1回まで再利用できるが、ゲーム終了時に追加コスト(結構高い)を支払わなければならず、支払えないと大失点することになる。どれを捨て札にし、どれを手元に保持するかはよく考えないと駄目だろう。

 最後に「建設」アクション。プレイヤーボード上にある建物タイル1枚を、アール・ヌーヴォーボード上のアクションスペースに置く。当然コストがかかり、そのタイルが置かれてる段によって2~4個の資材駒(または3金)が必要だ。しかも、どの資材駒を払うかはブリュッセルボード上のコンパスで示されており、これは誰かが建設するたびに変更されてしまう。このため手番順によっては、直前のプレイヤーが建設したために必要な資材が変更され、自分は建設できなくなった、などということが起こり得る。

ブリュッセル1893建築家ボード.jpg
 プレイヤーボード。右側の広い区画に建物タイルを6枚置いておき、下段から建設していく。最上段では4個の資材駒(または3金)が必要だが、建設できれば5勝利点が得られる。

ブリュッセル1893コンパス.jpg
 コンパス。この状態のときに最下段を建設すると、左の針が指してる石材1個と、右の針が指してる鉄1個を支払う必要がある。建設後、プレイヤーはどちらかの針を時計回りに1スペース進めなければならない。針を重ねることはできないので、右の針を進めることになり、次に建設したプレイヤーは石材1個と3金を支払うことになる。

 建設した建物タイルはアール・ヌーヴォーボードに置かれるが、それ以降、そのアクションスペースを他プレイヤーが使ったときにおまけアクションを実行できるようになる。当然、他プレイヤーはできるだけそのスペースを避けるようになるだろうが、何しろ狭いときには9カ所しかスペースがない。どうしても使わなければならないときも出てくるだろうから、人気の出そうなアクションスペースは早めに押さえておきたいところだ。

 ブリュッセルボード上のアクションは、どちらかというとおまけ。ジョーカー資材駒を3個得たり、お金を得たり、手元の著名人カードを使ったり、アール・ヌーヴォーボードの5アクションから任意の1つを実行したり。基本的にはアール・ヌーヴォーボード上でスペースを取り合ってから、やむを得ない場合にこちらを利用することになるだろう。しかし後手を踏むほど必要な助手駒の数が増えるので、アール・ヌーヴォーボードの利用可能エリアが狭く、遅かれ早かれ利用することが予想できる場合には、先んじてブリュッセルボードアクションを実行するのも手だ。

 全員がパスしたら、アール・ヌーヴォーボードに置かれているお金の額を比較する。各縦列で一番多くのお金を置いているプレイヤーが、その列の下段にあるボーナスカードを取る。このカードは非常に大事なので、アクション中は単にやりたいことをやるだけでなく、ボーナスカードの競りで勝つことも考えてアクションスペースを選択しなければならない。

 取ったボーナスカードは、その特殊効果を使って捨て札にすることもできるが、プレイヤーボードの右側に差しこむこともできる。こうするとゲーム終了時の得点計算で使う乗数が増える。たとえば「所持金4点ごとに1勝利点」の段に1勝利点シンボルがあるカードを差しこむと、そのプレイヤーだけは「所持金4点ごとに2勝利点」になるのだ。

 また、アール・ヌーヴォーボードの各交差点の周り4スペースに助手駒が置かれてる場合、そこでの優勢に応じて勝利点が得られる。最後に、ブリュッセルボードのアクションスペースに最も多くの助手駒を置いてるプレイヤーは、なぜか官憲に目をつけられ、助手駒1個が裁判所にしょっ引かれて利用できなくなるw

 これを5ラウンド繰り返したらゲーム終了。手元の著名人カードのコストを支払ったあと、最終得点計算を行って最多得点プレイヤーの勝ち。


 うーん。システマチック! アール・ヌーヴォーボードでのアクション選択にしろ、ボーナスカードや著名人カードの使い方にしろ、1つの行動に複数の意味を持たせているので、どうするべきかを常に悩むことになるだろう。つまり面白いのは間違いない。「あのアクションを実行したいけど、この列のボーナスカードはいまいちだなあ」とか、「この著名人カードの能力、あと何回か使いたいが、ゲーム終了時のコストが高すぎる」とか、「このボーナスカード、能力も魅力的だけど、そろそろ得点計算のことも考えて乗数増やさないとな」とか……もうつまらないわけがないw

 しかしねえ。ちょっとシステム先行過ぎてテーマのペーストアップ感が鼻につく。そもそもアール・ヌーヴォーボードは何でラウンドごとに一部しか使えないんだ? エリア選択と「株式市場」に何の関係が? 作業場カーソルは何を表してるんだ? 何でアクション選択と競りを同時にしてるの? 何で交差点の周りで優勢取ると勝利点が入るの? 何でブリュッセルで助手駒使いすぎるとしょっぴかれるの?

 別にシステム先行のルールが1つも許せないわけではない。どんなゲームにも多少はあるもんだし、現実を完全にシミュレートしたボドゲなんて作れるわけないしね。しかしこれだけたくさんあると、さすがにちょっと気になるかなあ。繰り返すが、ゲームとしてはまず間違いなく面白いだろうから、そういうのが気にならない人にはまったく問題なくお勧めできる。最近では「スパイリウム」もテーマ性が薄かったが、あれはその欠点(私にとっては)を凌駕するくらいの傑作だったから、こちらもそうであることに期待したい。そしてその可能性は充分に高いだろう。なんだかんだ言っても、楽しみなタイトルであることは確かだ。






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Last updated  2014.01.23 14:54:13
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