わくわく着物~着物の愉しみ~ 臥竜亭へようこそ!

2006/09/30(土)11:03

彼女のこんだて帖

+読み物+(97)

 角田光代著、2006年9月ベターホーム出版局刊、1400円+税。  購読している本メルマガで絶賛されていたのでソソられてしまい、ワタクシにしては珍しく、新刊で買ってしまいました。けっこう数カ月待ってユーズドが出るまで待つ、もしくは図書館にリクエストする、っつー作戦を採ることも多いんですけどね。レシピ本に弱いってコトと、角田さんの著作を読んだことなかったんだけど、ご主人が芥川賞(だったよね?)を受賞された作品を読んだのをきっかけに、角田さんに興味を持ったのもあったし…って、どういう興味の持ち方よ>アタシ。  出版元が「ベターホーム」と聞いて、分かる人は分かるかも知れませんが、この本、料理をモチーフにした15のかなり短い小説と、その小説の中に出てくる料理レシピの再現という構成です。収録レシピにソソられた、っちゅー面もかなりあるかな。まだ一つも作ってないけど、タイ風さつまあげやピザ、松茸ごはん、豚柳川はいずれ作ってみよう、と思ってます。はさておき。  小説部分、いずれも短いのでさらっと読めちゃうのだけれど、たぶん全編、隠しテーマは「家族愛」。いや、厳密には「家族」を扱ってないものもあるんだけど、後にそれが見え隠れするの。ベタベタしてないけど、ささやかに暖かい、ってゆーかなぁ。深刻な話じゃないんだけど、ティッシュが必須。ワタクシ、けっこうボロ泣きしてしまいました。ニンゲンって皆、これから向かうところも含めて、子ども時代、ムスメ・ムスコ時代、お母さん・お父さん時代、老いと、シーズンってあるじゃん。それぞれに共感できるし、うーん、こんなんだ(だった)よなー、としみじみ思うの。  アタシ、あったりまえみたいにして我がママと同居してるけど、ホントはもっと親密につきあえるのかもしらんなぁ、愛ってゆーか、お互い感謝が足りんよなーなどと、ちょっち家族関係に疲れているらしく(笑)、しんみりしてしまいました。家族「関係」、一方的にそうなるものではなく、お互いが作っていくモノだかんねー。 「泣きたい夜はラム」「かぼちゃのなかの金色の時間」「ピザという特効薬」あたりにアタシはぐぐっとキましたが、中でも一押しは「どんとこいうどん」。こういう男の子を振っちゃうすず子の見る目のない人生の先行きを思うと暗い気分になるが、彼に恋する菜摘ちゃんの慧眼を応援。「いいコじゃん、菜摘ちゃん! 行っとけ、正宗!」。思わず声に出してしまいました。「人生、食ってりゃーなんとかなる!」。そう思わせてくれるこの小編は、珠玉。  レシピとしても優秀、かどうかはヒトそれぞれで、あまりデイリーユースとはちゃうかもしんないが、ちょっと凹んだ時など、それぞれのストーリーを思い出しながら料理を作ってみると、励まされていいかも、と思われます。男女関係なく、自分で自分の面倒が見られるヒトって、かっちょいいです。アタシもそういう女になろうっと。  

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