「日本縦断　個室寝台特急の旅」

　櫻井寛著、2001年10月世界文化社刊、2800円+税。 　図書館の旅コーナーで見つけ、借りてきた本。ワタクシ、鉄子でもなく、旅と言えば、不遜で申し訳ないが、「国内旅行?　何が悲しくって…。パスポートがいるトコしか行かなくってよ!」なトラベル・アントワネット。それがまた何故「日本縦断」…。 　その答えは「寝台特急」。国内旅情報に疎いワタクシでも「カシオペア」や「トワイライト・エクスプレス」くらいは知っている。それに加えて「北斗星」「サンライズ」「あさかぜ」が収録されているのである。 　写真も多用され、「カシオペア」や「トワイライト・エクスプレス」の内部は、けっこうゴージャス。サービスも、かなりいいホテル並らしい。っつーか、お値段も「かなりいいホテル並」、それを考えれば、当たり前っちゃ－その通りなのだが。 　そして更にソソられるのは、食事!　すっげー旨そうだぞ、フランス料理フルコース!　ごくりっ。のどが鳴りましたとも。 　しかし実はこの本の一番いいところは、読むだけで行った気になれる著者の筆力だ。本当に鉄道ヲタ、じゃなかった、ファンなのであろう、すっごく寝台特急に乗ってみたくなる。乗った自分を夢想する。ちょっとした脳内エクスカーション、リフレッシュ休暇である。 　たぶんアタシは、寝台特急で北海道に行かないし、それだけの暇と金があれば、海外へと出かけて行くと思う。けれど「ひょっとしたら悪くないかも…」という気にさせてくれるし、何より、この本を読むだけでちょっと旅行した気分。疲れたり、今ここから逃げ出したい気分の時には、たぶんまた手にとって読みそうな予感がする。 　どうぞ皆様もちょっとしたバケーションを、この本でお楽しみください(^^)。