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2013.01.04
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自民党の選挙公約-物価目標2%

12月の総選挙において政権与党となった自民党は、選挙の際の公約において、デフレ脱却のため、日本銀行(日銀)と政策協定を結んで2%の物価目標を定めるとしていました。総選挙後には、総理大臣就任が確実となっていた自民党の安倍総裁が、日銀の白川総裁にこの2%の物価目標の設定を検討するように要請しました。この要請を受ける形で、日銀は12月20日(木)の金融政策決定会合において、次の会合で「中長期的な物価安定の目途」について検討を行うこととしました。


失われた20年-デフレの継続

バブルが崩壊した1990年代以降、20年以上にわたって、日本経済は経済成長率(GDP成長率)が年間1%との低成長を余儀なくされています。1980年代の経済成長が年間4%であったことと比べますと、いかに成長率が低下したかがよくわかります。この経済低迷の根底には、1990年代半ばに生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少に転じたことに示される、少子高齢化の進展という人口動態の変化が構造的な要因としてあります。そして、生産年齢人口の減少という構造要因に拍車をかけているのが、物価上昇率が恒常的にマイナスとなるデフレです。

企業は、期待する収益率が金利より高ければ、融資を受けて設備投資を行います。この場合の金利は、実質的に金利負担を感じさせる金利、すなわち「実質金利」です。ところが、融資のときに実際に銀行から課せられる金利、すなわち「名目金利」は0%以下にはなりません。
このため、「実質金利=名目金利+期待物価上昇率」との関係において、物価上昇率が恒常的にマイナスになっている状況では名目金利に比べて実質金利が割高になります。この結果、企業は設備投資を手控えてしまいます。

消費者にとっても、物価が恒常的に下落するとなりますと、仮に欲しいものがあっても、今買わなくても将来買った方が安くなるとの意識が生まれます。特に、1990年代半ば以降、失業の増加、正規雇用(正社員としての雇用)の割合の低下、賃金の引下げが生じている中ではなおさら、将来に対する不安もあって消費を手控えます。この消費の低迷は、さらに企業の生産を手控えさせる結果となります。

このように、デフレは、負のスパイラルを形成しながら、経済を長期的に不況の底に陥れます。このため、日本経済を成長軌道に乗せるためには、デフレから脱却すること、すなわち物価を上げることが必要になっています。


成長戦略も重要だが

ここで一つ視点を変えて考えてみますと、そもそも日本の低成長の最大の構造要因は、生産年齢人口の減少です。
これに対する対策としては、出生率を上げるとか、移民を受け入れるとかによって、生産年齢人口を増加させることが考えられます。ただ、出生率向上は容易ではありませんし、生まれた子供が15歳になって効果を生むのに少なくとも、1+15=16年はかかります。移民受け入れは、社会的、政治的に容易でありません。
そこで、次の対策として、生産年齢人口の減少を上回るだけ、生産年齢人口一人当たりの生産性を上げることが考えられます。具体的には、技術革新の実現や、規制緩和によって新たなビジネスを生み出すことです。これが実現して実体経済が成長すれば、雇用の拡大と賃金の上昇を通じて消費も拡大し、デフレから脱却できます。

日銀の白川総裁が、デフレ脱却の重要性を指摘しながら、金融政策だけでなく、「思いきった規制緩和など、成長力強化に向けた政府の役割も非常に重要である」と強調しているのも、確かにうなずけることです。


日銀のこれまでの対応-「中長期的な物価安定の目途」

日銀からしますと、すでに金利が0(ゼロ)になって、さらに「量的緩和」によって大量の資金供給を行っている現状において、経済成長、デフレ脱却のための金融面の政策手段は極めて限られる状況にあると言えるのかもしれません。

また、日銀は、すでに2012年の2月に、「消費者物価の前年比上昇率が2%以下のプラスの領域、当面は1%」とする「中長期的な物価安定の目途」を定めています。この「当面は1%」との数字について、白川総裁は、中長期的に目指すという点では「目標」と異ならないとしながらも、これが実現するまで金融緩和政策を行い続けるとの硬直的なものではなく、実現のための政策手段や実現までの時間については柔軟に対応する、と説明しています。すなわち、何が何でも1%にする、との性格の数字ではありません。


経済は「期待」で動く

ところで、経済活動の主体は、生身(なまみ)の人間です。
日銀の行う金融政策がこれまでと本質的に変わらない、物価は上昇しない、そう考えている限り、消費も投資もこれまでと変わりません。ちなみに、物価上昇については、白川総裁が「前年比概ね0%、先行きも、当面0%近傍で推移する」と認めているとおり、上昇する見込みはありません。

これに対して物価上昇2%を目標とします。これを実現するためにといいますか、これを実現するまで、ありとあらゆる政策手段をとります、と日銀が宣言したらどうなるでしょうか。物価上昇マイナス(または0)のこれまでとは先行きが異なるかもしれない、と多くの企業や消費者が意識します。


ユーロ危機を回避したドラギECB総裁の英断

ギリシャの財政破綻をきっかけとしてユーロ危機についても、2012年9月に、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、ドイツの国債買取り反対を押し切って「債務過重国が緊縮策を実行すれば、ECBは国債を無制限に買い取る」と宣言したことによって、買っても大丈夫だろうとの投資家の意識の変化をもたらし、イタリア、スペイン、ポルトガルの国債の流通利回りが、財政の持続が懸念されたそれまでの高水準から沈静化しました。


物価目標導入で期待される効果

日銀は、現在、金融緩和のために市場で金融資産の買取りを行っています。現在までに70兆円、さらにこれから1年の間に追加で50兆円、合計で120兆円との大きな規模です。ただ、買取りの対象については、その大半が国債です。
2%の物価上昇のために何でもやるとなれば、現在は買取りの額が少ない、J-REIT(不動産投資信託。取引所に上場されています)やETF(具体的には、指数連動型上場投資信託。日経225やTOPIXの株価指数に連動した値動きをする投信で、取引所に上場されています)を大量に買取ることにもなります。

商品先物に携わって私が実感したことの一つが、相場、すなわちマーケットの価格は需給関係によって決まる、ということです。

日銀が大量買取りを行えば、また、買取りを実際に行う前にも買取りについてのアナウンス効果によって買取りが行われると投資家が想定する段階で、将来の価格上昇を期待する投資家が買うようになり、結果として不動産価格や株価が上昇していきます。そうしますと、資産効果によって、実現益はもとよりですが、含み益でも投資収益を得た投資家は消費やさらなる投資を増やします。デフレ脱却に近づきます。


日銀の気質

日銀は形式的には株式会社ですが、白川総裁をはじめとして長く日銀で働いている人々には、公務員に近い気質があります。どんなことがあっても日銀という組織はつぶれません。日銀の人々が、実現が不確かな目標を自ら設定して仮に目標実現に失敗した場合、これに伴って生じるであろう責任追及のリスクは避けたい、と考えても不思議でありません。
1990年代までの間、インフレの抑制が主要国の中央銀行の重要な使命だったという歴史を反映して、物価目標設定が結果として目標を超えての制御が困難なインフレになることへの警戒感もあるかもしれません。
しかし、20年近いデフレの混迷という、先進国経済がいまだ経験していない状況に日本経済はあるのです。


物価目標導入への期待

今月の日銀の金融政策決定会合において物価上昇2%、そのためにあらゆる政策手段をとる。そのような英断がなされれば、日本経済再生に一つの道が開けるのではないでしょうか。






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最終更新日  2013.01.09 21:25:27


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