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車田のつぶやき

2013.03.15
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世界の商品取引所ランキング

3月9日(土)の日経新聞におきまして、2012年の世界の商品先物取引所の出来高ランキングが報道されました。中国の大連商品取引所が1位で、日本の東京工業品取引所(東工取)は12位とのことです。ほぼ同じ時期に、時事通信でも1位から12位までのランキングが配信されました。出来高というのは、先物取引所で成立した取引(売りと買いの組合わせ)の数のことで、単位は「枚」です。ちなみに、英語では出来高を”number of contracts”または”volume”といい、単位は”unit”です。

報道されたランキングは、日経新聞の記事の中に「国際的な先物取引の業界団体であるFIA(先物取引業協会)のデータを基に東京商品取引所がまとめた」とあります。

ちなみに、東京商品取引所(東商取)は、出来高低迷のために解散する東京穀物商品取引所(東穀取)から農産物市場を2013年2月に承継した際に、東工取が名称変更をしたものです。なお、東工取にとって、この市場承継は2回目のもので、その前に、出来高低迷のために解散する中部商品取引所(中部取)から石油市場を2010年10月に承継しています。


競争力比較としてのランキング

報道されたランキングでは、株式会社の単位で商品取引所の出来高を集計していますが、取引所間の競争力を比較するとの点からは、ホールディング・カンパニー(持株会社)の下にある商品取引所は集約して一つの取引所として集計する方が実態に即しています。

例えば、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)と2つのシカゴ商品取引所(CBOTとCME)の3つの取引所は集約してCMEグループとして見るべきです。実際の取引所運営においても、システムはCMEグループとして同一の「グローベックス(Globex)」を用いて取引を行い、成立した取引の清算(クリアリング)もCMEグループとして統一して行い、経営判断や営業活動も持株会社のCMEグループが行っています。


2012年のランキング

単体としてのNYMEXが大連商品取引所に次ぐ2位と報道されていますが、3取引所合計のCMEグループは754百万枚となり、521百万枚の大連商品取引所を上回る1位になります。

ICEグループ(CMEと同じく、アメリカに本社があります)も、持株会社の傘下にあるICEフューチャーズ・ヨーロッパ、ICEフューチャーズ・アメリカ、ICEフューチャーズ・カナダの出来高を合計して比べることになります。12位までにICEフューチャーズ・カナダが入っていませんのでこの分が抜けた数字ですが、ヨーロッパとアメリカの2取引所の合計を暫定の数字としますと、ICEグループは341百万枚です。

東商取についても、農産物市場を引継ぐ前の2012年の出来高ですので、報道では東工取の25.5百万枚となっていますが、これに東穀取の1.6百万枚を加えて27百万枚として比べることになります。

この結果、報道のもとでは1位の大連取引所(521百万枚)に対して東商取(27百万枚)が1/20となりますが、実態としては1位のCMEグループ(754百万枚)に対しては1/30、ICEグループ(341百万枚)に対しては1/13になります。


商品市場はグローバル

金、原油、大豆などの商品はグローバルに取引されていますので、輸送に要する費用を別にしますと、その価格は世界的に同じものになります。輸送コストがないに等しい金の場合は、為替レートを加味した上で、東商取とCMEグループとで価格がほとんど同一になります。この「コモディティはグローバル」という点が、国ごとの「ナショナル」な色彩の強い現物株の取引と大きく異なります。

また、現物株の価格を集約した指数先物である日経225などの株先物は、日経225が日本取引所グループ(JPX)だけでなくCMEグループやシンガポール取引所(SGX)で上場されているように世界的に取引がなされています。その価格は、為替レートを加味した上では同一になります。しかしながら、取引所間の競争では先物取引のもと(「原資産」といいます)である現物株が上場されている国の市場の競争力が強く、グローバルな競争に強くさらされる商品先物とは状況が違います。


グローバル取引所の間での競争力比較

商品取引所を競争力の点から比べる場合には、自国の個人または会社のみにしか取引を認めていない国の取引所は比較の対象から除くことが実態に即しています。例えば、輸入する大豆の価格変動リスクをヘッジしようとする日本の商社が、東商取は流動性、すなわち、ある価格についての売りまたは買いの注文の量が少ないために利用できない、またはしたくないとなった場合、いくら流動性が多いといっても中国の取引所ではそもそも取引ができません。利用するのは他の国からの取引を受け入れている国の取引所、具体的にはアメリカのCMEグループになります。

この点から、東商取と競争力を比べる場合には、その対象から中国とインドの取引所を除くのが妥当です。
その結果として、2012年は、1位CMEグループ(754百万枚)、2位ICEグループ(341百万枚)、3位ロンドン金属取引所(LME)(160百万枚)、4位東商取(27百万枚)となります。
4位とはいえ、1位の1/30、2位の1/13、3位の1/6と大きな差が生じています。


日本の商品市場がピークの2003年

ここで、日本の商品市場の出来高がピークだった2003年はどうだったでしょうか。この時点では、CMEグループもICEグループも取引所統合の前ですので、取引所としては別々の3つの取引所となっていましたが、2012年との比較のため、東商取が東穀取の出来高を合計したように、3つの取引所の出来高を合計してみます。
手元にあるのが10位までのランキングのため、10位までにランキングされた取引所の間での合計で、逆を言いますと11位以下の出来高の少ない取引所の分は合計できません。具体的には、東商取については中部取も合計できますが、CMEグループはNYMEXとCBOTのみ、ICEグループはロンドン国際石油取引所(ICE・ユーロッパの前身)のみの暫定になります。
結果として、2003年には、1位CMEグループ(172百万枚)、2位東商取(140百万枚)、3位LME(69百万枚)、4位ICEグループ(33百万枚)となりました。


2003年から2012年への暗転

この2003年の数字を基にしますと、東商取は、2012年には1/30と大差のついたCMEグループの8割にまで迫っており、2012年に1/13の差のついたICEグループに対しては逆に4倍、1/6の差がついたLMEに対しては逆に2倍となっています。

LMEは上場している商品が非鉄金属ですが、非鉄金属は東商取では上場されていません。その意味で、競争力について東商取と比べるときに重要になるのは、東商取と同じに貴金属、エネルギー、農産物を上場しているCMEグループと、東商取とほぼ同じにエネルギー、農産物を上場しているICEグループです。

2003年から2012年の9年間の間に、CMEグループは8割=1/1.25→1/30、ICEグループは4倍=1/0.25→1/13となってしまいました。それぞれ、1.25→30の24倍、0.25→13の52倍の違いが生じる暗転です。


世界で通用する日本の商品市場へ

日経新聞が、2013年1月に「金融ニッポン 危機の中の勝機」と題した本を刊行しました。
その中で「日本の商品市場を世界で通用するものに」とのタイトルのもとに3ページにわたって私のことが紹介されています。2012年9月4日に掲載された日経新聞のWeb版のインタビュー記事を基にしての記述です。その中では、私のコメントをそのまま「経産省時代から、日本の商品市場を世界で通用する市場に育てるのが夢だった」と掲載いただいています。「グローバルに取引される商品市場の間で競争力を持ち、日本の商品市場が世界で通用する」、これこそが、1988年に商品取引行政を通産省の課長補佐として担当して以来、今年の2013年で25年、四半世紀、私が追い求めてきた夢です。

1位のCMEグループに8割まで迫りながら1/30まで引き離されてしまったことが明らかになったこの機会に、起死回生の方策を今一度考えてみたいと思います。







最終更新日  2013.03.19 00:00:04

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