家プロジェクト「石橋」他@直島本村地区
家プロジェクトの他の作品の感想など。基本的に撮影は禁止なので、参考サイトでイメージを膨らませてくださいね。「石橋」千住博Benesse Art Site Naoshima,Ishibashi千住博の作品といえばまずは滝をイメージしますが、まさにそれが「石橋」の中にありました。以前NHKで大徳寺の障壁画の製作過程を見たときにすごく感銘を受けて、いつか見たいなとずっと思っていました。庭に面する座敷には、その庭の借景となる山の絵が障壁画として描かれていました。民家の奥にある蔵には滝の絵がありました。蔵の床は黒光りしていて、まるで滝壺のようでした。その水面(床板ですが)には滝の絵が映りこんでいました。静けさの中で滝の音が聞こえるような気がしました。彼は日本画家ということですが、私は番組を見るまでは写真家だと思っていたんです。絵を描くときは顔料をたらしたりエアブラシを使ったりと、日本画とはかけ離れた技法を使われますが、完成した作品はとても日本的、写実的、抽象的です。写実と抽象が同居することなんてあるんだろうかと思ってしまうんですけど、それが私の印象です。再生だれた民家そのものが千住博のギャラリーのようになっていて、何気なく飾られた掛け軸なども彼の作品でした。「石橋」と名づけられた民家自体も一見の価値ありです。「はいしゃ」松岡明芳もともとは歯医者さんだったお宅をアート作品として蘇らせています。人が住んでいた頃の生活の気配のようなものを残しながら、オブジェを組み込んだり、ペインティングを施したりしています。2階までの吹き抜けに自由の女神っぽいオブジェが入っています。どうやってこの家の中に入れたのかな?多分わざとだと思いますが、ものすごい圧迫感があります。また鯨のような巨大なオブジェも外壁に嵌められ、内側には新たな空間ができていました。家の中の壁面には、この家の子どもが描いた落書が残されていたり、配管のあった場所に配管のイラストが描かれていたりと、家の記憶を留めたいという作家の思いを感じました。自分の家のことをふと考えました。今の家が空家になったら、私たち家族が住んでいた痕跡あるかな?