カテゴリ:アートと自然
ミュージアムについて書きます。
直島にある美術館などは月曜日は一斉に休館になりますが、ベネッセハウスミュージアムだけは見学できます。月曜日に滞在される方は、ここで過ごされるのがいいと思います。屋外作品は誰でも自由に見られるのでお散歩にはもってこいです。屋内のミュージアムだけは有料となります。宿泊者は無料。開館時間外も見ることができます。ナイトミュージアムも面白いですよ。 見学のポイントは、アーティストがいかに安藤建築と格闘したかということです。地中美術館が作品を前提に設計されているのに対し、ここは先に建築があって作品は後から入れたということです。安藤忠雄の建築は一般的な美術館に比べると個性が強いし、インスタレーションという見地からだとアーティストのコンセプトとぶつかってしまうこともあります。建築との関係が成功した作品はとても印象深いものになっていました。 もうひとつ特長を挙げるとすれば、作品の銘板が目立たないところにあることです。「誰が、いつ」ということよりも、純粋に作品から何かを感じてほしいというミュージアムの配慮です。最近の美術館では有料で音声ガイドなどを貸してくれますが、そういったものはありません。そのかわりにスタッフによるガイドツアーがあります。時間は限られますが、都会ほど時間に縛られないところなので、待っているのも楽しいでしょう。スタッフさんの作品への思いや作品ができたときのエピソード、そのときの安藤忠雄さんとのやりとりなど、大変興味深いものがありました。 いくつかの作品を紹介します。ミュージアム内は撮影禁止でしたが、ネット上で画像アップされてる方がいっぱいいらっしゃるのでそちらを参考にしてください。みんな無断で撮ってるんでしょうか ミュージアムの地上地下にまたがった円筒形の吹き抜けの空間に展示されているのは、 ブルース・ナウマン「100生きて死ね」 ネオン管で作られた100の言葉が7分間のサイクルでひとつひとつ明滅します。言葉にはそれぞれ意味があり、自分の人生のさまざまな出来事や感情を思い出させます。最後には全部の言葉が点灯します。私はどれほどの経験をしてきたでしょうか?100の言葉をすべて実現するときこそ人生の最高の瞬間と示唆しています。昼と夜で少し印象が変わりますよ。作品の背後に階段があるのですが、上ると行き止まりです。安藤忠雄さん、かなり遊び心あります。(^^;)商業施設ではありえないですね。 ジェニファー・バートレット「黄色と黒のボート」 黄色と黒のボートの絵画とオブジェがミュージアムにあります。そこで振り返ると遠くに海岸が見えます。その一番奥に小さく黄色と黒のボートが打ち上げられているのが見えます。景色もアートの一部となっています。 杉本博司「タイム・エクスポーズド」 世界各地の水平線の写真。本来ならありえない屋外展示。写真と連続して瀬戸内海の水平線を見ることが出来る。世界の海は繋がっているなって思える場所です。 柳幸典「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム」 プラスチックの板に挟まれたたくさんの国旗の砂絵。それらをすべてチューブで繋ぎ、アリを放ちます。アリは国旗間を自由に行き来して、巣を作ります。人間が作った国境など関係なく生物の営みがあります。(展示作品の中にはもうアリはいません。) 柳幸典「バンザイ・コーナー」 万歳しているウルトラマンやウルトラセブンのフィギュアが白い台の上に円形に中心に向ってぎっしり並べられ、まるで日の丸のよう。コーナーに展示された作品で4分の1は実際に置かれたもの。後の4分の3は鏡に映っているだけ。全員が万歳してるみたいだけど、実際には4人に1人だけ。高度成長期の日本を思わせる。 リチャード・ロング「瀬戸内海のエイヴォン川の泥の環」 直島来てから作品を作ったアーティストです。作品を展示するために用意された白い壁に泥を塗っちゃった作品。それ以外には近くの海で拾ってきた流木や九州から運んだ石を丸く並べた作品があります。直島の人たちも協力して作品を作っているそうです。 須田悦弘「雑草」 自然物と本物そっくりの木彫。家プロジェクトにもあったのですが、ぼんやり見ていると「あ、花がある」と見過ごしてしまいます。ミュージアムでは展示スペースとは思えない場所に「雑草」が生えていて、実はそれが作品でした。安藤忠雄さんも面白がっていたということです。 写真はこちらで「黄色と黒のボート」「タイム・エクスポーズド」「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム」「バンザイ・コーナー」「瀬戸内海のエイヴォン川の泥の環」「瀬戸内海の流木の円」 「雑草」 安田侃「天秘」 コンクリートで囲まれた中庭のような空間。頭上には四角い空が。展示室との境は全面ガラス。真ん中にどーんと鉄骨があるので、大きな彫刻を真ん中に置くのが難しい。そんな場所に置かれた作品は柔らかなたれパンダのような形の大きな白大理石。ビアンコ・カラーラです。こんなでかいのがあるなんて!。このストイックで厳しい空間にこの形が2個あります。邪魔になる鉄骨がアクセントになってる!?石の上に寝転んで空を眺めると気持ちいいです。夜は星空です。 「天秘」その他の作品はこちらで 屋外作品も揚げるときりがないですが… 大竹伸朗「シップヤード・ワークス 船底と穴」 カフェから見える作品。レストランやラウンジ、ホテルの通路など至るところにアートがちりばめられています。 テレジータ・フェルナンデス「ブラインド・ブルー・ランドスケープ」 これもそのひとつ。パーク棟からショップへの通路。1つ1つが鏡です。 ジョージ・リッキー「三枚の正方形」 大きな作品は距離を置いて鑑賞するのが常ですが、近寄ってさらに凝視すると呼吸しているかのように動いています。気づかない人、多いだろうな。 ウォルター・デ・マリア 「見えて/見えず 知って/知れず」 なのに、これを通りすぎてしまった。階段の壁の下に大きな花崗岩の球が海に向って置いてあったのに!なんで見忘れたんだろう(泣)題名の通りです。。。 杉本博司 「タイム・エクスポーズド」 なんと波がかかりそうな崖にまで写真を展示しちゃってます。何枚見つけられるでしょうか?実はホテルのお部屋からも発見しました。それもカメラの望遠で。 ニキ・ド・サンファール「会話」 一歩間違えば公園の遊具!? 草間彌生「南瓜」 直島のシンボル。息子のお気に入りです。 ジェニファー・バートレット「黄色と黒のボート」 浜辺のオブジェまで散歩しました。↓高台にミュージアムが見えるかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.04.21 11:34:47
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