|
カテゴリ:改正金融商品取引法
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。 <特定勧誘等の発行者の役割> 特定勧誘等を行う発行者は、有価証券の発行前に有価証券届出書を提出したり、発行後に有価証券報告書を提出したりする必要がありません。 発行者は、有価証券届出書の代わりに「特定証券情報」を投資家に提供又は公表し、有価証券報告書の代わりに「発行者情報」を提供又は公表することが求められています。 9月19日に金融庁が公表した政令案・内閣府令案等を公表しましたが、その中に、「新設」された内閣府令として、「特定証券情報等の提供又は公表に関する内閣府令案」(「特定情報等府令」とここでは呼ぶことにします)というものがあります。 「新設」と書いてある通り、平成20年の金融商品取引法の改正にあわせて、初めて設置されることになった内閣府令です。 <復習> 有価証券の募集や売出し(正確な言葉ではありませんが、よく「公募」と呼ばれます)の際、発行者は「有価証券届出書」を財務局長に提出します。 有価証券届出書に記載されていることは、投資者の投資判断に役立つ情報ですが、具体的には、有価証券に関する情報である「証券情報」と発行者に関する情報である「企業情報」です。 証券情報には、発行される有価証券の数などが含まれます。一方、企業情報には、発行者の経営成績や財務状況が含まれます。このうち、変化するのはどちらでしょうか。 そうです。発行者の情報ですよね。発行者は、有価証券を発行した後も、当然、毎日、事業を行っているので、経営成績(売上や利益等)も、財務状況(資産や負債等)が日々変化します。 このため、金融商品取引法は、有価証券届出書を発行した発行者に、企業情報を更新したものを、一定の場合を除き、年1回、財務局長に提出することが求められています。この企業情報を更新したものが「有価証券報告書」です。 詳しくは、拙著金融商品取引法の基本がよくわかる本をご覧ください。 <特定証券情報と発行者情報> ここまで読んで、「ということは、有価証券届出書や有価証券報告書の代わりになる特定証券情報と発行者情報ってきっと・・・」と既にピン!ときている方がいらっしゃると思います。 そうです。特定情報等府令によると、特定勧誘等の対象となる株券や社債を発行する発行者は「特定証券情報」という有価証券の情報と発行者の情報等を提供又は公表し、特定証券情報を提供又は公表した発行者は「発行者情報」という発行者の事業や経理に関する情報等を提供又は公表するということになっています。 具体的な内容は、今後、特定投資家のみが参加できる市場である「プロ向け市場」を開設する取引所が決めることになります。現在、東京証券取引所とロンドン証券取引所が合弁で新しい取引所を来年早々稼動させる計画になっていますが、新取引所が「プロ向け市場」を開設する予定です。 <提供又は公表> 特定証券情報や発行者情報を「提供又は公表する」という言葉を何度も使ってきましたが、提供とは、投資家に提供することで、公表とはインターネット等で公表することを指します。ただ、この具体的な方法も、新取引所が決めることになっています。 今日は、ここまで。 続きは、明日以降お話します。 金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法/総合情報編」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。 お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。 行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/01/09 01:24:14 PM
[改正金融商品取引法] カテゴリの最新記事
|