ネタバレ感想
10月から始まるドラマの原作を読んだ。推理小説ってのとはちょっと違うような気がするが、ある事件についていろんな視点で語っていくうちに真相の断片が見えてくるって構成。で、その感想を以下書いていくので、ネタバレが嫌な人は絶対に読まないようにお願いします。ドラマ化が決まったというのを知って図書館に予約を入れた。既に予約は入っていて待ち状態だったけど、朝ドラほどは待たずに順番が回ってきた。ハードカバーで245ページ。推理小説はあんまり好きじゃないから読み慣れていないんだけど、これはすんなり読めて数時間で終わってしまった。登場人物も少ないし、関係性も複雑じゃないし、事件自体も単純明快なので読みやすいから初心者向けかもしれないなぁ。で、読み終わっての感想。・・・警察ってそんなに甘くなくね?ってのが第一だった。いろんな人の視点からってのは漫画とかでもよくある構成でわりと好きなパターンだったから読んでておもしろかった。こういう構成は、真実は一つじゃないんだよってのが醍醐味だよね。わざとゆがめている部分と、見方によってはどちらも正しいという部分もある。だから、ストーリー自体は楽しめた。余談だが、こういういろんな人の証言で話が進む構成で今までで一番おもしろかったなぁと思うのは山岸さんの漫画だ。母から溺愛されていた妹が、その母の死後に母に代わり自分の面倒をみてくれていた完璧と言われた姉を刺殺したという事件を、妹本人の供述やいろんな立ち位置の関係者の証言などで追っていくという話。今回読んだこの小説は、それよりも真実に近い位置にいる人たちの証言で構成されているからちょっと雰囲気が違うかな。でも大きくくくれば同じ構成のような気がする。話は元に戻って感想ね。人間関係のお話って点ではおもしろかったが、事件としてはやっぱり「警察ってそんなに甘くないんじゃね?」って感じた。まず、自殺と他殺では傷の付き方などが違うだろうってこと。角度とかさ、刃の向きとかさ、玄人が見れば一発でこれはっってわかっちゃうんじゃないかなぁ。しかもこういう事件だったら絶対司法解剖しているだろうし。これだけでもこの小説って成り立たなくなるような気がするんだけど。さらに、ロビーやラウンジに受付者いて応対記録が残っていたり、外来者も全部チェックが入るような高層マンションだったら絶対複数の防犯カメラがあるよね。少なくともエレベーターの中や駐車場側の出入り口あたりには絶対ついているはず。だって、我が家のごく普通の小規模マンションだってついているものwそうすると、彼がいったん降りたり戻ったりうろついた様子は記録に残っているはずで。警察がそれらをチェックしていないはずがない。となると、証言との食い違いだって出てくるんじゃないかなぁ。本編では、受付の人やラウンジの人の証言が出てくるけど、それだけで済むとはとうてい思えないんだけどね。さらに、花瓶についても指紋とか取らないんだろうか。振り上げようとした時と、通常とでは持ち方が違うと思うよ。直接の凶器ではなくても、部屋の様子で争った形跡があれば、その場にある関連するものは調べるんじゃないかなぁ。そうなると、またここでも証言との齟齬が出てくるんじゃないかと思うんだけどね。警察も触れてきた「鍵」についても、証言時は気が付かなかったとか言っていても、はずしたのならそれこそ指紋でもなんでもついているだろう。冒頭でそこを確認されて否定しているから、てっきり後からそこがばれてどんでん返しか?とか想像していたんだけどスルーされたので肩すかしくったような気分になった。これについてはもう一人、鍵をかけた人間についてもそうだよね。みんなの証言どおりの行動をしていれば触れていないはずだけど、調べたらそうではないってわかっちゃうような気がする。って、1度だけ数時間でざっと読んだだけでもこれだけつっこみたくなっちゃった。話はおもしろくても、こういうところでひっかかるとテンション下がるんだわ。2人も死んでいるのに、目撃者と犯行を自供した人間の証言だけで裁判をすすめるとは思えないんだけどなぁ。いくら腕の良い弁護人をやとったっていっても、検察側だってプロなんだし。でもすんなり自供した人が犯人になっちゃって実刑くらってるんだよね。と、好き勝手に書いてみたwドラマは原作とは違う登場人物も出るらしいし、配役の関係で登場人物の比重も変わるらしいのでストーリーもかなり改変されるんじゃないかなぁって思ってる。おもしろい方に転ぶといいね。