米国の恫喝をはねのけ、圧倒的多数でパレスチナのUNESCO正式加盟が認められたが、その背景ではアメリカとイスラエルが世界で孤立している現実がある
パレスチナはUNESCO(国連教育科学文化機関)への正式加盟が認められた。10月31日に開かれた総会での投票では賛成が107票、反対14票、棄権52票。圧倒的多数の支持を得たことになる。投票結果が明らかになった後、会議の参加者から大きな拍手が送られた。 投票の前からアメリカはパレスチナの正式加盟に強く反対、約8000万ドル、UNESCO予算の約22%を占める分担金を出さないと恫喝していたのだが、効果はなかったようだ。アメリカの脅しが通用しない時代に入っているということなのだろう。 現在、パレスチナは国連への加盟も申請している。多くの国は加盟に好意的で、数だけで言えば認められることは間違いないのだが、アメリカが拒否権を使うことは確実で、実際に加盟できる可能性はほとんどない。 それにもかかわらず、加盟の申請をした理由はひとつ。アメリカに拒否権を使わせることである。アメリカがパレスチナと対立するという構図が示されれば、イスラム世界だけでなく、世界的にアメリカの影響力は低下する。アメリカにとって大きなダメージになることは間違いないだろう。 「ユダヤ」を隠れ蓑に使っているイスラエルとの関係が微妙なドイツもアメリカとは違う姿勢を見せている。1967年の第3次中東戦争で占領した東エルサレムで新たに1100軒の家を建てることをイスラエル政府が認めたことに反発したドイツ政府は、6隻目のドルフィン型潜水艦の引き渡しを止めると通告したという。この潜水艦は核ミサイルの発射が可能で、航行できる範囲も広い。第2次世界大戦の賠償として特別の条件で売却されていた。 この潜水艦は核攻撃の手段としてイスラエルのとって重要な意味を持っている。何しろ、1986年にサンデー・タイムズ紙が掲載したモルデカイ・バヌヌの内部告発によるとイスラエルの核弾頭数は200発以上、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェは1981年の時点で300発以上だと主張、またジミー・カーター元米大統領は150発だとしている。 こうした核兵器をイスラエルは使おうとしたことが少なくとも1度はある。1973年10月にエジプト軍の奇襲攻撃を受けて窮地に陥ったイスラエル政府は核ミサイルを発射する準備をするということで合意したのだ。 この決定をソ連の情報機関がつかみ、エジプトとアメリカへ伝えている。アメリカとソ連の仲介で停戦が決まりかけたのだが、アメリカから物資の支援を受けたイスラエルはエジプト攻撃をやめない。そこで、ソ連はアメリカに対し、イスラエルが停戦の合意を守らないならば、適切な対応策を講じると警告した。アメリカが本気になってイスラエルを説得したのは、この警告を受けた後のことだ。 アメリカやイスラエルに対する反発が世界的に広がっている理由は、両国の傍若無人さにある。アフガニスタンやイラク、最近ではリビアでアメリカは多くの市民を殺している一方、イスラエルもヨルダン川西岸での違法な入植、ガザに対する兵糧攻め、そして軍事侵攻による破壊と殺戮を繰り返している。 2008年12月のガザ侵攻で国連は独立調査委員会を編成、その報告書でもイスラエル軍に人道法や人権法に違反する多くの行為があったと指摘されている。アメリカ政府はイスラエルを全面的に支持、つまりパレスチナ人や国連施設に対する攻撃を容認したのだが、国連の人権理事会は報告書を採択している。 アメリカやイスラエルは軍事力で世界を恫喝するしかなくなっている。最終的には核兵器で攻撃すると脅すのだろうが、そうなったとき、両国の命運は尽きる。