2010/05/26(水)00:34
米国政府にとって好都合だった韓国軍哨戒艇の沈没
アメリカ軍再編に絡む沖縄の基地問題で日本政府はアメリカ政府に完敗し、ヒラリー・クリントン国務長官は北京で鳩山由紀夫首相の決断に感謝したという。韓国軍の哨戒艇が沈没した事件もアメリカ政府にとって追い風になっただろう。
勿論、日米の合意に反発する声も大きい。社民党の福島瑞穂党首が「辺野古移設」を「愚策」と批判したのは当然として、民主党の小沢一郎幹事長も今回の決定を「公約違反」だと記者会見で暗に語っている。東京地検特捜部の小沢攻撃が辺野古の問題にも影響したと言えるかもしれない。
昨年10月頃、鳩山由紀夫首相は普天間基地(飛行場)をグアム、あるいは硫黄島へ移すべきだと主張、アメリカ政府と対立していたのだが、この時点で岡田克也外相や北沢俊美防衛相は早くも沖縄県外への「移設」は困難だと主張、アメリカ側についていた。
その前、つまり9月にアメリカと朝鮮は核問題について話し合う姿勢を見せていたのだが、10月に入ると、朝鮮海軍は韓国の艦船が1日に10回も領海を侵犯していると非難している。それでも、11月に朝鮮の外務大臣はアメリカ政府に対し、直接交渉に応じるよう求めていた。
そんな時、韓国軍と朝鮮軍、両軍の艦船が交戦するという事件が起こった。朝鮮軍の船は大きな損害を受けて犠牲者が出たようだ。
韓国側の説明では、朝鮮の船が領海を侵犯したので攻撃したとしているのだが、朝鮮側は越境を否定し、自国の領海を航行していた国籍不明の艦船を確認して戻るところだったと主張、韓国側に謝罪を求めている。もっとも、両国が主張する国境線が違う以上、この議論は平行線をたどるだけで結論は出ないが。
12月には朝鮮のハッカーが韓国軍のコンピュータに侵入し、朝鮮軍との戦闘を想定した作戦「Oplan 5027」を盗んだのではないかと報道されたのだが、盗んだかもしれないけれど、盗んでいないかもしれないという真偽のはっきりしない話だった。
この計画よりも危険視されているのが「OPLAN 5029-05」である。2001年にジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した直後、朝鮮国内が混乱した場合に備えて作成したと言われているのだが、「第2次朝鮮戦争」を想定しているとも疑われていた。作戦の背景には新保守(ネオコン/親イスラエル派)の思惑があったようだが、旧保守の反対で御破算になったとされている。
さて、状況としては、朝鮮軍が昨年11月の軍事衝突で損害を受けた報復として韓国軍の哨戒艇を攻撃したというシナリオが成り立つ。今年1月には韓国軍の情報機関が報復を警告していたという。そして韓国軍の哨戒艇が沈没したわけで、韓国側が反射的に朝鮮軍の報復だと思うのは当然のことだろう。
しかし、普天間基地の問題という視点から見ると、朝鮮半島の「緊張」は絶妙のタイミングで高まっていることも事実。まさか、辺野古への移設が本決まりになったら朝鮮半島の緊張も緩和という展開にはならないでしょうね?