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《櫻井ジャーナル》

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2012.02.21
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 シリアの反政府軍に武器援助するのは時期尚早だとマーティ・デンプシー統合参謀本部議長は語ったという。アメリカの「正規軍」はそう判断しているのかもしれないが、実態は遙かに先を行っていて、NATO軍はリビアからシリアへ武器を輸送しているとも言われている。いや、その前からアメリカ、イギリス、カタールなどの情報機関や特殊部隊は軍事介入を始めている。こうしたグループの介入でシリアの内戦は始まったと言うべきだろう。デンプシー議長の「介入は時期尚早」という発言に焦点を当て、そこだけを強調するのは正しい姿勢とは言えない。

 現在、アメリカはシリアの反政府軍を秘密裏に支援しているとも伝えられているのだが、体制転覆を目指す作戦は昨日今日に始まったことではない。「平和的抗議活動」がシリアで始まった頃、NATOは「SFA(シリア自由軍)」への軍事訓練をトルコの米空軍インシルリク基地で始め、アメリカのCIAや特殊部隊だけでなく、イギリスとフランスも特殊部隊員を教官として送り込んでいるともいう。ヨルダン北西部の都市、マフラクにもシリア攻撃の拠点を作っているようだ。

 こうした訓練だけでなく、アメリカの場合は無人偵察機をシリア領空に飛ばしイギリスの場合はカタールと同じように特殊部隊をシリア領内に潜入させているとも報道されている。リビアでNATO軍(事実上の英仏米軍)はカタール軍やアル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)と連合して体制転覆に成功したが、その後、LIFGは兵士をシリアへ移動させている。最近ではイラクからアル・カイダの兵士がシリアへ入っていることを「西側」の有力メディアも認めている

 そもそも、アメリカの好戦派は2001年9月11日から数週間後にはシリアも攻撃リストに載せていた。2005年2月にはレバノンでラフィク・ハリリ元首相が暗殺されているのだが、その年の10月に国連国際独立委員会のデトレフ・メーリス調査官は「シリア犯行説」に基づく報告書を安保理に提出している。

 ハリリ一族はレバノンのおけるスンニ派の中心的存在であり、サウジアラビアと密接に結びついている。そこでハリリ元首相の暗殺にシリア政府が関係しているとする話を信じる人も多かったのだが、疑問も多い。例えば、重要証人であるサイド・サディクは有罪判決を受けた詐欺師であり、メーリスの報告書が出る前年の夏、サイドは電話で自分が「大金持ちになる」と話していたという

 2006年からアメリカ国務省はシリアの反政府勢力に対して600万ドルを提供したことを示す外交文書をWikiLeaksは公表しているのだが、この年にはハリリ・グループが「未来運動」なる活動を開始、武装部隊(テロ部隊)を編成した。その部隊を財政的に支援していたのがデイビッド・ウェルチ米国務省次官補を黒幕とする「ウェルチ・クラブ」だとされている。

 そして2007年5月、レバノン北部の港町トリポリで治安部隊が武装組織「ファタハ・イスラム」のアジトを襲撃し、戦闘は難民キャンプに拡大した。この組織は親シリア派のグループからスピンアウトして誕生したのだが、当時はハリリ・グループから資金を得ていた。つまり、黒幕はウェルチ。この武装組織はアル・カイダと関係があるとも言われていた。

 英仏米や湾岸の独裁産油国がシリアの体制転覆を狙うのはなぜなのか?

 ひとつはイランとの関係。つまり、イランを攻撃するためにシリアを確保することは戦略的に大きな意味があるということ。第2は地中海側で天然ガスが発見されていること。この資源は湾岸なみだという説も流れていて、地中海側の国を西側やイスラエルは支配したいと考えている可能性がある。そして第3は経済システム。西側の大企業がカネ儲けするために都合の良いシステムをシリア政府が受け入れないというのだ。

 しかし、シリア国内では西側の思惑通りになっていないようで、ジョー・リーバーマン上院議員やジョン・マケイン上院議員などはシリアの反政府軍に武器を提供するように要求、56名の外交専門家がバラク・オバマ大統領に対し、武器をシリアの反政府軍へダイレクトに渡すように求める手紙を出している。デンプシー統合参謀本部議長のCNNに対する発言はこうした要求に対する解答なのかもしれないが、実際のところ、アメリカの情報機関や特殊部隊は介入を始めている。イギリス、フランス、サウジアラビア、カタール、イスラエルと手を組みながら。





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最終更新日  2012.02.21 17:34:54



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