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《櫻井ジャーナル》

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2012.05.11
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 昨年春から外国勢力がシリアの体制転覆作戦を本格的に開始、戦争状態に入っていたのだが、バシャール・アル・アサド政権を倒すことができないまま現在に至っている。そうした中、5月10日に首都のダマスカスで「自爆テロ」があり、約70名が殺されたようだ。その背景で反政府側が戦術を変更した可能性がある。兵士や通常の兵器が少なくなると爆破工作に頼らざるをえないのかもしれない。

 戦闘が始まった当初、NATO軍による空爆でシリア政府軍を粉砕するという「リビア方式」を実行すると言われていたが、これはロシアや中国の反対で難しい状況。今年に入ると「非正規戦」を主体にした「コソボ方式」に切り替えるという話が流れていた。そうした意味で、ダマスカスでの「自爆テロ」は驚きでない。

 シリアの体制転覆を目指している外国勢力はNATOに所属するアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、そしてサウジアラビアやカタールのような湾岸の独裁産油国。そこにアル・カイダ系の武装集団が加わっている。

 外国勢力はシリアの反政府派を使うだけでなく、自らも特殊部隊を送り込んでいる。例えば、イスラエルのメディアはイギリスとカタールの特殊部隊が潜入していると報道、民間情報会社ストラトフォーの電子メールによると、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っていると推測されている。

 アメリカの中でもネオコン、つまり親イスラエル派が強硬な姿勢を見せている。そうした勢力を象徴しているのがジョン・マケイン上院議員やジョセフ・リーバーマン上院議員で、飛行禁止空域を設定しろと早い段階から主張していた。両議員は今年4月上旬にトルコを訪問、FSAのリーダー、ムスタファ・アル・シェイクやリアド・アル・アサドらと会談したと伝えられている。

 今年の2月、アメリカのジェームズ・クラッパー国家情報長官はダマスカスやアレッポでの爆破について、イラクで活動しているアル・カイダの特徴を示していると発言していた。こうした集団がシリアの反政府軍に潜り込んでいるというのだ。これに対し、シリア政府は「テロ活動」の背後にサウジアラビアが存在していると語っているようだ。

 サウジアラビアが建国されたのは1932年のこと。1299年から中東/北アフリカを支配していたオスマン帝国が1922年に滅亡、その後の戦乱を経てのことだが、その背後ではイギリスの思惑が影響していたとも言われている。そうした事情を象徴する存在がイギリスの情報将校だった「アラビアのロレンス(トマス・エドワード・ロレンス)」だろう。

 建国以来、サウジアラビアを支配しているのはサウード家。18世紀にワッハーブ主義の創設者、モハメド・イブン・アブドゥル・ワッハーブと手を組むことで勢力を拡大した一族だ。現在でもワッハーブ主義がこの国の基盤になっている。ワッハーブはイギリスの手先だったとする話も伝わっているが、その根拠とされている『ヘンファー氏の回想』には偽書説があり、真相は不明だ。

 それはともかく、サウジアラビアは独裁国家だと言うことは確か。「テロの黒幕」だとする人も少なくない。2001年9月11日、航空機がニューヨークの世界貿易センターに突入、ペンタゴンも攻撃されているのだが、この攻撃に参加したとされる集団の中に少なからぬサウジアラビア出身者が含まれている。アル・カイダの象徴、オサマ・ビン・ラディンはサウード家にもつながる一族の一員だ。それでもアメリカに守られているのは、石油があるからにほかならない。

 アル・カイダ系の武装集団としては、リビアで体制転覆に成功したグループも忘れてはならない。本ブログでは何度も登場しているリビア・イスラム戦闘団(LIFG)だ。兵士だけでなく、リビア軍の武器弾薬がNATO軍機でトルコへ運ばれ、FSAの手に渡っているとも伝えられている。

 昨年春からFSAはトルコにあるアメリカ空軍のインシルリク基地で訓練を受けていたが、ここにきてコソボの軍事キャンプで訓練するという話が具体化している。かつて、コソボ解放軍(KLA)を支援するため、アメリカの支援でアルバニアとの国境近くに作られた施設だ。シリアの内戦はこれまで以上に残忍なものになるかもしれない。






最終更新日  2012.05.11 20:35:50



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