《櫻井ジャーナル》

2012/06/21(木)23:54

米国はすでにサイバー戦争/テロを開始、イランの核施設を破壊するためにスタックスネットとフレームを開発したことが明るみに出ているが、両国の共同開発は1980年代から

 イランの核施設を主要なターゲットにしていると見られるコンピュータ・ウィルス、スタックスネットとフレームはサイバー戦争の「兵器」だとも見られているが、そのサイバー兵器を開発したのはアメリカとイスラエルの情報機関や軍だと伝えられている。アメリカやイスラエルの政府がサイバー戦争/テロを仕掛けているということだ。  5月に発見されたフレームは、侵入したコンピュータ・システムに関する情報を入手して外部に伝える不正プログラムで、スタックスネットはフレームのプラグインだったともいう。つまり、両プログラムは同時期に、少なくとも情報を交換しながら開発されたということになる。  イランでは核開発に関連したシステムがスタックスネットに汚染されていたが、発見が遅れて大事故になれば、周辺に住む人々が深刻な放射能汚染で苦しむ可能性があったが、イラクではアメリカ軍が使用した劣化ウラン弾によると見られる放射能障害が報告されているわけで、アメリカの支配層にとって放射能汚染は大した問題だと思っていないのだろう。  ちなみに、イラクで最も放射能障害の犠牲者が多く報告されているファルージャでは濃縮ウランが発見されているという。濃縮ウランが使用された疑いのあるケースはこれ以外にもあり、ウルスター大学のクリストファー・バスビー教授によると、2006年7月にイスラエル軍がレバノンに軍事侵攻した後にレバノンやガザでも濃縮ウランが検出され、アフガニスタンやバルカン半島でも使用された可能性があるようだ。  アメリカとイスラエルの情報機関は1980年代にも共同でコンピュータ・システム用のトラップ・ドアを開発した前歴がある。1970年代にINSLAWという民間企業が追跡システム、PROMISを開発したのだが、これに目をつけたのがロナルド・レーガン政権になってからの司法省。  先ず司法省はINSLAWを倒産に追い込み、横領、そのシステムにトラップ・ドアを仕込んで世界各国の政府や国際機関、あるいは金融機関などに販売している。この工作はアメリカとイスラエルの情報機関が同時進行の形で実行している。  ちなみに、駐米日本大使館に一等書記官として勤務していた原田明夫(後の検事総長)も興味を持ち、敷田稔(後の名古屋高検検事長)がINSLAWと実際に接触している。原田は法務省刑事局長時代、「組織的犯罪対策法(盗聴法)」の法制化を進めたことでも有名だ。  アメリカ側では、南カリフォルニアの保養地パーム・スプリングスに近い場所にあるカバゾン先住民保留地で作業は行われた。そこではPROMISにトラップ・ドアを組み込むだけでなく、暗視ゴーグルや武器の製造、さらにニカラグアの反革命ゲリラを支援する工作の拠点にも使われていた。保留地は警察やFBIが勝手に踏み込めない治外法権的な性格のある地区のため、秘密工作の拠点には最適の場所である。  この「製品」はハドロン社なるCIAのダミー会社を通じて売られていた。ロナルド・レーガンがカリフォルニア知事時代から親しくしていたアール・ブライアンが「経営」していた会社だ。  イスラエルで工作の中心になったのはLAKAM(科学情報連絡局)のラファエル・エイタン局長。PROMISはアール・ブライアンとロバート・マクファーレンからアメリカで受け取っていたのだ。マクファーレンは1983年から85年まで国家安全保障担当大統領補佐官を務めている。  イスラエルの「製品」を売っていたのは、イギリスのミラー・グループを統括していたロバート・マクスウェルが設立したペルガモン・ブラッシーズ国際防衛出版社。マクスウェルは一九六〇年以来、イスラエルの協力者だと言われている。この会社にはジョン・タワー元米上院議員も働いていた。  つまり、マクファーレンもタワーもイスラエルの協力者だった。後にタワーは国防長官就任を拒否されるが、その一因はここにある。(PROMISの問題は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

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