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《櫻井ジャーナル》

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2012.08.20
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 歴史の流れは動き出したら止められなくなることがある。

 今年の4月に石原慎太郎都知事はアメリカのシンクタンク、ヘリテージ財団で講演、その際に「東京都が尖閣諸島を購入することにした」と発言、中国や台湾を挑発した。その挑発に乗ったグループのメンバーが尖閣諸島に上陸、中国と台湾の国旗を掲げるのだが、それに対して日本の地方議員5名を含む10名が上陸し、日の丸を掲げた。

 勿論、選挙で選ばれた議員の行動となると重みが違う。しかも、国会議員を含む約150名が「慰霊祭」を名目にして21隻の船で尖閣諸島の周辺に集まっていた。上陸したのもその参加者だという。

 この船団が尖閣諸島へ向かおうとしている段階で中国政府から日本側へ「警告」がきていた。中国、香港、台湾を刺激することは明らかで、収拾不能の状態になる可能性もあるからなのだが、日本側は真剣に考えていないのか、それを願っているようだ。

 現在、中国各地で抗議活動が展開され、日本製の自動車や日本関係の店が襲われる事態になっていると伝えられているが、その直接的な引き金になったのは議員による挑発行為にほかならない。今のところ抗議活動は警察が何とか抑え込める規模に留まっているが、日本側の対応次第では規模は拡大する可能性がある。

 こうした抗議活動が反体制運動に発展することを願っている勢力もあるだろうが、その前に日本が困難な状況に陥る。日本の少なからぬ企業が生産拠点を中国へ移し、中国市場がなくなれば利益が出ない会社もある。エンジニアも中国やインドの若者に頼り始めているようで、外交関係だけでなく、中国の国内情勢の影響は大きい。

 石原知事が購入発言をした後、丹羽宇一郎駐中国大使(当時)がイギリスのフィナンシャル・タイムズのインタビューで都の購入計画について、「日中関係に極めて重大な危機をもたらす」と語っているが、その通りの展開になっている。

 ところで、ヘリテージ財団といえば、ロナルド・レーガン政権と緊密な関係にあったことで知られる団体で、情報機関/秘密工作(テロ)部隊とも近い好戦的なスタンスで知られている。1973年にエドウィン・フュルナーとポール・ウェイリッチが大手ビール会社のオーナーで有名なジョセフ・クアーズの助けを借りて創設している。

 しかし、最大の資金提供者はこの3人でなく、メロン財閥のリチャード・メロン・スケイフ。情報機関と緊密な関係にあり、理事会の副理事長を1985年から務めている。この人物に触れず、アメリカの秘密工作、破壊活動を語ることはできない。

 1993年からアメリカではビル・クリントン大統領に対するスキャンダル攻勢が強まるのだが、その攻撃を仕掛けていた「アーカンソー・プロジェクト」の主要スポンサーもスケイフだった。そのほか、ニュート・ギングリッジ下院議長(当時)の後ろ盾だったピーター・スミスもこの攻撃に資金を提供していた。

 そうした人間が関係している団体で石原慎太郎は講演、息子の石原伸晃は昨年12月、ネオコンと好戦派の拠点であるハドソン研究所で興味深い話をしている。尖閣諸島を公的な管理下に置き、自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすべきだとしたうえ、TPPにも好意的な姿勢を見せていた。日本をアジアで孤立させ、アメリカの巨大資本に隷属する国にしようというわけだ。

 野田佳彦首相も尖閣諸島の問題に絡み、自衛隊に言及してる。7月26日の衆院本会議で「尖閣を含む領土・領海で不法行為が発生した場合は、自衛隊を用いることも含め毅然と対応する」と発言、その翌日には森本敏防衛相も尖閣諸島で「自衛隊が活動することは法的に確保されている」と述べている。これを受け、岩崎茂統合幕僚長は対処方針の策定を指示したという。野田と森本の発言ということは、アメリカ側の少なくとも一部支配層から了解を得ているのだろう。

 今年に初め、アメリカでは軍事戦略の変更が伝えられた。東アジアへシフトするというのだが、これは「冷戦の亡霊」、アンドリュー・マーシャルがソ連消滅を受けて唱えていた筋書き。この新戦略によると、アメリカはステルス機と潜水艦で中国のレーダー・システムを破壊し、ミサイルで内陸深くにある施設を破壊することになっているようだ。

 ネオコン(新保守)の軍事戦略はマーシャルに負うところが大きく、大統領に就任した直後のジョージ・W・ブッシュが中国脅威論を唱えたのも彼の影響であり、中東/北アフリカへの軍事侵攻もマーシャルの「御託宣」に従って行われたと言えるだろう。イラクを攻撃する前、戦争は簡単に勝利でき、支配できるとしていたが、未だに泥沼から抜け出せないでいる。





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最終更新日  2012.08.20 14:12:47



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