《櫻井ジャーナル》

2013/05/27(月)01:41

共通番号制度によって日本人の個人情報が集中管理されるようになれば、米国の情報機関も容易にデータを入手できるようになり、それだけ日本を支配しやすくなる

 第2次世界大戦の直後、イギリスとアメリカの支配層は世界規模で電子的に情報を収集する作り上げたが、1980年代に入ると、不特定多数のターゲットに関する情報を分析するシステムが実用化された。当然、ターゲットには人間も含まれ、人びとは「ビッグ・ブラザー」に支配されるようになった。  アメリカの場合、公的な情報を統合するだけでなく、銀行口座(資金の出し入れ)の内容、クレジット・カードのデータ、住宅ローンの支払い内容、投薬記録、航空券や劇などのチケット購入記録を監視、最近では電子メールの内容は全て記録され、インターネットでアクセスしたサイトに関する情報、あるいはGPSを利用して個人の動きを追いかけることも可能になっているようだ。  昨年11月、デービッド・ペトレアスCIA長官が辞任している。伝記作家との浮気が原因だとされているが、電子メールの記録が決定的な証拠になったという。ペトレアスは陸軍大将のCIA長官、ペトレアスの伝記を書いていたポーラ・ブロードウェルは軍情報部に所属していた陸軍中佐。ふたりとも情報のプロであり、通信傍受に関する知識を持っていたはず。当然、それなりの対策を講じていたと考えられるのだが、それでもばれている。一般人は丸裸ということだ。  それだけ監視技術が進歩しているということだが、そうした技術の開発に「民間企業」が関わっている。1980年代からアメリカでは軍や情報機関の「アウトソーシング化」が進んだ結果だ。  そうした流れを生んだひとつの理由は、1970年代半ばに行われた議会による調査。フランク・チャーチ上院議員を委員長とする「情報活動に関する政府の作戦を調査する特別委員会」(チャーチ委員会)やオーティス・パイク下院議員を委員長とする「情報特別委員会」(パイク委員会、当初はネッジ委員会)が中心的な役割を演じた。こうした議会の調査を回避する手段として「民営化」を推進したと考えられている。  前回書いた情報の収集/分析システムのPROMISだが、INSLAW社から奪ってから司法省は情報機関へ渡す。それにトラップ・ドアが組み込まれ、ハドロン社という「民間」の企業を介して各国政府、国際機関、あるいは金融機関へ売られている。そうした中に日本の政府機関や銀行も含まれている可能性が高い。  ハドロン社を経営していたのはアール・ブライアンという人物だが、このブライアンやロバート・マクファーレンからイスラエルの情報機関もPROMISを入手し、独自にトラップ・ドアを組み込んで全世界に販売していた。イスラエル版を売っていたのがミラー・グループの総帥だったロバート・マクスウェルの出版社。  その会社ではジョン・タワー元米上院議員も働いていた。マクファーレンと同じようにタワーもイスラエルの手先だったということである。1989年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領はタワーを国防長官候補として選んだが、結局、承認されていない。その理由のひとつはここにある。  アメリカの国民監視システムは国防総省のDARPAを中心に開発されているが、そこには戦争ビジネスなどがつながっている。イスラエルの場合は軍の情報部隊である8200部隊が中心になっているようだが、この「部隊出身者」が数十の会社を興し、一部はアメリカの株式市場に上場されるほどの規模になっているという。こうした企業との取り引きは避けた方が安全だろう。  住民基本台帳ネットワークにしろ、共通番号制度にしろ、アメリカやイスラエルの情報機関が活動しやすい環境を整えているという側面があることも忘れてはならない。日本のエリートなら、アメリカ支配層から命令されて整備している可能性も小さくはない。日本人はアメリカの支配層から監視されることになると考えるべきだろう。

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