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《櫻井ジャーナル》

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2013.09.01
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 日本が連合国に降伏したのは68年前の9月2日だった。この日、降伏文書の調印式があり、日本側からは重光葵外務大臣と梅津美治郎参謀総長が、また連合国側は最高司令官のダグラス・マッカーサーのほか、アメリカ、イギリス、オーストラリア、オランダ、カナダ、ソ連、中国、ニュージーランド、フランスの代表が出席、降伏文書に署名している。

 この文書によって、日本はポツダム宣言を履行する義務を負い、それにともなってカイロ宣言も受け入れることになった。領土関係では、「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限」され、「第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト」、「満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコト」とされ、「暴力及貪欲ニ依リ日本国ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐セラルヘシ」ともしている。

 連合国が「決定スル諸小島」は、1946年1月に出された「連合軍最高司令部訓令」によると、「対馬諸島、北緯30度以北の琉球諸島等を含む約1000の島」で、竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島などは除かれている。(孫崎享著『日本の国境問題』)

 こうした事実を完全に無視、「領土問題」を演出し、アメリカ(ネオコン/軍事強硬派)の戦略に従う形で東アジアの軍事的な緊張を高める手助けをしているのが日本のマスコミ。中国の支配層、特に若手をアメリカ支配層はすでに懐柔しているが、軍事的には中国やロシアに対する攻撃態勢を整えつつある。

 マスコミは中東/北アフリカの問題でも、ネオコン/軍事強硬派が描くシナリオに従って「報道」してきた。そのネオコン/軍事強硬派は中東や北アフリカを破壊しつつあり、この地域を制圧するビジョンを持っているとも言われている。

 こうした侵略プランをアメリカの支配層全体が支持しているわけではない。アメリカにとって不利益になるからだ。あくまでもネオコン/軍事強硬派が主導している。そのネオコン/軍事強硬派に日本の「エリート」は従属、日本の庶民を売り飛ばしてしまった。

 そのネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を危険視、アメリカ支配層のうちでフセインを手先と考えていた勢力と対立することになった。当時、アメリカ政府の中でネオコンと対立していた勢力には、ジョージ・H・W・ブッシュ副大統領、ジェームズ・ベイカー財務長官、ロバート・ゲーツCIA副長官が含まれていた。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 1991年にアメリカは偽情報を利用してイラクを攻撃したが、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はフセイン体制を倒さないまま停戦してしまう。これに怒ったのがネオコンで、その中心的な存在だったポール・ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラク、イランを殲滅するというビジョンを語っている。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官の話だ。

 その後の展開は省略するが、イラクにしろ、リビアにしろ、レバノンにしろ、シリアにしろ、イランにしろ、ネオコンは長い年月をかけて体制転覆を計画してきた。その延長線上に現在の状況はある。

 しかも、リビアではアル・カイダがアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルなどの手先として動いていることも明らかになった。シリアでも同じ構図がある。

 シリアでは、軍事介入を正当化する「レッド・ライン」として「化学兵器の使用」を「西側」は設定した。今年3月には化学兵器が使われたが、国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテは反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。

 また、現場で採取した試料を分析したロシアは「家内工業的な施設」で製造された化学物質が使われているとしている。軍隊が使う兵器の場合、保管のため、化学的に安定化させる物質を使うのだが、その安定剤が添加されていなかったのだという。分析結果は80ページの報告書にまとめられ、国連の潘基文事務総長に提出された。

 ジョージ・W・ブッシュ政権の国務長官、コリン・パウエルの補佐官を務めたローレンス・ウィルカーソン退役大佐は、イスラエルが「偽旗作戦」を実行した疑いがあると発言している。「第1弾」は失敗に終わった。

 そして今回の化学兵器使用。シリアのクルド系政党、PYD(民主連合党)のサレハ・ムスリム代表が言うように、アサド政権が化学兵器を使ったとする話は不自然。本ブログで何度も指摘したことだが、戦闘は政府軍が優勢であり、使う必然性がない。「政府軍が化学兵器を使った」という状況は、シリアの体制転覆を目指す勢力が望んでいることだ。

 しかも、国連の臨時会合でロシアの国連大使、ビタリー・チュルキンは、反シリア政府軍が支配しているドーマから8月21日午前1時半頃、2発のミサイルが発射され、毒ガス攻撃を受けたとされるゴータで着弾していることを文書と衛星写真に基づいて示した。この後、シリアを攻撃するという話が急速に後退することになる。バラク・オバマ大統領も開戦の決定を議会に投げてしまった。このままアメリカが攻撃すれば、取り返しのつかない傷を負うことになる。

 アメリカ政府がシリア攻撃の動きを見せると日本のマスコミは浮かれ、戦争を煽るかのような「報道」を続けた。状況が変わったことを知っているだろうが、強者に媚びへつらうという姿勢を変えられず、アメリカに都合の悪い情報を無視している。自分たちの無様な姿に気づいているのだろうか?






最終更新日  2013.09.01 22:52:23

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