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《櫻井ジャーナル》

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2013.09.21
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 安倍晋三首相は消費税を引き上げ、法人税を引き下げる方針だという。要するに庶民からカネを巻き上げ、大企業や富裕層へ上納するということだが、これは菅直人政権や野田佳彦政権と同じ流れ。当面、選挙がないということで安心しているのか、本音を堂々と口にしている。マスコミも強者総取りの仕組みを築くために努力してきたわけだが、こちらは選挙が先だということで、少し批判的なことを主張してみたりしている。

 1970年代からロンドン(シティ)はオフショア市場のネットワークを整備、大企業や富豪たちは資産隠しや課税回避に利用している。これと並行する形で庶民からの搾り取りを強化していった。現在、この仕組みが世界的に大きな問題になっているわけだ。

 日本も大企業や富裕層の税率は決して高くないということは、以前から専門家が指摘している。さまざまな社会への負担が企業には課せられるが、法人税だけに限っても日本企業は優遇されている。企業利益相当額に対する法人税納付額の割合は、資本金100億円以上の企業では15〜16%にすぎない。(富岡幸雄著「税金を払っていない大企業リスト」文藝春秋、2012年5月号)つまり、日本では、法人税をほぼ法定税率どおりに払っているのは、黒字を出した中小企業だけということ。

 「社会保障の切り捨て」と「消費税引き上げ/法人税引き下げ」の一体改革は1990年代半ばに日本とアメリカの支配層が集まり、決められた方針に基づいている。CSISが設置した「日米21世紀委員会」が1996年にメリーランド州で最初の会議を開き、98年に報告書を出している。委員会のメンバーは次の通り:

【アメリカ】
名誉委員長:ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領
委 員 長:ウィリアム・ブロック元労働長官
副 委員長:ハロルド・ブラウン元国防長官
委   員:レスター・アルバーサル、ウィリアム・ブリーア、ウィリアム・クラーク、リチャード・フェアバンクス、ロバート・ホーマッツ、カレン・ハウス、フランク・ムルコースキー、ジョン・ナイスビット

【日本】
名誉委員長:宮沢喜一元首相
委 員 長:堺屋太一(後に経済企画庁長官)
副 委員長:田中直毅
委   員:土井定包(大和証券)、福川伸次(電通、元通産事務次官)、稲盛和夫(京セラ)、猪口邦子(上智大学教授、防衛問題懇談会委員)、小林陽太郎(富士ゼロックス)、中谷巌(竹中平蔵の『兄貴分」)、奥山雄材(第二電電、元郵政事務次官)、山本貞雄(京セラ・マルチメディア)、速水優(後に日銀総裁)

顧   問:小島明(日本経済新聞)

 この時期、「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」も出され始めたようだ。

 こうした動きが生まれる10年ほど前から日本経済は大きく揺らぎ始めている。まず、1985年にニューヨークのプラザ・ホテルで開かれたG5でドル安/円高が決まり、88年にBISが銀行は8%相当の自己資本を保有しなければならないと定めて日本の銀行は厳しい状況に追い詰められた。1989年に日米構造協議が始まると「ケイレツ」が問題になるのだが、これは日本経済の強みを中小企業にあると判断したアメリカが中小企業潰しに着手したということだろう。

 1990年になると大蔵省(現在の財務省)の判断ミスもあって株価が暴落、その直後に証券スキャンダルが発覚し、銀行の不正融資が明らかになった。例えば、富士銀行では、銀行の支店幹部が架空の預金証書を発行、ノンバンクから約2600億円を引き出し、東洋信用金庫は大阪の料亭経営者に対して額面3400億円余りの架空預金証書を発行、興銀系の金融機関から約1500億円を引き出したという。架空の証書を使っての不正融資は典型的なマネーロンダリンの手法だ。

 アメリカは日本の証券界や金融界の暗部を調べ上げ、脅してきた可能性がある。日本の証券会社が大企業や支配層に属す人びとを不正な手段で儲けさせていたことは公然の秘密だった。投機市場で行われているのは、所詮、イカサマ博打。証券会社や銀行がマネーロンダリングしていることも噂になっていた。その具体的な証拠をアメリカはつかんだのかもしれない。この当時、アメリカの情報機関は世界を動く資金の流れを追いかけていた。

 こうした混乱のつけは中小企業へ回されることになり、日本経済に急速な没落につながる。その後、支配層は自分たちの懐を暖めることのみに熱中し、庶民は塗炭の苦しみを味わっている。ところが安倍政権はそれでも足りないと感じているようで、解雇をさらに容易にし、ただ働きも合法化したいらしい。

 その一方、日本では1996年頃から金利が限りなくゼロに近づける政策を採用、結果として資金を超低金利で世界中の投機家へ提供することになった。いわゆる「円キャリー・トレード」だ。世界を巨大なカジノにした責任の一端は日本にもある。

 アメリカが推進しているTPPはこうした動きの延長線上にある。TPPとはアメリカの巨大企業が環太平洋を支配する仕組みであり、そうした企業がカネを儲けやすいように日本政府は必死に「改革」を進めている。






最終更新日  2013.09.22 04:38:49

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