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《櫻井ジャーナル》

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2013.10.23
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 大量殺人行為の場合、国連安全保障理事会常任理事国の拒否権を一時停止するようにフランスのローラン・ファビウス外務大臣は提案したという。「多数の住民が虐殺され、アサド政権が子供や女性、民間人に化学兵器を大量に使用する最悪の事態を迎えた」ことから得た教訓だというが、実際は、フランスを含む外国勢力によるシリアへの軍事侵略が妨害され、その不満が「拒否権を一時停止」という表現で外相の口から飛び出したにすぎない。

 住民の虐殺にしろ、化学兵器の使用にしろ、実行者は反政府軍だった可能性が高い。例えば、ホウラで虐殺があった際、「西側」は政府もメディアも政府軍が実行したと主張していたが、現地を調査した東方カトリックの修道院長も反政府軍のサラフィ主義者や外国人傭兵が実行したと報告、その内容はローマ教皇庁の通信社が伝えている。ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙も、キリスト教徒やスンニ派の国会議員の家族が犠牲になっていると伝えた。ちなみに、サラフィー/タクフィール主義者はサウジアラビアとの関係が強い。

 本ブログでは何度も指摘しているように、シリアの体制転覆は遅くとも1991年から動き始めている。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、この年、ネオコン(親イスラエル派)のポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)はシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた

 2001年9月11日から数週間後になると、ジョージ・W・ブッシュ政権はアフガニスタンに続き、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画をたてていたともクラーク大将は語っている。

 WikiLeaksが公表した2006年2月21日付け外交文書には、その時点でアメリカ政府がシリアの反体制派を支援していたことがわかり、2007年にシーモア・ハーシュは、アメリカ政府がサウジアラビアやイスラエルと共同でシリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始したとニューヨーカー誌に書いている。

 要するに、アメリカ(ネオコン)、イスラエル、サウジアラビアは遅くとも2000年代の半ばに中東/アフリカを制圧するプロジェクトを始動させている。その中にシリアも含まれていた。中東の情勢をウォッチしている人にとって、こうしたことは基本的な情報のはずだ。「西側」のメディアやアル・ジャジーラの編集者や記者も知らないはずはない。

 ホウラを調査した東方カトリックの修道院長は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と語っていた。また、現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムも外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。ファビウス外相はこうした「バチカン情報」に挑戦しているわけだ。

 ところで、ファビウスは昨年5月16日からフランスの外相を務めている。前任者はアラン・ジュペ。シリアでバシャール・アル・アサド政権に対する軍事的な攻撃が始まったころの外相はこのジュペだった。

 2011年3月にアル・ジャジーラやフランス 24などがシリアで情勢が緊迫していると伝えた直後、フランス外務省はシリア情勢を調査するために係員を派遣するのだが、報告はそうした報道とは全く違う内容だった。

 その報告に怒ったのがジュペ外相。シリア政府は「流血の弾圧」を行っていなければならないというわけだ。そこで、事実に反する報告書の作成を拒否するシリア駐在のエリック・シュバリエ大使はジュベ外相と対立することになり、大使館は2012年3月に閉鎖される。その後もフランスはイギリス、アメリカ、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールなどと手を組み、イスラム武装勢力を使って軍事的にシリアの体制を転覆させようとしてきた。

 ところで、「具体的には、安保理が大量殺人行為について態度を表明すべきときには、常任理事国は拒否権を一時停止することを約束する」とファビウスは主張しているが、勿論、アフガニスタンやイラクでアメリカを中心とする軍隊が行っている「大量殺人行為」、あるいはイスラエルがパレスチナ人に対して行ってきた「大量殺人行為」に対する決議でも拒否権を一時停止するべきだとフランス政府は主張しなければならない。






最終更新日  2013.10.24 01:19:12

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