《櫻井ジャーナル》

2014/01/29(水)21:29

アル・カイダの雇い主であるサウジで好戦派を批判する聖職者が人気番組に登場、変化の兆し

 アメリカの支配層、中でも「ネオコン」と呼ばれる親イスラエル派は「テロとの戦争」という名目で多くの国々を侵略、国内をファシズム化してきた。その「テロ」を象徴する存在が「アル・カイダ」と呼ばれるイスラム教スンニ派武装勢力であり、その武装勢力のスポンサーがサウジアラビアやカタール。その背後には欧米の支配層が存在している。こうした構図はリビアやシリアの戦乱、つまり「西側」やペルシャ湾岸産油国が仕掛けた体制転覆プロジェクトで明確になった。  リビアで地上軍の主力だったLIFG(リビア・イスラム戦闘団)がアル・カイダだということは自他共に認めるところ。日本で報道されたかどうかは知らないが、ムアンマル・アル・カダフィが惨殺された直後、反カダフィ軍の拠点だったベンガジでは、裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられていた。その映像はすぐにYouTubeへアップロードされ、デイリー・メイル紙などもその事実を伝えている。  サウジアラビアで武装勢力を動かしている責任者がバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官であり、戦闘員の主な供給源はサラフィーヤ/ワッハーブ派。そのサウジアラビアで、そうした戦闘員を送り出している聖職者を批判する声が出てきた。時代の流れに変化の兆しが見られる。  この国のテレビ局MBCの人気番組でホストを務めるダブド・アル・シャリアンがスルタン長官たちが行っているシリアへの軍事介入に反対する聖職者を登場させたのだ。その聖職者は、一部の聖職者がサウジアラビアの若者を洗脳してシリアへ送り出していると批判したのである。  そのシリアで現在、政府軍と戦っているのは事実上、3組織。つまり、イスラム戦線、アル・ヌスラ戦線、そしてISIL(イラク・レバントのイスラム国、ISISやIEILとも表記)。いずれもアル・カイダに分類されている。  イスラム戦線はサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官が昨年11月に諸団体を再編成して組織、アル・ヌスラ戦線はカタールに近く、トルコの司法当局や警察によると、ISILはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が秘密裏に創設したのだという。カタールとエルドアン首相はムスリム同胞団と緊密な関係にある。サウジアラビアはアル・ヌスラやISILへの支持も表明している。  何度も書いたことなので恐縮だが、スンニ派武装勢力が組織されたのはアフラニスタンに誘い込んだソ連軍と戦わせるため、1970年代の末にアメリカがパキスタンなどの協力を得て組織したのが始まり。サウジアラビアは重要なスポンサーだった。  後に「テロの象徴」として扱われるアル・カイダ、その「看板」だったオサマ・ビン・ラディンもサウジアラビア出身であり、ビン・ラディン家はサウジアラビアの王室やブッシュ家と親しい関係にあることは有名だ。  また、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、ニューヨーカー誌の2007年3月5日号で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアは、シリアとイランの2カ国とレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始したとしている。スルタン長官が頻繁にイスラエルと接触しているとも伝えられている。  サウジアラビアが手を組んでいた「西側」はシリアへの直接的な軍事介入を実現するため、化学兵器の使用を口実に使おうとしたのだが、本ブログでは何度も書いたが、その後の調査で化学兵器を使ったのは反政府軍だった可能性が高いことが判明した。その黒幕はサウジアラビアだとも指摘されている。反政府軍はサリンの製造能力を持ち、実際に使った可能性があるという趣旨の記事をハーシュも書いた。  若者を洗脳して戦地へ送り出す・・・サラフィーヤ/ワッハーブ派と似たようなことを安倍晋三首相やその背後グループは考えているようで、NHK支配だけでなく、「教育」への介入を強めている。

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