《櫻井ジャーナル》

2014/04/03(木)05:24

キエフの暫定政権で首相を務めるヤツェニュクがサイエントロジーの信者だという噂が流れている

 NATOの軍事顧問団をウクライナへ派遣できるかどうかついて、キエフの暫定政権はNATOと話し合ったようだ。この政権はウクライナ国民に支持されて誕生したわけではなく、ネオ・ナチの暴力を利用したクーデターで実権を握ったにすぎない。クーデターで主力だったネオ・ナチが暴走気味で、その一部を粛清する動きがあるのだが、そうなってくると治安や軍事をどうするかが問題。NATOを頼ることになったのだろう。  暫定の大統領や首相はオリガルヒ(一種の政商)の仲間。「西側」の「国境なき巨大資本」から支持されているのだが、国民からの支持が圧倒的に多いとは言い難い。だからこそ、大統領選挙で暫定政権の一派はビクトル・ヤヌコビッチに敗れたわけである。  この選挙で選ばれた合法的な政権を倒すため、「西側」はネオ・ナチを使った。この集団はクーデターの際、棍棒、ナイフ、チェーンなどを手に、石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーなどを持ち出し、ピストルやライフルを撃っている。  最終的にヤヌコビッチ政権を倒す流れを作ったのは何者かによる狙撃。エストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)に電話でキエフの状況を報告する電話が盗聴され、インターネット上に公開されたのだが、それによると、パエト外相は次のように言っている:  「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」  NATOと関係が深く、エストニアにあるNATO系の施設でメンバーが軍事訓練を受けたと言われているUNA-UNSOだとする説もあるが、アレクサンドル・ヤキメンコSBU(ウクライナの治安機関)元長官によると、最初の狙撃はアンドレイ・パルビーなる人物が制圧していたビルからだったという。  パルビーはネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党」を創設したひとり。この政党は後に党名を「スボボダ(自由)」へ名称を変えている。今は国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長だ。  狙撃では警官隊(ベルクト)の隊員も犠牲になっているが、それだけでなく、ネオ・ナチのメンバーによって拉致、拷問、そして殺害されている。目を潰された状態で発見された隊員の死体もあり、多くの隊員がロシアに保護を求めた。暫定政権の内相はベルクトを解散させているが、自分たちのために働くことはないと判断したのだろう。  ウクライナのクーデターで黒幕的な役割を果たしたネオコン(アメリカの親イスラエル派)であるビクトリア・ヌランド国務次官補は昨年12月13日、1991年からウクライナを支援するため、50億ドルを投資したと米国ウクライナ基金の大会で発言している。そのとき、演壇に立つ彼女の背後には、巨大石油企業シェブロンのマークが飾られていた。  そのヌランドがジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使と電話で次期政権の閣僚人事を話し合っているが、そのときに高く評価していた人物が暫定政権で首相を務めているアルセニー・ヤツェニュク。  この人物は大学教授の一家に生まれ、大学を卒業すると法律事務所を開き、1998年から2001年までアバル銀行で働き、03年から05年までウクライナ国立銀行の副頭取、そして頭取を務めた。  数年前から噂になっているようだが、このヤツェニュクは2005年頃からサイエントロジーなる団体のメンバーになっていると言われている。本人は否定しているようだが、アメリカのカリフォルニアに住む姉はこの団体の幹部だともいう。サイエントロジーはアメリカの「疑似宗教団体」で、映画俳優のトム・クルーズが信者だということでも知られている。CIAとの関係も噂されているが真偽は不明。  この団体は旧ソ連圏での布教に熱心なのか、スロバキアのロベルト・フィツォ首相は、次期大統領でビジネス界の大物でもあるアンドレイ・キスカがサイエントロジーの信者だと主張している。キスカが自伝をサイエントロジー系の出版社から出したことが根拠のようだ。

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