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バンダル・ビン・スルタンが4月15日に「健康上の理由」でサウジアラビア総合情報庁長官の職を辞したという。この人物は少なくともここ10年ほどの期間、イスラム教スンニ派の武装集団、いわゆるアル・カイダを動かしていたとされ、昨年に問題化したシリアの化学兵器使用問題でも黒幕だとも言われていた。
そうしたアル・カイダとサウジアラビアとの関係を示す膨大な文書をシリア政府が国連へ提出し、ロシアはシリアでテロ行為を支援している全ての国に制裁するように求めるとアメリカ政府からサウジアラビア政府へ警告があったとも伝えられている。今年3月、サウジアラビア政府はシリアで戦っている外国人戦闘員に対して撤退を求めていると報道されたが、その背景にはこうした事情があったようだ。 リビアやシリアの体制転覆プロジェクトでは、アメリカなど「西側」は幕の影に隠れ、前面に出ていたのがサウジアラビアやカタール。反政府軍を訓練していたのはアメリカやイギリスなどNATO諸国だったが、戦闘員を雇い、資金や武器/兵器を提供していたのは湾岸の産油国だった。そうした戦闘員の中心がアル・カイダ。 前にも書いたことだが、元々、アル・カイダとは「データ・ベース」を意味し、1990年代にアメリカがソ連と戦わせるために集めた数千人におよぶイスラム教スンニ派戦闘員のリストを指していた。要するに、アル・カイダはアメリカの傭兵だった。 シリアでのプロジェクトが思い通りに進まないことに業を煮やしたのか、バンダル長官は昨年7月31日にロシアを極秘訪問、ウラジミール・プーチン大統領らに対し、シリアからロシアが手を引けば、ソチで開催が予定されている冬期オリンピックをチェチェンの武装グループの襲撃計画を止めさせると持ちかけたという。 これが大きな間違いで、シリアから手を引かないとオリンピック期間中に襲わせると脅しているとロシア側は理解した。バンダル長官はプーチン大統領から、サウジアラビアとチェチェンの反ロシア勢力との関係を知っていると言われたようだ。 バンダル・ビン・スルタンは「バンダル・ブッシュ」とも呼ばれている人物。彼が問題になるとアメリカの支配層へも飛び火する可能性がでてくる。 バンダルは王立空軍大学を卒業した後、アメリカのマクスウェル空軍基地で訓練を受けた。1977年に怪我で退役してからは外交官として働き、ジョンズ・ホプキンス大学でも学んでいる。1983年から2005年まで駐米大使を務め、総合情報庁の長官に就任したのは2012年のこと。2001年9月11日に世界貿易センターの超高層ビル2棟へ航空機が突入、国防総省本部庁舎が攻撃されたときには疑惑の目を向けられた。 現在、ウクライナでは「西側」の支援を受けた勢力が「暫定政権」を作っている。既存の治安機関や軍を掌握し切れていないようで、ネオ・ナチで「親衛隊」を組織する一方、アメリカの傭兵会社から戦闘員を雇っていると伝えられている。クーデターの前、今年1月にはシリアから約350名の戦闘員がウクライナ入りしたという情報も流れていた。 天然ガスが発見されている地中海東部とその周辺国を制圧するというNATOの作戦を実現するため、リビア、レバノン、シリアなどの体制を転覆させ、自分たちの傀儡政権を樹立させる計画(「アラブの春」と重なる)があったのだが、シリアでは政府軍の優位が揺るぎそうもない。その分、アメリカ/ネオコンはウクライナへ力を注ぐことになりそうだが、そのウクライナでもNATOの計画通りには進んでいない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.04.16 16:23:31
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