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《櫻井ジャーナル》

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2014.05.25
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 ロシアと中国は5月21日に天然ガスの供給契約を結んだ。今後30年間にロシアは中国へ毎年380億立方メートルを供給するという内容で、総額は約4000億ドルになる。供給元である「ガスプロム」のアレクセイ・ミルレル社長は「わが社にとって、これまでで最大の契約だ」としている。決済方法をドル以外にしたなら、アメリカにとって大きなダメージで、体制の崩壊へ歩みが加速化するかもしれない。

 BRICSやSCO(上海協力機構/上海合作組織)の中心である両国だが、政治、経済、軍事分野でこれまで以上に接近している。その大きな要因は言うまでもなく、アメリカの攻撃的な姿勢にある。今回の契約は「日米同盟」が「シーレーン防衛」と称して計画している中国向けタンカーのブロック計画を無力化、ミャンマー工作も効果がなくなる。米国や日本としては、インドとパキスタンとの接近は阻止したいだろう。

 1992年3月にDPG(国防計画指針)の草稿がリークされた。国防長官だったリチャード・チェイニーの下、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドといったネオコンが書き上げたと言われている。

 当時、日本でもアメリカが「唯一の超大国」になったかのように宣伝されていたが、ネオコンも同様で、西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアがライバルに成長しないように押さえ込み、アメリカを中心とする「新世界秩序」を築き上げるという世界制覇のビジョンが描かれている。

 この草案はリーク後に書き直されたようだが、2000年に復活する。ネオコン系のシンクタンクPNACがDPGをベースにした報告書「米国防の再構築」を公表したのだ。この報告書を作成したプロジェクトのメンバーには、ステファン・カムボーン、I・ルイス、リビー、エイブラム・シュルスキー、ドナルド・ケイガン、ロバート・ケイガン、ポール・ウォルフォウィッツ、ウィリアム・クリストルなどが含まれている。ロバート・ケーガンはビクトリア・ヌランド国務次官補の夫だ。このメンバーはジョージ・W・ブッシュ政権の中心的な存在になり、PNACの報告書は政策の基盤になった。

 DPGがリークされる前年、アメリカはイラクを先制攻撃している。イラクがクェートへ軍事侵攻したことが原因だとされているが、軍事侵攻の原因もある。

 イランでイスラム革命が成功、その影響がペルシャ湾岸の産油国へ波及することをアメリカも産油国も恐れた。それを阻止する形になったのがイランとイラクとの戦争。この戦争でイラクは疲弊、しかも石油価格の下落でイラクは苦しくなる。相場が下がった原因はクウェートの増産にあるとイラクは考えた。しかも、クウェートはイラクの石油を盗掘していた疑いがある。そこで、CIAは1988年の段階でイラクがクウェートを攻撃すると予想していた。

 ところが、1990年7月にアメリカ国務省のスポークス・パーソンはアメリカにクウェートを守る義務はないと発言、その翌日にエイプリル・グラスピー米大使はイラク政府に対し、アラブ諸国間の問題には口を出さないと伝えた。7月末日にアメリカ下院のヨーロッパ中東小委員会で国務次官補は湾岸諸国と防衛条約を結んでいないと発言している。

 詳細は割愛するが、PLOのヤセル・アラファト議長やヨルダンのフセイン国王がアメリカ支配層の一部が罠を仕掛けている可能性があるから自重するようにとアドバイスしたのだが、それらを無視してイラクはクウェートへ軍事侵攻して湾岸戦争を招いた。

 この湾岸戦争でジョージ・H・W・ブッシュ政権はサダム・フセイン体制を倒さないまま休戦するが、ネオコン(親イスラエル派)はこれが不満で、そのとき、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官はイラクをシリアやイランと一緒に殲滅すると語っていたという。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官が語っている。2001年9月11日の攻撃後、ネオコンはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃するとしていたという。

 こうした攻撃計画は世界制覇を目的にしているわけだが、短期的にはエネルギー資源の獲得があった。イラク、イラン、スーダンも産油国だが、「アラブの春」に関係するシリア、リビア、レバノンの場合、地中海東岸で発見された天然ガス田が大戦転覆プロジェクトにつながったと見られている。ソマリアは輸送にとって重要な地域だ。

 現在、ウクライナではネオ・ナチを主力とする武装集団がクーデターを実行中だが、その過程でクリミアがウクライナから離れてしまった。クリミアにはロシアの重要な軍港が存在、その重要拠点をロシアから奪えなかったことにアメリカ政府はショックを受けていると言われているが、それだけでなく、石油/天然ガスの問題がある。

 キエフのクーデター政権はネオ・ナチと「オリガルヒ」の2本柱だが、そのオリガルヒはエネルギーと結びつき、アメリカの巨大石油産業が後ろ盾になっている。昨年12月13日、アメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補は米国ウクライナ基金の大会で演壇に登場、1991年からウクライナを支援するため、50億ドルを投資したと発言しているのだが、そのとき、彼女の背後には巨大石油企業シェブロンのマークが飾られていた。アメリカのエネルギー産業はウクライナを欲しがっている。ジョー・バイデン米副大統領の息子、R・ハンター・バイデンがウクライナで最大の天然ガス製造会社、ブリスマの重役になったのも偶然ではないだろう。

 クリミアは黒海に囲まれているが、推進180メートルより深い場所には天然ガスがあると見られている。つまり、クリミアは天然ガスに囲まれている可能性が高い。それをクーデター政権も「西側」の巨大資本も狙っていたはず。クリミアを失ったことは大きく、力尽くで奪おうとするかもしれない。






最終更新日  2014.05.25 14:53:03

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