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《櫻井ジャーナル》

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2014.07.23
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 ロシア政府もアメリカ政府もマレーシア航空MH17に何が起こったのかを知っているはずだ。両国には強力な情報機関が存在し、通信を傍受しているだけでなく、衛星を使って宇宙から下の様子を監視している。その情報の一部をロシア国防省は7月20日に記者会見で明らかにしたが、それ以上のデータをEUへ22日に手渡したという。シリアの場合と似た手法だ。

 アメリカ/NATOはリビアのムアンマル・アル・カダフィ政権を倒したのに続き、シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒そうとした。リビアで使ったアル・カイダ(イスラム教スンニ派の傭兵集団)の部隊をシリアへ移動させ、軍事支援を強化しているが、それだけでは足りず、自らが軍事介入しようとする。特殊部隊を潜入させてはいたが、リビアのように空爆しなければ目的を達成できないからだ。

 すでに「住民弾圧」というプロパガンダは崩れていたので、昨年3月から「化学兵器の使用」を軍事介入の口実に使おうとしている。イラクの「大量破壊兵器」と同じように嘘だということは早い段階から指摘されている。

 素早くアサド政府がアル・カイダの化学兵器使用を指摘、ロシアも懸念を表明しているが、それだけでなく、イスラエルのハーレツ紙は攻撃目標が政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということ、また症状から見て使われたのは塩素ガスの可能性が高く、反シリア軍も簡単に手に入るということを指摘、政府軍が化学兵器を使ったという「西側」の宣伝に疑問を表明した。さらに、国連独立調査委員会のメンバー、カーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使った疑い濃厚だと発言、政府軍が使用したとする証拠は見つかっていないと語る。

 こうした展開になったため、3月の「化学兵器キャンペーン」は失敗に終わるのだが、8月に再びキャンペーンを始める。ダマスカス近郊のグータが化学兵器で攻撃され、その責任がシリア政府にあることは確かだとアメリカ政府は叫び始めるのだが、このときも証拠は示していない。ただ、「西側」の政府やマスコミがアメリカ政府の「お告げ」に従ってシリア政府批判を叫んだだけである。

 このキャンペーンを挫折させたのはロシア政府の情報提供だったと見られている。ビタリー・チュルキン国連大使が文書と衛星写真を国連メンバー国に示し、反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、毒ガス攻撃を受けたとされるゴータで着弾していると説明したというのだ。

 その後もアメリカの政府やメディアは政府軍がサリンを使ったと断続的に叫ぶのだが、それに対し、サウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだという情報が「ロシア外交筋」から流れてくる。この作戦はサウジアラビア系のイスラム武装勢力、リワ・アル・イスラムが支援したという。

 サウジアラビアが化学兵器使用の黒幕だとする情報は、8月29日にミントプレスが伝えていた。記者に圧力がかかって執筆を否定する談話を発表するが、編集長が反論、記者との遣り取りは記録されているとしている。記者からの再反論はなかった。

 シリア政府が化学兵器を使ったというキャンペーンをアメリカが続けると、アメリカとイスラエルとともに「三国同盟」を形成しているサウジアラビアが厳しい状況に追い詰められる展開になったわけだ。

 それでも「西側」はシリアをミサイルや航空機で攻撃すると強気な姿勢を見せる中、地中海からシリアへ向かってミサイルを発射される。ところが、そのミサイルは海中へ落下してシリアへ届かなかった。イスラエルの「発射実験」だという発表があったが、ロシアかシリアのジャミングで落とされたのではないかとも言われている。

 この間、7月31日にサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官はロシアを訪問し、シリアから手を引く代償として150億ドルのロシア製兵器を購入するが、アサド体制の打倒を妨害するならソチでのオリンピックに武装集団(アル・カイダ)を送り込むと脅したと言われている。(オリンピックを利用してウクライナのクーデターが始められた。)

 その後、スルタンがアル・カイダを動かしていることが知られるようになる。一旦、スルタンは総合情報庁長官を退き、アブドゥル・ラーマン・アル・ファイサルがアル・カイダ系のISIS(ISIL、IEILとも表記)を使い、シリアからイラクにかけての油田地帯を制圧しようとしている。ほとぼりが冷めたと判断したのか、現在、スルタンは国王の顧問として復活しているとする情報も流れている。

 アメリカ政府がシリアに対する直接的な軍事介入を諦めた後、ロシア政府と話し合いで問題を解決する姿勢を見せた。ところが、ウクライナでネオコン/好戦派がネオ・ナチを使ってクーデターを実行した後、バラク・オバマ政権はネオコン/好戦派に引きずられてロシアとの戦争へ向かった進み始める。そしてMH17の撃墜に至るのだが、ここでロシアはシリアの時と同じように裏で情報を各国政府へ示し、外交的に問題を解決しようと試みている。それに対してアメリカやEUがどのように反応するかで人類の運命が決まるかもしれない。






最終更新日  2014.07.23 21:32:41

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